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とあるお姫様Vtuber、ダンジョン配信を切り忘れたまま危険度SS級ドラゴンをワンパンしてしまい、キャラ崩壊とバズりが止まらない!?  作者: コータ


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32/50

リアルVtuber

 雑談配信が終了し、数日が経過した。


 琴葉は配信なしでダンジョンに潜ったり、玲奈や他の友達と遊んでいたり、学校の宿題に奮闘したりとそれなりに忙しい日々を過ごしていた。


 しかし、レムスは彼女の行動についてあれこれ考えている。異例とも言える長期SNSトレンド一位の座に、今もなおヒメノンは座っている。


 ダンジョンの帰り道、レムスはリュックになった自分を背負う琴葉に質問することにした。


「姫サマハ何故、今日配信ヲシナカッタノデスカ?」

「え? うーん。なんていうか、気分? みたいな」

「気分?」

「うん。だっていつもみんなに見られてると緊張しちゃうでしょ? たまには気にせず暴れたくなっちゃうじゃん」

「ソノ暴レテル所ヲ映セバ良イノデハ?」

「ん、んー」


 表情は見えないが、恐らく琴葉はもじもじしているのだろうと、付き合いが長くなってきたマシーンは予想している。そういった予想は、大抵の場合は当たっていた。


「なんか、ちょっと緊張しちゃうの。最近」

「以前ヨリ緊張シテイルヨウデスネ」

「そうなの! なんか緊張しなくなる方法ってないのかな? まどかさんはそのうち慣れるって言ってくれたんだけど、平気になった自分が想像できないの」

「姫サマハ、3D配信ヲ辞メテカラ緊張サレテイマス」

「あ! そうそう! 身バレしちゃってるから、何かあるとすぐ学校のみんなに知られちゃうじゃん。だから緊張するのかなぁー」

「ナルホド、デハ解決デキマスヨ」

「え!? ホントに?」

「ハイ。帰ッタラ準備シマスネ。明日マデニ間二合イマス」

「レムちゃんってホント凄いね! 超助かる!」


 それから主の足取りが軽くなってきたのを感じた。スキップまで初めそうな勢いで鼻歌を口ずさんでいる。レムスは静かに解決策の工程をシミュレートしていた。


 ◇


 琴葉が家に帰ってから数時間後。ご飯を終えた海原家にはまだ父は帰宅しておらず、母と娘がリビングで雑談しながらくつろいでいた。


 ただ、こういった場にいつもいるはずのレムスが姿を見せていない。どうやら庭に設置された小屋にいるようなのだが。


「レムちゃん、今日はどうしてるのかしら?」

「え? うん。なんか作ってくれてるみたい。明日、ちょっと用事があるの」

「ダンジョンだっけ? 琴葉、あんまり危ないことはしちゃダメよ」

「う、うん……大丈夫」


 ちょっとだけ小声になって苦笑いする娘の反応に、母は何か嫌な予感を覚えてしまう。でも最近ではしっかりした相棒もいるようだし、多分大丈夫と思っていた時、レムスが小屋から戻ってきた。


「姫サマ、オ喜ビ下サイ。デキマシタ」

「え!? もうできちゃったの? すごーい!」

「コノ場デデキマスヨ」

「この場で!? なになにー? やって!」


 目をキラキラさせて、彼女はレムスが作った解決方法を知りたがる。母は紅茶を飲んでテレビを見ながら、ぼんやりとその姿を見守っていた。


「あら、何か始まるの?」

「デハ、開始シマス」


 よく見ると、レムスのおでこ辺りに額当てが設置されている。そこから奇妙な虹色のビームが放たれ、ゆっくりと琴葉を照射していた。


「え!? ちょ、ちょっと待ってレムちゃん! これ何!?」

「現実空間デモ変身デキル光線デス」

「へ? へんしん?」


 訳も分からず光を浴びていた琴葉だったが、特に何かが変わったようには思えなかった。しかし、照射が続くにつれて、母親の口があんぐりと開いていった。


「おかーちゃん、どうしたの?」

「あ、あらあらあらー!」

「完了デス」

「んん? 何も変わってなくな……ぃい」


 ふと下を見ると、部屋着になっていたはずの服が変わっていた。まるでアニメにでも登場しそうな、黄色いドレス姿である。


「凄いー! 服がドレスに変わってる!」

「3Dメイクデス。見タ目ハ変ワッテマスガ、中身ハ変化アリマセン」


 ドレスに触れてみると、確かにスカート部分などは感触がない。どうやら、見た感じだけ現実でも3Dになれる、ということらしい。


 くるくると回ってみて、現実でもお姫さまになったような気分。琴葉は楽しくて仕方なかった。


「やったー! すっごい楽しい。じゃあこれで明日も頑張るね。ありがとうレムちゃん!」

「ドウイタシマシテ」


 しかし、その姿を凝視している母親の顔は、まるで怪物でも見ているかのようだ。


「あれ? どうしたの?」

「ど、どうってその。顔が凄いことになってない?」

「んん?」


 琴葉は洗面台まで向かうと、鏡を見つめようと接近したところで足を止めた。


「え」


 恐る恐る近づいていく。すると鏡には、あの3Dポリゴンそのままの顔が映っている。オレンジ色の巻き髪はともかくとして、荒いポリゴン顔がひたすらに不気味であった。


「きゃああー!? ちょ、ちょっとレムちゃーん!」

「ハイ」

「顔、やっばいんだけど!?」

「ハイ。顔モ3Dニナリマス。姫サマハ実際ノ顔ニナッテシマウト緊張スルヨウデシタノデ、コレデ解決デス」

「ちょっとおおお!? すっごい怖いよおおお! ねえ、いつ戻れるの!?」

「ゴ安心ヲ。三時間後ニハ戻リマスデス」

「三時間も!?」


 すると、玄関のドアが開く音がした。父親が会社から帰ってきたようだ。


「ただいまー」

「あ、おとーちゃんおかえり」

「あ、ただい……うわあ!? ば、化け物!?」


 思わず腰を抜かしそうになり、父は玄関の外に転んでしまう。


「あ!? ちょっと待って! これは違うの!」

「オヤ、予想シテイタ反応トハ、少々異ナッテイマス」

「レムちゃんってば冷静すぎ! おとーちゃん」

「うわあ! く、来るな!」

「待って! あたしなの!」

「うわあああ!?」


 すぐに助けに行こうとしたが、ポリゴンの怪物状態となった琴葉を近所の人々も発見し、周囲は大騒ぎに。


 結果的に収集がついたのは三時間後だったが、彼女はまた一つ騒ぎを起こしたのだった。

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