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第九話 花火

 


 あの出来事から日は過ぎ、ソラの生活は一変した。

 あれから家のみんなとも助け合いながら生活していき、馴染もうとしなかった学校でもユウキの助けもありながら、友達ができ充実した日常を送っていく。

 そんな学校生活も夏休みがやってきた。毎日暑い日差しの中で外で遊び、プールで泳いだり、夏休みの楽しみは尽きることがなかった。ソラにあの絶望とした面影はなく年相応の夏休みを満喫する子供の顔をしていた。

 夏休みも終盤に差し掛かったある日、近くの地域で花火大会が開かれることになった。それをみんなで見に行くことになり夕方から美穂の車で出発し、子どもたちはわくわくしながら車内で盛り上がる。そして、花火大会の会場に到着した一同は車から降りると、会場はお祭りごとのように屋台が展開する。少し早く到着した事もありみんなで屋台を楽しみことになった。


「ミホかーさん!焼きそば食べたーい」


「あたしはりんご飴!」


「ぼくは、その二つにたこ焼き、フランクフルト、お好み焼き、やきとり、唐揚げ棒、かき氷………」


「はっ、ハヤト!?………ちょっと食べすぎじゃないかな?」


 そんな、楽しそうなみんなを眺めながら、僕も祭りの雰囲気を楽しんでいた時、


「あっ、あれ!?あやがいないよ!?」


「「「!?」」」


 ジュンタが声をあげると、みんなで辺りを見回す。さっきまで僕たちについてきたアヤの姿が見えない。


「どうしよう!はぐれちゃったのかな!?」


「人だかりも多くなったし早く見つけないと………」


 花火の打ち上げも近くなり人数も増えていく。


「みんなここで待ってて!わたしが探してくるから………」


 美穂さんがそう言って、人混みの中に飛びこもうとする。


「ミホかーさん待って!おれもいく」ユウキが美穂さんについて行こうとしていて、


「僕も探しにいきます!」僕も、アヤ探しに立候補する。


「………わかったわ。フミとハヤトはジュンタをお願い。わたし達でアヤを探しに行くから何かあったらここに集合して!」


 こうして、美穂さん、ユウキ、僕でアヤを探すことに三手に別れて会場の端からくまなく探すことしばらくして………


「………………!?アヤっ!?」


 僕が屋台を見渡していた時、アクセサリーの屋台で品をジッと見ているアヤを見つけた。


「アヤっ!!」 僕はアヤに声をかけた。


「あっ!ソラにぃ~~どうしたの?」 呑気に僕に手を振るアヤ。あの様子だと自分が迷子だったことに気付いてないらしい。


「ちゃんとついてこなきゃダメじゃないか!みんな心配してるよ」


「そうなの?でもソラ兄ぃも一人だよ?ソラにぃもまいごなの?」


「………………」案外この子は大物になるかもと思った。


「それよりソラにぃ、みて~~」


  アヤはもう一度、視線を品に移し一つのアクセサリーを指さす。それは、大きな赤いリボンにキラキラの装飾が施されている。そのリボンは屋台の照明に照らされ輝きを放っていた。


「きれいだね~~~」 アヤがうっとりと呟く。


「………ほしい?」 ソラがアヤに聞いてみると、アヤは瞳を輝かせる。価格をみても僕でも買えるほど安い値段だったので一つ買ってあげることにした。買ってあげたリボンを早速頭につけて嬉しそうなアヤ。


「そらにぃありがとう~、あや、かわいい?」


「うん、よく似合ってる。それじゃ、みんなのところに戻ろうっか」


「うん!」元気いっぱいに返事をするアヤの小さな手を握り、集合場所に向かう………

 その途中で、ふと僕らの足が止まり、とある家族の姿が映る。それは父親と母親に挟まれた浴衣をきた女の子。三人とも楽しそうに祭りを楽しんでいるようだ。ふと女の子は父親に肩車されキャッキャッと声をあげる。


「………あのこ、たのしそう………」 隣でポツリとアヤが呟く。


 視線は、女の子と父親に釘付けになっていた。………アヤには母親代わりの美穂さんがいても父親がいないからその姿が印象的なのだろうか?


「やっぱり、お父さんがいないと寂しい?」 


 無意識に口に出てしまい口を塞ぐが、聞こえてしまったらしく「さびしい」とアヤが答える。

 だが………


「でもね!あやにはかわりにおにぃちゃんたちが、いっぱいいるからへいきだよ!」


 と言い切った。


「………そっか………それはよかった」 


 その言葉になぜか救われたような気持ちになるソラはアヤの手をしっかり握り直し、もう一度歩きだす。もうあの親子の姿は人混みに紛れてもう見えない。その後、僕たちは合流し花火を見るため、移動した。



 ========


「おおおおお、でけー!すごーい!」


 夜になり、花火が上がると、子どもたちは歓声をあげた。大きな花火が次々と上がり、色とりどりの光が広がる様子は、まるで夢の中のようだった。


「すっごく、きれい~~!!」


 子どもたちが感動していると、美穂も笑顔で眺めていた。みんなで暮らす子どもたちは、普段はそんなに贅沢なことはできないが、この夜だけは特別な夜だ。


「ねえ、みんな、この後は家の庭で続きの花火もしよっか!」


 美穂が提案すると、子どもたちは大喜びで手を叩いた。夏休みの思い出とともに、この夜は子どもたちにとって特別なものとなった。

 

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