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フロレゾン  作者: 茉莉花


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10/13

初めてのヲタ活

Floraison(フロレゾン)

―フランス語で「開花」を意味する―


過去に場面緘黙症を抱えていた霞は仲間たちと一緒にアイドルとして花開く。


栃木県足利市を舞台に

『場面緘黙症×アイドル×足利市』

今までにない繊細でリアルなアイドル成長ストーリー。

数日後、美萌里はニコニコしながら完成した曲を聞かせてくれた。

「こ、これ…美萌里ちゃんが作ったの…?」

「はい!色んな電波ソングを参考に勉強して、見様見真似で作ってみました。どうでしょう?」

みんなの想像を越える曲が出来上がり、メンバー達は呆気に取られていた。

唯一、陽茉莉だけテンション高めに反応していた。

「みもりん すご〜い!!!これ歌うのめっちゃ楽しいよ〜!!」

「でもこれ…実際に歌い切れるの?

口が回るのか心配なくらい早口だし、テンポ早すぎない…?」

「らんらん!それが電波ソングなの!!」

陽茉莉は蘭の発言をたしなめる。

「…ずっと思ってたんだけど、そのパンダみたいなあだ名、辞めてくれない?」

「ぷっ!」

椿が吹き出しながら蘭にだる絡みする。

「確かに、ランランとかカンカンみたいな名前のパンダいるよね〜ww」

「…うるさいなぁ」

肩に手を回してくる椿をうっとおしそうに押しのける。

「え〜、らんらん可愛いじゃん!ね〜かすみん!」

「うん!らんらんって可愛いよ!」

「うっ…」

霞に眩しい笑顔を向けられ大人しくなる蘭。

「蘭って本当、霞ちゃんには甘いんだから!」

やれやれ、というように蘭から離れると、椿は切り替えてみんなに呼びかけた。


「さて!楽曲が出来たところで今度は振付ね!あと衣装も!蘭と陽茉莉ちゃん、よろしくー!!」

椿のいつもの投げやりだ。

「待て、振付が出来たとして、どこで練習するんだ?流石に学校じゃ迷惑だろう…」

「え?屋上を借りようと思ってたんだけど…」

「確か屋上は立入禁止だったはずでは?」

美萌里が宙を見上げながら呟いた。

「えぇ〜、じゃあどこで…」

「は〜い!!私良い場所知ってるよ〜!!」

いきなりビシッと手を上げた陽茉莉は元気に答えた。

「案内するからこの後みんなで行かない?」




「へ〜、境内にこんな場所があったんだ」

「確かに奥に何かあるなとは思ってたけど、結構本格的な場所じゃない!」

「お寺の中にステージがあるなんて、なんだか神聖ですね〜」

「でしょ〜!!」

陽茉莉に案内されてたどり着いたのは、鑁阿寺の敷地内になる境内ステージだった。

「ここなら人もあんまり来ないし、学校からも近いからピッタリだと思って!!」

陽茉莉は自慢気に話す。

「よくここでイベントとかやってるからステージあるの知ってたんだ〜!!」

「イベント?」

美萌里は首を傾げる。

「知らない?足利は刀剣恋舞(とうけんれんぶ)に出てくるキャラクターの聖地になってるんだよ!!」

「そ…、そうなのですね…」

よくわからなかったが曖昧に返事をする。


「とりあえず練習場所が確保出来たところで、今日はこれで解散!」

椿が場を締めると、みんなそれぞれ帰っていった。

美萌里もみんなに続いて帰ろうとした時、陽茉莉に腕を掴まれ呼び止められた。

「みもりん!この後時間ある?」

「えっ、この後ですか…?特に用事はないですけれど…」

「じゃあ、一緒にお茶しない??」

「…お茶?」

「近くにお気に入りのカフェがあるんだ〜!!」

「…!!」

美萌里はお茶会のお誘いだと理解してパァっと顔を輝かせた。友人と放課後に寄り道なんて、誘われたのも初めてで胸が高鳴った。

「ぜひ!お付き合いします!」




「こんにちは〜!!」

「あら、陽茉莉ちゃんいらっしゃい〜

いつもありがとね!今日はお友達も一緒なの!」

「あ、お邪魔します…!」

「ゆっくりしていってね〜♪」

「みもりん!こっちこっち!ここ座ろ〜!」


2人が訪れたのは、鑁阿寺を出てすぐ左に曲がり、お掘りの角まで歩くと目の前に2階建ての建物がある。その2階がカフェのようで、外の階段からお店へ入っていった。


美萌里は珍しい装飾に店内を見回した。

「すごいでしょ!ここはね〜、ヲタクに優しいお店なんだ〜♪」

「おたくに優しい…」


「お水どうぞ〜!2人とも、注文は決まった?」

「私、いつものパフェで!!みもりんは?」

陽茉莉の言葉に気を取られていたら、店員さんが注文を聞きに来た。美萌里は慌ててメニューを見る。

「あ、え〜と、抹茶クリームあんみつをください」

「はーい、待っててね〜」


注文が済むと陽茉莉は鞄の中をゴソゴソと探し、手のひらサイズのぬいぐるみを取り出した。

