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幼馴染Vtuber、暴走するってよ  作者: 日陰浴
企業編

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26/159

配信開始

もう影縫くんが主人公でいいんじゃねーの、、、、?と思うこの頃です。まぁ、主人公変更はしませんが。

 埃の被ったヘッドホンを棚から取り出す。

 最後に使ったのはいつだろうか。最近は安物のイヤホンでばかり配信をしていた気がする。

「俺にとってある種の神聖な物だったのかも」

 リークから足を洗った今になってみると、このヘッドホンは俺のVtuberとしての矜持だったのかもしれない。

 俺はデスクに取り付けているスタンドライトの電源を入れる。

 PCの電源を付けると6月26日という日付が目に入った。

「影縫 ミナトの二度目の初配信か・・・・」

 まさかこんな形で企業に入ることになろうとは毛程も想像していなかった。

「電車が来るまで・・・・うん。あと二時間は余裕がありそうだ」

 余裕があるとはいっても、いかんせん、することがない。手持ち無沙汰なこの現状。一体全体どうしたものか。

 少し考え込む。

 そうだ、部屋の整理をしよう。とテスト前の学生染みた思いつきで部屋の収納を開けてみた。

 そこには先のヘッドホン同様、埃塗れのバイノーラルマイクやタイマー、編集機材が随分と寂れた姿で眠っていた。

「こんな所に眠らせてごめんな?」

 道具向かってぶつぶつ。側から見たらやべぇ奴確定である。

 とはいえ、彼らは俺を昔から支えてくれたのだ。もう家族みたいなものである。まぁ、独り身だけど。

「よいしょ、と」

 フローリングに新聞を敷き、そこに胡座をかくと、俺はタオルとエアダスターを両手に彼らの埃を拭き取り始めた。

        ◆◇◆◇◆

「いーきーたーくーなーいー!」

「お、おま、美納葉このッ!動けッ!」

「動く、動く」

「何故に少女終○旅行・・・・じゃなくて電車がもう直ぐで来るんだよ!早くしろ!お前が始めた物語だろ!」

 現在、俺は俺の部屋を占拠している、かの邪智暴虐の幼馴染を動かそうと奮闘していた。

 美納葉には常識がわからぬ。

 美納葉は俺のベッドの縁を片手で持ち、意地でも部屋から出まいとしていた。

 俺は美納葉の脚を両手で掴み、全力でうんとこしょどっこいしょする。それでも美納葉は抜けません。一体どんな握力をしてやがる、こっちは両手だぞ。化け物め。

「あと」

「あと五分とか言うなよ?」

「地球が超新星爆発を起こすまでー!」

「お前の地球(心臓)を超新星爆発しても良いんだぞ?」

「スミマセンユルシテ」

「なら行くぞ」

「奈良!?大仏壊したい!」

「松永久秀かな?」

 コイツは戦国時代屈指の茶器野郎にしてボンバーマンである松永久秀の血を引いているのだろうか?その内茶器に火薬詰めない?大丈夫?

