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沖谷幸生にしあわせを  作者: 椋木美都
第2章『沖谷幸生は母親を辿る』

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エピローグ『哀悼の愛に触れないで』

いるやつ……幸生とはるま

はるまと遊ぶ日。私は歩きながら楽村君と距離を置こうとして失敗したこと、篠木は多分成功したこと、淳先輩となんやかんやで私の実家に泊まったことを話した。


「えー。ついにバレたんじゃ。てか楽村君ヤバ……もう付き合ったら?」


「嫌……今は」


「でも一生は流石にないよな?さっちん結婚願望あるじゃろ?」


「ある」


世間体とか長女の責任とかが主な理由だけど。


「するなら早めがいい……ってウチの中にいるさっちんが言っとる」


「相変わらず解像度が高い……」


はるまの前で隠し事は出来ない。だから悩みをすり替えるか、最初から悩みなんてないよう振舞わなければ……一瞬の隙が命取りとなってしまう。


「ま、楽村君と倉嶋さんの方は気持ちに折り合いがつくまで片思いさせれば……なんか言い方悪いかも。ウチの言いたいこと分かる?」


「うん。私も整理して……まずは篠木の記憶を戻すとこから始めようかな」


「え?でも距離置きたいって言ったよな?」


私は渋い顔で唸り、深いため息を吐いた。


「……なぁなぁで終わらせるのは私も気持ち悪いし。篠木の気持ちを聞いてないから。やっぱ1回ちゃんと話すよ」


「…」


「ぅ……ど、どうしたらいいかな」


はるまの顔色を読むと、つい及び腰になってしまう。私だってはるまが何考えてるかある程度分かるからね。


「周りにおらんの?心を許せそうな……さっちんを恋愛的な意味で好きにならんよーな強い味方」


「うーん。強い味方なら覇弦さんとかアシカさんとか侑香里(ゆかり)さんとか?」


「全員年上……頼りにはなるけど、さっちん年上相手だと気ー遣うが」


本当に詳しいなぁ!


「前々から思っとったけど、さっちんは同い年か年下が合うと思う。楽村君はなんか……相性悪い訳じゃないけど。絶対もっと他におる!」


――同い年でも遠慮はするけど……。


「まぁ確かに。楽村君には色々と負い目(と弱み)があるしな……そういうのが無い人の方が気兼ねなく接しやすいかも」


「春はそういう季節よ。絶対さっちんがさっぱり笑えるような人に出会える……うん!」


「今想像したけど難しかったから勢いで進めようとしたでしょ」


――心を許せて、私を恋愛的な意味で好きにならない強い味方か……。


私は黒塗りされた『君』を思い浮かべ、つい遠い目をしてしまった。


「…」


その様子を盗み見ている人がいるなんて分るハズもなく――私ははるまと買い物を続けるのだった。


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