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ATANAL  作者: 海ガエル
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第一章 1話 〜 紅茶とクッキーと、そして僕たちと〜

帰路を誰かと共にするのはいつぶりだろう。明日からは春休み。空はオレンジと薄紫に別れていて、そこをカラスが2羽、飛んでいくのが見えた。広い中庭の中央に佇む噴水の周りにはいつも人だかりができており、時折、今回2年生に課された宿題についての内容が聞こえた。


長期休みの前日は心が休まる。最も、一緒に歩いている奴が野蛮人なところだけ気を置けないが。


「君は寮生だろう。春休みの間はうちに来るといいよ。僕は一人暮らしで部屋を余らせているしね。歓迎するよ」


なんて言っているセミロング程の長さを持つピンクの髪と、赤紫の瞳を持った野蛮人は、アル・リリナイルというらしい。なんとも俺と同じクラスらしいが、人の顔を覚えるのが苦手な俺は、言われるまで分からなかった。


「今はどこに向かってるの?そっちは寮とは反対だよね?どこに向かってるんだい?」


「ちょっと」


俺は足を止め、右横にあるベンチに腰掛けた。


「落ち着いて話がしたいんだ。君も座って」


そういうとアルは素直に俺の横に座り、そしてすぐ俺の顔を見てくる。また口が開きそうだったので、俺は手のひらを出し、制した。


ロッカーの前でアルが言った言葉が、頭の中でぐるぐると駆け巡る。額を手で覆い、いかにも頭を抱えていますよという態度を取れば、アルも察して視線を噴水の方にやった。


───10分ほど、経っただろうか。


自然と噴水に集まる人達の話に耳を傾けていた俺は、何とか平常心に戻ることが出来ていた。噴水の方ではもっぱら、八割ほどが宿題の話。会話の内容はだいたい「宿題をやるかどうか」とか。「2学年は計200人ほどいるのに、上位6名にしか報酬が渡されないのは酷すぎる」とか。「伝説の嘘鑑定機を見てみたいからやろう」とか。「いくらなんでも危険なんじゃないか」とか。「知り合いにポラリスを使ったやつがいる」とか。


俺は額から手を離し、アルに向き直る。そして俺が悩む原因となった言葉を、、アルに聞いてみることにした。


「さっき、ロッカーの前でお前は、俺より人を殺せる。と言ったよな?」


「言ったね」


───つい眉間にシワを寄せてしまう。つまり、それは……


「聞き捨てならないな。一優等生として聞くけど、君は、もしかしてだけど、人を殺したことがあるの?」


するとアルの表情は3段階に変化した。まず、目を見開きいかにも馬鹿ですという顔をする。次に、なにかに納得したような顔。そして最後に、何がおかしいのか分からないが、目を細めて今この状況が面白おかしいとでも言うような顔をした。


「おい、何とか……」


「あははは、あるわけないじゃん。殺したことないよ。人」


今度は俺が愕然とする番だ。不覚にも、いかにも馬鹿です。というような顔をしてしまった。


「じ、じゃあなんで、俺より人を殺せるとか……」


「君を誘うには、このくらいのインパクトがないとダメだと思ったんだよ。それに...」


アルはゆっくりとこちらに視線を合わせる。


「おそらくだけど、でも事実だと思うよ。僕は君より人を殺せる」


笑顔で答えるこの男に、ため息が漏れる。


まずなんで、一緒に宿題をやろうという交渉材料に、人を殺せるというのを入れたのか。殺す前提で俺たちは宿題をしなきゃいけないのか。そしてなんでお前はそんなに堂々としているのだ。なんて色々な考えが巡ったが、とりあえずこいつの第一印象は、「頭おかしい」だ。


「お前頭おかしいぞ」




家に猿がいる方がマシだと思った。野蛮人がドアの前から離れない。


ベンチで話をし終わった後、俺は潔く「今回一緒に宿題やろうよ」という可愛らしい提案を丁重に断った。こんな野蛮人と一緒に宿題したくないし、一緒にいることによって自分も野蛮人扱いされそうだったからだ。


だが野蛮人が素直に断りを受け入れることなく、寮まで着いてきた。挙句の果て、俺がやめろと言うのに部屋の中まで入ろうとし、何とか阻止するもののドアの前から離れない。3分おきにドアをノックして、「一緒に宿題やろうよ」と言ってくる。怖い。


また玄関の方からダンダンダンダン!と音がする。かれこれもう15分ほど経っただろうか。俺は既に、ノイローゼになりかけていた。


耳を塞いで部屋の隅でうずくまって五分ほどしたところで、隣の部屋からドアを開ける音がした。そして誰かを怒鳴りつけている声がする。アルを怒ってくれているのかな。


そんな希望も直ぐに消えた。ドアを叩く音が2倍になった。つまり2人になったということだ。隣人もドアを叩き始めた。頭おかしいんじゃないか。


俺は隣人が誰かも知らない。顔も見たことない。挨拶に行ったこともない。つまり隣人の第一印象も、めでたく野蛮人になった。野蛮人1と2が俺の部屋のドアを叩いている。由々しき事態だ。