よく見ると店内のあちらこちらにも陽茉莉が持っているぬいぐるみと同じモチーフのキャラクターが飾ってある。

「それは…?」

「ん?これはね〜、ヲタ活に使うんだよ!」

「…をた活?」

「みんなやってるよ〜♪」


「みんな…やってる……」


過去の記憶がフラッシュバックする。


クラスメイトが流行りのテレビの会話をしている。

「え〜みもりちゃん、テレビ観てないの?みんな観てるよね!」「私も観た〜!あのアイドルも出てて〜」

その時間はちょうどヴァイオリンのお稽古があってテレビが観れない。


クラスメイトが流行りのキーホルダーを持っていた。友達同士お揃いでランドセルに付けたり筆箱に付けたりしていた。

「…お母様、私もみんなが持ってるキーホルダーがほしいです」とお願いしたものの、

「そんなもの、勉強に必要ではないでしょ」

とあっさり断られてしまった。

それがないと…みんなとお喋りできないのに…。


「あ!これからみんなでカフェに行くんだけど〜夢眠さんも一緒に行く?」

「ちょっと、そんなことするわけないじゃん〜!夢眠さんは真面目でお家が厳しいから門限とかあるでしょ!」

「確かに〜!誘ってごめんね〜、、」


「あ……」

お家が厳格だと周囲に知れ渡っているせいで、せっかくのクラスメイトと仲良くなるチャンスも逃してしまった。


幼少期からクラスメイトの話題や流行りについていけなかった。ついていけないことで周りから少し離されるような、見えない壁のような物を感じてた。

家が厳しいというレッテルを貼られ、みんなのように流行を追ったり、帰りに寄り道をする経験が無かった。


だから今日、陽茉莉ちゃんに誘ってもらえて嬉しかった。普通の女子高生の一員になれた気がした。

さっきまでは。

みんながやっているという“をた活”を私は知らない。

また、引かれるだろうか。幻滅されるだろうか。

せっかくできたお友達が離れていってしまいそうで…。きっとまた一人に…、、


不安で目の前が暗くなっていく。



「みもりんも一緒にやろう!!」


その声に瞬間的に顔を上げた。

目の前が急に明るくなった。

陽茉莉が両手に同じぬいぐるみを持っていて、その一つをこちらに差し出している。

「この子プレゼント!今日ヲタ活に付き合ってくれたお礼だよ!!」

太陽のように笑う陽茉莉の笑顔が眩しかった。


「…え、い、良いのですか…?」

「良いの良いの〜!

この子はね、“山ちゃん”って言うの!」

「山ちゃん…」

陽茉莉からぬいぐるみを受け取り両手に乗せる。

白い布を被っている金髪のキャラクターだ。


「刀剣恋舞っていう恋愛ゲームに出てくるキャラクターなんだけど、普段は刀の姿をしていて、プレイヤーと2人っきりになると〜、人間の姿になるの!

このキャラクターは〜山姥切国広っていう本当に実際にある刀なんだよ〜♪」

陽茉莉は楽しそうに説明をしてくれる。

「そして、この町とも深い関係があるんだ〜!

だから私、足利が大好き!イベントもいっぱいやってるからね!」


先程のイベントとはこの事を言っていたのだと繋がった。

そして、全く知らない私を邪険にしなかった。拒絶しなかった。あろうことか、丁寧に説明してくれた。そして、一緒にやろうと誘ってくれる友達なんて初めてで…。


「みもりん大袈裟だな〜、そんなに嬉しかった?」

そう言って鞄をゴソゴソして少しクシャクシャになったポケットティッシュを取り出し美萌里に差し出した。

視界がぼやけている思ったら、気づいたら私は泣いていたようだった。

「あ、えっ、私…、ありがとうございます…!」

美萌里は照れながらティッシュを受け取った。


「お待たせしました〜!」

注文していた品が届いた。

「みもりん!こうやって置いて〜、スイーツと一緒に写真撮るんだよ〜!」

「こうですか…?」

「そうそう!!」

お互いに撮った写真を見せ合いながらスイーツを食べた。

人生で初めての友人との寄り道。

人生で初めてのヲタ活。

人生で初めて同級生に受け入れてもらえた私。

幼かった頃の私が報われたような、そんな日になった。



「みもりん!刀剣恋舞って検索して!

そうそう!それダウンロード押して!

それで山ちゃんを選択!!」

「押しました!山ちゃんですね!」

ちゃっかり布教する陽茉莉と、

真面目に聞き入れる美萌里。


後に2人はヲタ活仲間になった。


本日も最後までお読みいただきありがとうございました♪

ヲタ活、ハマると楽しいですよね。

足利と深い関係があるキャラクターがいて、

ちょっと名前を変えてますが、あの有名なゲームを登場させてみました。アウトそうだったらもっと名前変えるので教えてください…!


次回もまたよろしくお願いします!

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