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 目標としていた日なのかそうじゃなかったのかは、結局この日まで答えを出せなかった。

流星群のニュースは、ネット記事の目立たないところに表示されている。窓の外は暗闇が広がり、目を凝らせばあちこちに星が瞬いていた。


 かっこよく、俺が絶対に雨音ちゃんを助けるなんてヒーローのように決意できればよかったけど実際は、雨音ちゃんとしっかり気持ちを通じ合ったわけでもなく、うじうじと悩んでしまった。

 それでも、雨音ちゃんを好きな気持ちを頼りに、目の前のクジラのぬいぐるみに話しかける。



 「なぁ、俺はこれが正解なのかはわからない。けど、雨音ちゃんと一緒にいたい気持ちは本当なんだ」


 クジラは何も答えずかわいい瞳をこちらに向けたままだ。


 「俺はずっと、何もできなかった。雨音ちゃんに甘えてばっかりだった。」


 「きっと、俺に話せない悩みとかあったと思うけど」


 「………俺は雨音ちゃんと一緒にいたい」



 すると、クジラが小さく震えだし、ぱあっと光を放ち始める。驚いて手を放してしまうとそのまま空中にとどまり、ゆっくりとこちらに顔を向ける。


 (………ホントウニ?)


 頭の中に声が響くような感覚がする。耳からじゃなく、脳内をめぐるような音。


 「………本当だ。なぁ、ひとつ考えたんだけどさ」


 (ナニ?)


 「雨音ちゃんをこの世界に戻すことはできないのか?」


 これはずっと考えてた疑問だ。もしどこかの世界に雨音ちゃんがいるんだとしたら、こちらの世界に戻してあげることはできないのかとずっと思っていた。



 (デキルケド、デキナイ。アマネガ、ノゾンデイナイカラ)


 「そう………なのか。」


 別の世界に突然飛ばされても、雨音ちゃんはこちらに帰りたくなくなった事情でもあるんだろうか。


 「雨音ちゃんはどこかの世界で幸せに暮らしてるってことか?」


 (シアワセダケド、シアワセジャナイ)


 「どうして?」


 (キミガ イナイカラ)


 「そう……か。それじゃあ雨音ちゃんがいる世界に俺も連れて行ってくれないか」


 (ソレヲ ホントウニ ノゾムノ?)


 「ああ………決めたんだ。」


 (ワカッタヨ キミガノゾムヨウニ)



 そういうとクジラのぬいぐるみはさらに強い光を放つ。部屋の中が昼間と同じくらい照らされて、眩しくて目を開けていられず、手でさっと覆ってしまった。


 するとなぜか意識まで遠くなってきたようで、とっさにクジラのぬいぐるみを掴み、そのまま気が遠くなっていき、俺は気を失ってしまった。








 ベッドで寝ていたっけ……と働かない頭で起き上がり、辺りを見回すとそこは見慣れた自分の家ではなく、木々の生い茂る森の中だった。そして、横にはちゃんとある程度まとめていた荷物と、さっきまで会話していたはずのクジラのぬいぐるみが一緒に転がっていた。


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