これはもしかしたらもう1人の隣人も来るんじゃないか。野蛮人が3人になるんじゃないか。と危機を察知した俺は、諦めてドアを開けることにした。


「あ、やっとドア開けた」


「おいお前!なんで今まで出なかった!」


俺は一旦アルを無視し、右隣に立っている野蛮人2に目をやった。赤毛の短髪にメガネ。中々な上背がある。180後半と言ったところか。


黙ったままの俺に痺れを切らしたのか、野蛮人2がなんと俺の胸ぐらを掴んできた。足元が浮く。反射で魔法を使いそうになるも、学園外の不必要な魔法は禁じられている。それを思い出し、咄嗟に手を引っこめた。つまりは殴り合いか。いつの時代も勝つのは暴力だった。でもこいつに、勝てる気がしない。


なんですか。と言おうとした直後、男は近所迷惑も何も考えていないのか、「お前!」と大声を出してきた。一瞬、誰に対して言っているのかも分からなくなってしまう。


「お前!お友達が一緒に宿題をやろうと言ってくれているのに!なんでそれを無視する!」


予想外の言葉に口を閉ざす。文句を言うのがそことは思ってもいなかった。


「いいか!上級生として言わせてもらうが、友情とは一生物だ。それを今お前は無下にしようとしている。信じられないことだ!特にこの学園は個人主義な者が多い。そんな中で一緒に宿題をやろうなどと言ってくれる者は貴重極まりない!いいか!お前は今青春の1ページを台無しにしようとしているんだぞ!わかったら一緒に宿題をやれ!!!!」


勢いよくまくし立てられ、つい言葉に詰まってしまう。色々言いたいことはあったが、こういう時、1番手っ取り早い方法を、俺は運良く知っていた。


それは...。


「やります。ご迷惑をお掛けして申し訳ございません」


「わかったならいい!」


「うるっせえんだよデカブツ!」


混沌とした状況が、俺の妥協により収まろうとしていたところを、また場をかき乱すやつが現れた。見事に野蛮人3だ。


左を見ると、今度はひょろ長の黒髪ロン毛が現れた、随分と怒っているようで、右手には伝説の書と呼ばれている、辞書と疑うほど分厚いこの学園のパンフレットを持っている。物理武器としては最適だ。