 なお、実際の松永久秀は茶器と共に爆散などしていないとのこと。

 結局、俺達が家を出れたのは電車に乗る事が出来るかどうかのギリギリの時間だった。

        ◆◇◆◇◆

「うん!綺麗になった!」

 俺は新品のようになった機材をデスクに配置する。一度置いてみたらあの頃の配置そのままで驚いた。身体が覚えてるものだなぁ。

 腰に手を当て、誰もいないのに自慢げな表情をする。一人暮らしが長いと謎行動が増えてしまうから困る。

「おっ」

 時計を見ると、そろそろ家を出る時間だった。

 初配信用のヘッドホンと財布、スマートフォンだけをショルダーバッグに放り込み、アパートを出る。

 駐輪場に出て、自分の自転車に鍵を差し込むとスタンドを蹴り上げる。

 その勢いのままサドルに乗る。

「行ってきます!」

 さあ、出航の準備は整った。港の荒波も落ち着いた。

 影縫 ミナトは沖合に向けて漕ぎ出した。

        ◆◇◆◇◆

「な、何とか間に合った・・・・」

「スリル満点で楽しかった!」

「何でお前は楽しめるんだよ・・・・危うく遅刻するところだったぞ」

「大丈夫大丈夫!みんなやってる!」

「そんな薬物の売り子みたいな言い方で遅刻を推奨するな」

 そこだけ切り取ったら犯罪臭が凄いぞ。警察に聞かれたらどうする。

 磨りガラスの玄関を通ると、スタッフの方々が慌ただしく動いていた。とりあえず美納葉が彼らの邪魔をしそうだったので簀巻きにしておいた。

「事前に言われていた"楽屋1"は・・・・あった」

 楽屋1という部屋名だが、この前の会議室となんら変わらない。テーブルがあるだけだ。

 レバー式のハンドルを下に押し込み、ドアを廊下側に引く。

 すると、

「わ!?不審者!?」

 妙に怯えた様子の少年がいた。影縫くんだ。

「失敬な。誰が不審者だ」

「いやいやいや!?ロープでぐるぐるに拘束した人間を抱えているのにそれは無理があるよ!?」

「影縫くん。この世には封じておかなければいけない禁忌というものがあるんだ」

「幼馴染を禁忌扱い!?」

 どうしてこの人は驚いているのだろうか。

 そんな風に会話をしていると、背後からガチャと扉が開く音が聞こえた。

「あの皆さん?そろそろ本番なので移動お願いします」

「あっハイ」

        ◆◇◆◇◆

 俺達は配信部屋的な場所に連れてこられ、それぞれ画面の前に座る。

 しばらくすると、皆山さんが出てきて今回の説明を始めた。

「えーと、今回配信待機時間にちょっとした動画を流しますので、そこだけ覚えてもらったら大丈夫です」

「はい」

「自己紹介の順は影縫さん、本能寺さん延暦寺さんの順となります。本能寺さんと延暦寺さんは同じタイミングでお願いします」

「分かりました」

「あと、くれぐれもコンプライアンスは守って下さい。特に延暦寺さんと本能寺さん」

「いやー・・・・それはちょっと保証できないというか・・・・」

「えっ」

「そもそも存在がコンプライアンス違反みたいなとこありますし」

「歩く規約違反!」

「えー・・・・」

 あ、凄い。皆山さんが死にそうな顔してる。ごめんなさい。けど俺達を起用するってそういうことだと思うから我慢して下さい。


「あの、」

 唐突に影縫くんが口を開いた。

「何ですか?」

「えーと、ヘッドホン持参したんですけど、これを使ってもいいですか?」

 確かに影縫くんの手には白いヘッドホンがあった。細かい傷が其処彼処にあり使い込まれていると一目で分かった。

「・・・・?マイクがあるから要らないと思いますが?どういう意味で?」

 皆山さんは首を傾げる。

「・・・・このヘッドホンは長い事愛用していて・・・・所謂相棒というやつでして、出来ればこいつを使ってあげたいんです」

 見た感じ、そこまで高級な品でもなさそうだ。けれど、『相棒』と言うぐらいだ、よほど愛着があるのだろう。

「いいですよ」

 多少の間が空き、皆山さんが頷くと、影縫くんの顔が輝いた。

「ありがとうございます!」

        ◆◇◆◇◆

     <配信が始まりました>


 配信開始のカウントダウンが0になる。

 すると同時、画面が暗転した。

 そのまま数分間、変化が無かった。

 

『あれ?』

『始まらない?』

『あれ、ミス?』


 コメント欄が困惑を示す中、画面に一つのテロップが表示される。


       "全米が泣いた"


『何でだよw』

『ここ日本だぞw』

『喜びで咽び泣けと?』

『動画か』


 テロップは止まる事はなく、次々と文字が表示される。


 "あ、やっぱり全ライバーズ職員が泣いた"

 

『草』

『急にスケール小さくなるなよw』

『何が"あ、やっぱり"だよw』

『緊張感よw』


 "ライバーズ2.5期生もうすぐデビュー!"


 そのテロップが流れた後、画面が白く染まり、一つの映像が流れ出す。

 それはライバーズ事務所のとある一室で、撮られた録画映像だった。

 その画面には苦い表情の皆山が映っていた。


"「いや、もう本当に、泣きましたね。それとめちゃくちゃ胃が痛かった・・・・急にストライキ起こされて、新人を入れる羽目になるとは思いませんでした」"


 動画が終わるとすかさずテロップが補足するように現れる。


"説明しよう!今回の新人はライバーズ1〜2期生全員が『新人を入れないと辞めるぞ』とスタッフに脅しをかけた事で誕生したのだ!"


『スタッフさんw』

『"説明しよう!"じゃねーよw』

『草』

『テロップ草』

『ひでぇwwwww』

『O☆DO☆SHI』


    "では行こう!新人の凱旋だ!"

最後まで読んでいただき、感謝です!

次回はスレッド回ではなく通常話回の予定です!

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