散らかる部屋で
Floraison
―フランス語で「開花」を意味する―
過去に場面緘黙症を抱えていた霞は仲間たちと一緒にアイドルとして花開く。
栃木県足利市を舞台に
『場面緘黙症×アイドル×足利市』
今までにない繊細でリアルなアイドル成長ストーリー。
「ふぃ〜、疲れたぁ〜!!」
陽茉莉は自分の部屋に着くと鞄を床に投げ捨て制服を脱ぎ捨てベッドにダイブする。
ゴロンと仰向けになると鞄からスケッチブックがはみ出しているのを見て飛び起きた。
「あ!!衣装作らないと!!!」
陽茉莉はバタバタと慌てるようにベッドから飛び出して、布生地が大量に詰め込まれた引き出しを片っ端から開け始めた。
「新しく生地買わなくても、コスで作った時の可愛い布いっぱい残ってる〜♪
あ!この色みもりんに似合いそう〜!!
この色はらんらんのイメージだな〜♪
あー!!この生地も可愛い〜!!!」
まるでバーゲンセールかのようにあちこちから布生地を引っ張り寄せ大量に抱える。
一通り集め終わると、先日聞き出しておいたメンバーの採寸表を鞄から取り出した。
もちろん、その紙はクシャクシャだ。
散らかっている床の一部分を綺麗にする。
…いや、正しくは物を端に押しのけてスペースを確保する。
引き出しから端々が折れた真っ白い紙を床に広げた。そして透明の真っ直ぐな定規と丸みを帯びた定規を用意して鉛筆を持つと、採寸表を見ながら衣装の型紙を引き始めた。
白い紙のライン上をハサミで切り抜くと、布生地の中心に置きマチ針で固定して、裁ちバサミで生地を裁断する。
一通り裁断が済むと、色々物が積まれた場所に手を伸ばす。
上に乗っているもの全てを周りに退けた。
もちろんその周りは散らかるが、気にしない。
すると下からお目当ての白いミシンが出てきた。
机の上にセッティングすると、そこから伸びる黒いコードをコンセントに差し込む。
クローゼットからアイロンを引っ張り出したが、もう一つの相方が見つからない。
「あれぇ〜どこ行ったの〜?」とあっちこっち物をひっくり返しながらベッドの下を覗くと、やっとアイロン台を見つけた。
腕を伸ばして引っ張り出し、折り畳まれた脚を立たせて机の隣に置いて、アイロンにも熱を入れた。
ミシンのスイッチを入れるとライトが点灯した。
「よぉ〜し!!縫いますか!!!」
陽茉莉は袖を腕まくりすると、裁断した生地を手に取った。
陽茉莉はアニメや漫画ゲームなど、好きなものや推しへの愛が強いあまり、自分でコスプレ衣装を作ってしまうほど器用な子だった。
まるで既製品のような衣装の仕上がりに、誰もが“天才”、“才能”、“プロ並み”と褒めるだろうが、彼女には普通の人ならあり得ない大きな欠点があった。
先程、布生地を引っ張り出してきた引き出しをよく見ると、全部の段が閉まらずに布が溢れている。
まだ使えるし可愛くて捨てられないと、今まで使った生地の余りは全て引き出しに詰め込んである様子。
恐らく下にベッドがあるのだろう。一段高くなっているそこには布団の上に大量の衣装や洋服が積み重なっていた。そこには靴下や下着まである。
足元には漫画や飲み終わったペットボトルが散乱。先程脱ぎ捨てた制服。通販で届いた段ボールやビニール袋などが床を覆い、足の踏み場を見つけるのが難しい。
ガチャンと押さえを上げ、衣装からはみ出た糸を処理をすると乱暴にハサミを置き、衣装を目の前に掲げた。
「…っ完成〜〜!!!!
はぁ〜、め〜っちゃ可愛い〜♡♡
早くみんなに着てもらいたいなぁ〜〜♪♪」
そう言ってメンバー全員分の衣装を愛おしそうにギュ~っと抱きしめた。
「みんなに知らせな、…きゃ、」
みんなに連絡しようと思って、鞄に入れっぱなしのスマホを取りに行こうと振り向いた瞬間、部屋の惨状がやっと視界に入り、青い瞳にスーッと影がおりた。
「……あぁ、片付けないとなぁ…」
まるで、かのゴミ屋敷のような状態の部屋を見回して小さく声をこぼした。
「しかも、もうこんな時間…」
スマホの画面を見ると、深夜1時をとっくに越えていた。
「お風呂…、シャワーもめんどくさいし、
明日の朝入ろ〜…」
そう言って上に物が乗ったまま布団を無理矢理めくり上げ、出来た隙間に身体をねじ込むと、そのまま眠りについた。
いきなり衝撃的なお話で驚かせてしまいました(笑)
今日も最後までお読みいただきありがとうございます♪
Twitter(X)でメンバーのキャラデザ公開や、メンバーのプロフィール紹介などもしてるので、ぜひ覗きに来てくれたら嬉しいです!
ではまた♪