「なんでこんなにうるさいんだ!俺は今!課題を終わらせようとしていたというのに!」


「いまうるせえのはお前だよ!静かにしろよ!」


野蛮人2がまたキレ始めた。まずい。


俺は急いで野蛮人2の所に駆け寄る。


「すみませんすみません。もう解決しました。ほら、アルも何とか言いなよ」


「はい。一緒に宿題ができるようになって嬉しいです」


「そうなのか。それは良かったな。まあ俺は誰かと一緒に宿題したいなんて思ったことないけどな」


黒髪ロン毛の野蛮人3が呆れたように笑う。それを見た赤毛の野蛮人2は、ため息をつき、野蛮人2に対して指を指す。


「少年よ。こうなってはいけないんだぞ」


「アルです。2年生です。肝に銘じておきます」


「アルか。俺はエリックだ。この学園の4年生でサッカー部の部長をしている。よろしくな」


野蛮人2の名前は、エリックと言うらしい。アルが自己紹介を始めたので、別に言いたくもないが、一応礼儀として俺も名を告げることにした。


「あ、俺はセスです。アルの同級生です。今更ですが隣人としてよろしくお願いします」


「セスというのか!お前は友達を大切にしないから第一印象は最悪だが!まあよろしくな!」


そう言って肩をバンバン叩かれた。最悪だ。


そこで横から、「ほう」という声が聞こえる。


「君がセス・ショーンか」


声を上げたのは、野蛮人3だった。


「え、ああ、はい」


「知っているよ。ショーン君。なんてったって、2学年を代表する優等生くんじゃないか、主席で、学年トップの成績を誇るんだろ?」


今この人が話したことは、全て事実だ。なので、認める。


「いやあまさか、こんなところでお会い出来るとはね」


そう言って野蛮人3は頭を掻く。「申し遅れました。俺はニコラス。3年生で、生徒会書記を務めている」


その言葉に、一瞬顔を顰めそうになった。


───よりによって、生徒会に、この場面で出くわすとは...。


状況が状況だ。つまり最悪である。しかし態度に表す訳にも行かないので、俺はゆっくりと微笑んだ。


「ああ、ニコラスさんでしたか。お会いできて光栄です。すみません、こんなところで挨拶を交わすとは、思っておらず」


普段営業スマイルだなんてもの、普段使う場面は無いのだが、相手は生徒会。様々な権力を握っている、あの生徒会だ。敵に回したくはない。なので務めて、愛想良く接する。


───実際、名前を言われても誰だかは分からなかったがな。


俺とニコラス先輩が挨拶をしているその横で、突っ立って見ていたエリック先輩が、口を出してきた。


「おーおーニコラス。随分と愛想がいいものだなぁ。その流れで、生徒会にでも勧誘しようとしてるんだろ。あの詐欺委員会が」


横で文句を垂れてきたエリック先輩に対し、ニコラス先輩は不気味な笑みを浮かべるだけだった。なるほど、2人は仲が悪いのか。


「随分と調子に乗った言い方だな、問題児。言わせてもらうが、お前らがさっきまでやっていた行為のおかげで、俺の課題は未だに終わっていない。近所迷惑もいい所だ。たかが宿題でこれほどまでに騒いだことを、その詐欺委員会とやらに報告することだってできるんだぞ」


相当イラついていたのだろう。エリック先輩は痺れを切らしたよう苛立ちをぶつけている。


「え、お前らって、僕も入りますか?」


ニコラス先輩の発言に対し、アルが自分を指さし問いかける。本当に疑問に思っているような顔だ。


「なぜ入らないと思ったんだ」


同感だ。


「え、ひどい」


アルがあからさまに落ち込む。それを他所に、ニコラス先輩は俺に対して笑顔を向け、「もちろん、君は含まれていないからな」と念を押してくれた。ざまあないな、アル君。


「酷いなこれは」「訴えるべきですよ。これは、先輩」


エリック先輩とアルが同時に訴えかける。原因は明らかにこいつらだろうに。


「いいか、よく聞けよバカ2人。生徒会で今回お前らが騒ぎ立てたことを話せば、まあ、目をつけられるくらいにはなるんじゃないか?そんな事しなくても、エリックとかいう奴は元々そのデカイ図体活かして目をつけられているがな」


「はっ。生徒会書記にそんな権力があるとは思えないがな」


「ただの脳筋には言われたくないな」


2人がピリつき始める。また事が大きくなりそうだったので、俺は急いでアルを部屋に入れた。そして一応2人に一礼し、扉を閉める。


今日はなんて1日なんだろう。予想外の出来事が多すぎた。変なやつには絡まれるし、生徒会に最悪な場面で出くわすし、変なやつと隣人同士だったことが判明するし。


扉に背を預け、ゆっくりと息を吸う。


アルはと言うと、寮生の部屋を初めて見るのか、物珍しいものを見るかのような目で、俺の部屋を眺めていた。


そんな呑気な姿に苛立ちを感じ、つい強い口調で声をかけてしまう。


「おい、元はと言えば全ての原因はお前のせいなんだぞ。生徒会にまで目を付けられたじゃないか。何とか言えよ」


「でも君は僕と組むことによって、確実に世界大図書館へのチケットを貰うことができるよ」


今はそれじゃないだろ。と言いたくなるが、何故だか上手く声が出ない。


『世界大図書館』。その言葉に、少しだけ喉が鳴るのを感じた。あそこには、普段なら絶対に見れない歴史書や魔導書、歴代大魔法使い達の杖や遺物が山程置かれている場所だ。一般人の立ち入りはおろか、入るためのチケットでさえ入手困難。


そんな場所に入れるチャンスが、今回の宿題で舞い降りてきたのだ。アルの言っている事に確信は持てないが、もしアルと組むことによって本当にチケットが貰えるのならば、それほど上手い話はない。


だからってやっぱり確証がない。信用するには早すぎる。あと、少しだけ、アルのその自信満々な態度に嫌気が差していた。そのせいか、ダメだとはわかっているのに、つい感情的になってしまう。


「だから!なんでお前はさっきからそうやって自信満々なんだ。どこにも確証がないじゃないか。それに、チケットは俺1人でも手に入れられる」


まずい、頭に血が上ってくる。俺は1度大きく深呼吸をし、一旦今までのことの成り行きを振り返る。だが振り返ったところで問題は解決しない。ただ一つ、疑問に思うことがあった。


「ねぇ、ひとつ聞くけど、なんでそんなに俺にこだわるわけ?確かに俺は学年1位の成績を誇る優等生だけど、君には他に友人がいるだろう」


「ああそうだよ。君は優等生だ。ただそれだけ。それだけの理由で僕は君を選んだ」


一気に気が落ちるのを感じる。買ってもらった風船が、しぼんで垂れ下がっていく様と似ていた。なるほど。本当に単純でつまらない、在り来りな理由。こいつはきっと俺を1人の人間ではなく、能力のある”もの"とでしか見ていない。


「あともうひとつ。悪いけど、僕にはこれといって友人と呼べる人がいない」


アルが要らない訂正をしてきた。


「ああ、うん、悪い。それはそうだよな。逆にいる方が驚く」


するとアルは不満気な顔で抗議をする。


「じゃあなんでさっきあんな風に言ったんだよ」


「君の常識では珍しいかもしれないが、一般的には面と向かって友人がいないだろと言う方が珍しいんだよ」


「最後に」


「まだあるのか」


「これが一番大事なんだけど。僕は確かに君の能力を見て声をかけた。君の攻撃魔法の成績だ」


「それがどうした。変わらず学年1位だと思うが」


「逆に僕は君が攻撃魔法で学年1位なことしか知らない。僕は攻撃魔法最下位だからね」


「なるほど。…………え?」


今彼はなんと言ったのだろう。攻撃魔法が最下位?本当に存在するのか?そんなやつ。いや、存在はするか。でも最下位?最下位の分際で俺に声をかけたのか?正気か?正気ではないか、今の今まで。


「君は今こう思っているだろうね。最下位の分際で俺に声を掛けたのか?と。当たってるだろう?でも僕は君に一つだけ勝っていることがある。治癒魔法だ」


そう自信ありげに微笑むアルを前に、そりゃそうだろ。と思った。


「治癒魔法?そりゃ、2年からは任意なんだからな。俺は黒魔術史を専攻したんだから、1年分お前より劣っている。そんなのは、当たり前だろう」


「うんそうだよ。今の世界じゃ治癒魔法は基礎の基礎だけで十分だからね。なんてったってみんな守りに徹するんだから。でも僕は治癒魔法成績1位だし、いざとなった時に君を助けられる」


「そのいざとなった時が来ないよう、俺は今回の宿題を進めていきたいんだがな。というか、お前はさっきから殺せるとか治せるとか、なんでそんな危ない行為をする前提で話を進めているんだ」


「危ないことをするからだよ」


「……なんて?」


一瞬。この部屋だけ空気が固まったように感じた。コイツは今冗談を抜かしているのか?いや、ありえない。コイツの表情を見る限り本気だ。なら、つまり、それは、


「危ないことをするって、今回の宿題は情報収集だぞ。確かに危険な場面に出くわすかもしれない。先生もそう言っていた。だが、そうなったら即座に俺は宿題を諦める」


するとアルは不意を突かれたような顔をした。人がこういう顔をする時は、大抵次はろくなことが起こらない。


「ごめんごめん。言ってなかったっけ。僕はもう、直接ポラリスの密売人に会いにいくつもりだったんだけど」


あはは。とヘラヘラしながらアルは頭を搔く。ごめんごめん?ごめんで許されるのか?今の告白は。今、こいつは、だって。ポラリスの…


「大丈夫。僕の見立ては間違っていない。君と僕が手を組めば、1番興味深い情報を手に入れられるだろうね」


「待て、その前に。今、ポラリスのなんて?」


「ああだから、直接密売人に会いにいくんだよ」


「会いに行くって、居場所を知っているのか?」


「しってるよ」


「顔もわかるのか?」


「分かるけど、偽装してなければ」


「それは、どうせ前ニュースで報道されていた奴らだろ?」


「さぁ、それは知らない。僕ニュース見ないし」


「なっ、…」


「とりあえず」そう言ってアルが手を叩く。


「今は、バディを組むか組まないかだ」


妙に冷静なアルとは反対に、俺は話の流れを全く掴めずにいた。


「全然後回しにできないだろ。いいか、今なぜ密売人の居場所を知っているのかを話さない限り、俺は話を進めさせない」


「わかった。行きつけのカフェでたまたまだよ。偶然話しているところを見つけた」


「嘘だ」


「嘘じゃない」


「ありえない。有り得るわけが無い。ポラリスの密売人がただのカフェでそんな現を抜かす訳ないだろ」


「本当の本当の本当だ。嘘鑑定機に誓う」


「だから、信じられるわけないだろ」


咄嗟に右手を振り下ろす。机に拳が当たり、部屋に鈍い音が響いた。コイツは、アルは、本物の異常者だ。妖精に騙されたか、考えたくもないが、最悪の場合、コイツも密売人の一員か。


「今回の話は今すぐ取りやめにしよう。そしてお前はさっさと学園長のところに行け。きっと良い精神科を紹介してくれる」


「君、何度言ったらわかるんだ。これは本当なんだって」


「証拠がないだろ。あまりにもおかしい」


「わかった、わかった。今話す。僕の入手した情報を君に共有しよう。その代わり、一緒に宿題を……」


「まだ分からないのか」


低く唸るような、呻くような声色で尋ねると、さっきまで散々反論してきた口が固まり、急に静かになった。しかし俺の言葉の意味は一切分かっていないようで、固まったまま頭を悩ませているのか、なにか答える様子がない。


───コイツは、アルは、今日会ったばかりのこの男は、今自分がどれだけ危機に面している状況なのかを、理解出来ていない。


「少し考えたらわかるだろう。おまえが密売人を知っているとか適当なことを言うから、こちらに誤解が生まれるんだ。ハッキリ言わせてもらうが、俺は今お前を、エイタウノルの一員なんじゃないかと疑いにかかっているぞ」


「な、そんな訳ないだろ。それこそ証拠がない」


「分かりやすく言ってやるよ。エイタウノルはポラリスを製造している。お前はさっきポラリスの密売人を知っていると言った。でも、実際にそんなことあり得ると思うか?ただの偶然で、そんな情報を得られるわけがない。なら、今お前が、嘘をついているとしか思えない。エイタウノルの一員なんじゃないかと疑われるのは、ごく当たり前のことだ」


俺はすかさず杖を取りだし、アルに向ける。


「腕を捲れ」


「ちょ、君…。仮に魔法を使ったら、どうなるかわかってるんだろ」


「いいから俺に倣ってくれよ」


つい声が上擦った。額から冷や汗が流れるのを感じ、それと同時に喉が枯れていく。


しょうがない、これは正当防衛だ。まさか本当に打つなんてこと、するつもりはない。アルも俺のしたいことが分かり、反論しても無駄だと思ったのだろう。最初こそ動揺した姿を見せたが、すぐに平静を装い、嫌そうにため息をつけながら右腕の袖口に手をかけた。


「エイタウノルの一員なら、右腕に睡蓮のタトゥーがあるはずだ。真偽を確かめさせろ」


「タトゥーなんて、体育の授業で散々半袖になるんだから、仮にあったとしたら僕は今すでにここにいないだろうね」


「そんなの見てない」


「君ほんとねぇ……」


個人主義の者が多いこの学園において、俺も例外では無い。基本一人で行動するし、グループワークも必要最低限の言葉しか発さない。他の奴らだってそうだ。周りのことなんか見ている暇はない。大抵の事は自分一人でやった方が早く済む。これは自惚れている訳ではなく、事実だと結果が示している。


アルが妙にゆっくりと袖を捲るのを見ながら、俺は息を詰める。冷や汗が喉を伝った。


制服の袖を肘の部分まで服を捲り上げられる。仮にエイタウノルの一員だとしたら、二の腕にタトゥーが見えるはずだ。俺は目を凝らし、アルから視線を外さないようにする。白だったら、ほっとはすると同時に、こいつの誤解を招きすぎる言動にうんざりすることになるだろう。黒だったら、すかさず拘束魔法を使う。あくまで体は傷つけたくない。


───だが……。


攻撃魔法を打てる最低距離は約3m。ゆっくりと1歩ずつ下がる。もしアルも杖を出した時の場合のみ、やむを得ないが攻撃魔法を使う。これは保険だ。本気で使うつもりは無い。


致命傷にならないよう、杖の位置を左端に動かしていく。当たったとしても右腕を少しかするだけ。攻撃魔法の使えないコイツは、基本俺に勝つことは出来ない。


信じたくはなくても、魔力が無意識に右手に集まるのを感じ、焦りから間違えて打ってしまいそうになる。それだけは避けたい。仮に間違えて打ってしまったら、いくら事情が事情でも即退学か、運が良ければ長期の謹慎と大量の課題地獄で済むだろう。


手の震えが止まらない。息が細くなっていく。


───もし、本当に...。


「魔力を抑えろよ。ほら、タトゥーなんてないだろ」


考え込んでいる間にアルは袖を捲り終わっていた。不覚だ。あんなに集中していたのに。


結果は白。タトゥーの跡なんて1ミリもない。錯乱魔法をつかい、見た目を誤魔化している様子もない。一旦、胸を撫で下ろす。だが、だからって、ひとつの問題が解決しただけだ。


俺はすぐに冷静さを取り戻せるよう務めた。


「お前が白なのはわかった。だけどまだ疑問はある」


最大の疑問は解けたので杖はしまう。そのまま右横にある2人用のダイニングテーブルに手をかけ、椅子に座った。向かいにはアルが座るよう示す。落ち着いて話す際はまず何かに座るべきだ。特に向かい合っていると良い。まさに今が最高の状態だ。これならどちらも身一つ。基本的な魔法を使うことは出来ない。まぁ、例外もあるが。


どちらも椅子に座り向かい合ったところで、本題に入った。





時刻は午後6時。空が本格的に暗くなり始める。もう寮生もそれ以外の生徒も、本来なら家に着いている頃だろう。


しかしそんな時に、俺とアルは机に向き合って座っていた。


「お前の入手した情報と、カフェで見たというエイタウノルの人間の外見を言え」


「いいよ。話そう。僕にはこの交渉に絶対に、勝てる確信があるよ」


アルが腕を組み体を椅子に預ける。なにか言いたそうな表情だ。検討は着く。


「わかった。まず先に謝らせてもらうよ。疑って悪かった。俺も疑心暗鬼だったんだ」


アルが頷く。


「まあね、別にね、僕だってそこまで怒ってるわけじゃないんだ。僕が誤解を招く言い方をしたのも事実だし」


「それはそうだ」


「ただね、わざわざ杖まで出す必要はなかったんじゃないか。あまりにもリスクのある行動だ。それは君だってわかってるはず」


「お前だって、俺が杖を出した瞬間に全身の魔力の流れを早くしただろ。誤解を助長させるような行動だ。俺のはあくまで正当防衛であって...」


「誰だって杖を急に出されたら警戒するだろう。あれはほとんど反射だよ。特にこの学園にいるものなら、無意識に魔力の流れを上げられるよう習ってるはずだ」


余裕綽々な表情で、アルが手を組みながら身を乗り出す。


「僕にも非があるけど、君にだってある。お互い言いたいことは山積みだろうけど、どうだい、ここはもうお互い様ってことで、仲直りの握手でも」


何故だろうか、全てアルの掌の上で転がされているような気がしなくもない。話の流れをコイツに取られすぎなのだ。


俺はどこか釈然としない思いを抱えながらも、一旦話を進めることを優先し、右手を差し出す。


「まるで友達ごっこだ」


「もう友達だと思ってたけど」


「認めないよ。どうせ、春休みだけの中なんだ」


冷たい態度であしらうと、少しだけアルの表情が曇るのが分かる。一丁前に傷ついているのだろうか。別に、悲しむことでもないだろうに。


窓の外からカラスの鳴き声が聞こえる。時刻は6時15分。7時までにはこの話を終えたい。俺は急かすようにアルに「本題に入れ」と告げると、笑顔で頷き、人差し指を立てた。


「まずコロロって言うカフェがあるのを知ってるかい?僕の家から徒歩10分ほどで着く個人経営のカフェだ。僕は昔からそこを気に入っていてね。こじんまりとした雰囲気とあそこのキャラメルミルクティーが何より美味しい」


「知らないしお前の好みはどうでもいい」


「人の好みは知っておくべきだ。いざと言う時に使える」


だから僕になにか交渉したい時は、キャラメルミルクティーか、かぼちゃムースを持ってくるといい。なんて言いながら、アルはズボンのポケットから折りたたまれた紙を2枚取りだし、机に並べた。


「じゃあまず、好きな方1枚を取って」


「それ意味あるのか」


「人生の間に無駄な行動を挟むと、意外と豊かにことが進むようになるものだよ」


笑顔でそう告げるアルの戯言は無視し、俺は自分から見て右にある方の紙を取る。見てみると、そこにはただアップルティーと書かれているだけだった。


「なんだコレ。ふざけてるのか」


「まさか、それはターゲットがカフェで頼んでいたものだよ。数ある紅茶の中から選んでたから、多分好物なんだろうね。僕はアップルティーが嫌いだから、好みが合わなくて悲しいよ」


アルはあからさまにやれやれといったようなジェスチャーをした。


「これを知ったって何にもならないだろ」


紙をくしゃりと握りしめる。また苛立ちを覚え始めてきた。俺はコイツといるとイライラしてばかりだ。


ひとつため息をつき、少し乱雑な態度でもう一方の紙を取る。そこには、なんとも上手とは言い難い絵が描かれていた。線はぐにゃぐにゃで頭身もおかしい。ティーカップらしきものを手に持っているが、最初は猫かと思った。絵の周りにはターゲットの情報が箇条書きで書かれている。


「…なるほど、これは」


「ターゲットの容姿だよ。なかなか上手だろう」


まさかの発言に思わず2度見する。アルの表情を見る限り、本気で自信があるらしい。流石にここまで突っ込むのは野暮だと思い、俺はとりあえず、紙を机の真ん中に置いた。


「身長は約175cm前後。短髪の紫髪で前髪が長く目にかかっている。細目で瞳の色は黒。灰色のベストに黒いネクタイとズボン。左手首に真鍮のブレスレット……」


ふむ……。と頷きながらターゲットの情報を上から読んでいく。この情報から連想される見た目、どこかで見たことがあるような...。


「僕はこの人をカフェで2回見た事がある。1回目は家の鍵を忘れてカフェで暇を潰していた時。2回目はお気に入りの本を読んでいた時。2回目の時に、俺は例の話をしているところに出くわしたってわけ」


「で、その例の話は?」


するとアルは両手で俺を制す。まあ待て、と言いたいのだろう。


「はいはいそんなに焦らないで。まずは段取りが大事なんだから。1杯紅茶をどうだい」


「ここは俺の部屋なんだがなぁ」


俺が呆れているっていうのに、自分が家主であるとでもいうような堂々とした態度で、アルは俺が座っている席の真後ろにあるキッチンに向かう。お世辞にも使いやすいとは言えないが、必要最低限の物は揃っている小さなキッチンだ。寮生1人ずつの部屋に用意されているのはなかなか嬉しい。


「茶葉はどこ?」


「右上の棚」


俺も紅茶が飲みたくなってきたのもあり、仕方なく場所を教えてやる。アルは指示通り棚をあけ、そこから俺のお気に入りのアールグレイティーの箱を取り出した。


「コップは下の食器棚に入ってるよ。どれが好きなの2個とって」


ようやく用意が済んだのだろう。勝手に取ったプレートにはティーカップ2つとティーポットを乗せてやって来た。ティーカップは赤と青の2種類あり、どちらにもイチジクの葉が描かれている。昔両親に貰ったお気に入りだ。


「良いティーカップだね。紅茶はその場の雰囲気まで完成させないと美味しくならない」


「お前は紅茶評論家か何かなのか?」


「僕は意外にロマンチズムだからね。同級の部屋で2人、午後六時の暗がり始める空の下で一緒に飲むアールグレイティーは格別だよ」


そう言いながら、アルはティーポットの蓋を開け、指で水紋様の線を描き始める。それを俺は、頬杖をつきながら眺めていた。


「学園外での不要な魔法はご法度だぞ」


「さっき君も使おうとしてたじゃない」


「それはやむを得ずだ。さっき言ったろ。それに責任はほぼお前にあるし……。後、日常生活の端々まで魔法に頼るのは良くない」


「一般生活魔法だからセーフだよ。学園のルールブックにも書いてあった。これは丁度いい温度のお湯を出してくれる魔法だ」


「一般生活魔法ねぇ...」と言葉を反芻する。それは、攻撃魔法や防御魔法、その他諸々の時に使うであろう杖を必要としない、一般人でも簡単に使える魔法のことだ。部屋の埃を一切取り除く魔法、髪を綺麗に結ぶ魔法、調味料を的確な量入れる魔法などそれはもう星の数ほどあり、少ない魔力で便利に使えることから長年沢山の人に愛され、日々増え続けてきた。しかし、現代では人々が魔法に頼りすぎていることが問題視されるようになり、そのせいで今よりももっと魔法の規制を厳しくするよう、デモ活動を行う人々も出てきている。小さな社会問題だ。


そんなことを考えながら、頬杖をつく。


「お前みたいなやつがいるから規制が激しくなるんだ」


「昔よりも人の有する魔力が年々減ってきているから問題になっているんだろ。だから魔力を大量消費する治癒魔法も軽視されるようになったんだ。全く、最低なとばっちりだよ」


アルがティーポットにお湯を入れ終わり、ゆらゆらと小さな湯気が蓋の穴から上り始める。次に茶葉をティーポットの中に入れ、アルは事の経緯を話し始めた。


「あの日は一日中雨が降っていてね。永遠に夕食後のデザートだけが運ばれないようなもどかしさの残る天気だったよ」


「良くわからない比喩だな」


俺のツッコミを他所に、アルはティーポットの蓋を閉めてまた話しを続ける。


「僕は休日だったのを良いことに朝からカフェに入り浸っていてね。入口から見て1番左奥の、レトロなデスクライトとアンティーク調の机が素敵な席に座っていたんだ」


アルは何故かまた人差し指を立てる。


「時刻は午後1時。僕は朝の9時ら辺からカフェに居たんだけど、午後1時になってやっと次のお客さんが入ってきたんだ。いくらこじんまりとしたカフェだからって、いつもなら絶対にありえない事態なんだ。違和感を覚えた僕は注意深く2人目のお客さんの様子を伺っててね。そしてそいつはカウンター席に座った。なかなか度胸のあるやつだと思ったよ。何せカウンター席はベテラン中のベテラン客しか座れないんだから」


朝九時から4時間もカフェに居座るのは営業的にどうなのだろうか、という疑問は一度心の中に仕舞い、大人しくアルの話を聞く。


「やけに店主と仲良さげに話しているものだからつい聞き耳を立てちゃってね。そしたらたまたまポラリスの話をしてたって訳」


「で、実際何の話をしてたんだ?内容によっちゃあ俺らの宿題はここで終わりを迎えることができるが」


「それが上手く聞き取れなくてねぇ。多分だけど、相手は錯乱魔法を使ってただろうから、節々しか聞こえないようにしてたんだ」


「つまり、錯乱魔法を使うくらいには下心があると」


「そうなんだよ。でも″ポラリス"、″隣国"、″スパゲッティ"って言うワードが何回も出てきてたんだ」


スパゲッティというワードに違和感を持つ。「恐らく、スパゲッティは隠語だな」


「だろうね。そのおかげもあってソイツが本当に密売人だという確信は持てない。ただスパゲッティとポラリスの話題が被っただけかもしれないし。でも限りなく相手は黒に近い。これは僕しか持っていない情報だと言っても過言では無いよ」


「というか、そうなると店主も黒の可能性が高くないか?」


「残念ながらね」


まるで今俺がそう聞くのを知っていたかのような、落ち着きっぷりだった。ショックではないのか。


そう思って、わざとしかめっ面でアルを睨んでみるも、こちらの気など気にする様子はなく、ティーカップに紅茶を注ぎ始める。心地よいアールグレイティーの香りが鼻腔をくすぐり、心に安らぎをもたらした。


2つのカップに紅茶を入れ終わると、アルがこちらに向き直る。


「だから2人で任務を遂行したかったんだ。2対1はさすがにキツイ」


「任務って、随分と大仰な言い方だな」


「この言い方の方がワクワクするだろう?」


アルが俺に青色のティーカップを渡す。それを手に取り、まずはカップを鼻に近づけ、香りを楽しむ。十分に香りを味わい、そしてカップに口付ける。アールグレイティー特有のどこか爽やかで、しかし上品で飲みやすい軽やかさがとても好きだ。紅茶を一杯飲んだところで、俺はアルに伝えてやる。


「しかしこれは朗報なのか悲報なのか、まぁ、良かったなアル。ソイツは多分確実に黒だぞ」


「へぇ、なんで」


俺は先程感じた、朧気で細々になった記憶の欠片を集め終わったところだったので、その答えをアルに教えてやる。


「何週間か前の新聞に、ポラリスの密売人と思わしき人物の写真が何人か載っていてな。その1人に前髪が長くて細目の男の写真があった」


するとアルがあからさまに落胆した表情になる。こいつが普段ニューを見ないから、直ぐに気がつけないのだ。


「なーんだ。つまり、これはもう世間に知られた内容だったってことね」


「いや、まだこちらの方が有利だぞ。ほら、カフェの店主だ」


「それはそうだけど。チケットへの鍵がひとつ消えちゃったわけだし。あと、単純にショック」


なんだ、ちゃんと悲しんでいたんだ。


「別に、情報量だけで勝負するわけじゃないだろ。質だって大事だ」


紅茶を1口すする。


「ま、コロロの件は残念だったね。これが本当だったら、店仕舞いかな」


俺の言葉に対し、アルは大きく長いため息をついた。


「行きつけのカフェの店主が犯罪者って、こんな事あるもんなんだなぁ。でもまぁ、僕らは新しい情報を今1つ掴んでいるって事だろ。このまま上手いこと密売人の後をつけて、もう1つくらい新しい情報を手に入れることが出来たら、大図書館への道も確実だよねぇ」


コロロの事は諦めるよ。と、あからさまに声のトーンが下がったアルを横目に、俺は1番言いたかったことを口に出すことにした。


「もし本気で密売人に会うなら、あまり言いたくないが、死者が出るかもしれない」


これは、どちらかが死ぬ可能性があるということだ。それか、どちらも死ぬか、何も関係ない人を巻き込んでしまうか。


しかしアルは、待ってましたと言わんばかりの表情で俺を見つめてくる。いわゆるドヤ顔だ。


「出さないし出せない。これは確実だ。一緒にいたらわかるよ」


そう言ってアルは右手を差し出す。ロッカーの前でも同じことをしていた。見覚えのある、まっさらで傷一つない手だ。だが今ならわかる。確かに、こいつの手が傷だらけになるはずがない。治癒魔法が得意なだけある。


多分これ以上何か言っても無駄だと思い、俺はため息をつきながら、アルの手を取った。今日で、2回目の握手。


「いいよ。わかった。やるよ。でも、俺が本気でやばいと思ったら、即座にお前を置いていくからな」


「良いよ。多分できないだろうけどね」


「あと作戦をちゃんと立てよう。お前の気まぐれに合わせるのは御免だ」


そういうとアルは少しだけ複雑そうな顔をしたが、すぐにまた笑顔になった。


「人生初の友達だ」


「だから、春休みの間だけだって……」


「いいだろう。ほら、早く荷造りして。19時になる前にはここを出よう」


「出るって、まさか本気で俺はお前の家に行かなきゃならないのか」


「勿論。そのつもりで話を進めてるのかと」


「頼む。頼むから、勝手に頭の中で完結しないで、なにか提案や思惑があるなら随時その時俺に言ってくれ。そして俺が答えを出すまで勝手に話を進めないでくれ」


だがアルは全く話を聞いている様子はなく、勝手に俺の部屋のクローゼットを開け始めた。俺はまたも頭を抱える。色々言いたいことはあるが、まあそれは、こいつの家に着いてからにしよう。

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