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59人目のトランスファー  作者: 神谷 ふり
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入学編 5

面談がとうとう始まりそうです。でもその前に、個性的な同級生と交流をしましょう。

次の日、8時30分に四人は教室の自分の席に着席していた。

「はい、本日は、四人全員、個人面談を実施します。」

「あのー。面談の相手の先生は誰ですか?」

千鳥がそう尋ねると、清水は答えた。

「もちろん、全員、私とです。面談をしていない間は、自由時間とします。校舎を探検したり、自分の部屋にいても構いませんが、面談の時間だけは厳守でお願いします。では、面談の順番と時間を言います。一番初めは、双葉 ペガサスくん。9時より始めます。次は、岸 美雪さん。10時から。次は、笑原 千鳥くん。11時から。最後は、真琴 創くん。12時から。時間厳守でしっかりまもるように!場所は、リラックスしていただきたいので、私の部屋22番でします。以上です。」

言うことだけ言うと、清水は教室から出て行った。

「昨日は、ゆっくりお休みになれましたか?」

美雪が三人に尋ねた。千鳥が答えようとするも、美雪は話し出した。

「昨日は、清水先生に寮まで音速以上の速度で連れてきていただき、自室まで案内していただいた後、異世界の研究の中心部を見学させていただきましたの!未知のものばかりで、心が揺さぶられましたわ。そこで、皆様にお願いがありますの!」

ペラペラ聞いてもないことを話し出した美雪に男子三人は全員、「変な人だな〜。」と感じた。

「皆様に!私の部屋の荷解きを手伝っていただきたいのです!」

「はあ〜〜〜〜〜〜!?」

千鳥と天馬は声を合わせて反応した。

「私、こう見えて、家事が苦手ですの。実家では、メイドがしてくださっていたので・・・。面談の時間まで、付き合っていただけませんか?」

「あ、僕は、面談の前にトイレ行くから! お先!」

天馬は、その場から逃げた。

「あ!おい!逃げたなー!」

「双葉さんには後でお願いするとして、笑さん!真琴さん!手伝ってくださいますよ!ね!」

どんどん迫ってくる美雪の圧に耐えられなくなった創は、「い、いいですよ!」と言ってしまった。「はあああ。」千鳥は頭を抱えた。

「やった!!!!では、私の部屋へ!」


9時 57番美雪の部屋

「今頃、双葉の面談が始まったぐらいやな。」

千鳥はダンボールを開けながら、時計を見た。

「それにしても、この大量の段ボール、全部があんたの荷物かいな。」

「これでも選別した方ですわ。入学前に清水先生が私の家にいらっしゃったときに、『あなたにとっては、寮の部屋は狭く感じるかもしれませんので、持っていくものの量は想像よりも減らした方が良いかもしれません。』っておっしゃったので。」

「それでこれ?」

創はコツコツ、ダンボールを開けていた。

「個人面談って、何聞かれるんやろ?」

「昨日、清水先生にお尋ねしたときは、

『別に、面接ではないので、気軽に臨んでいただきたいのですが。まあ、異世界転移の経験や書いていただいた入学動機を元に本校で何を目指したいかなどのお話なので、緊張しなくて大丈夫です。』っておしゃっていたので、気軽に話す感じでよろしいのでは?」

「でも、あの、清水先生やで?昨日会ったばっかやけど、厳しそうやん?気軽に臨んでいただきたい。って言われてもな〜。なあ?真琴?」

「へ?」

創は一人でコツコツダンボールを開けていたので、何も聞いてなかった。

「あ、あの、岸さん。これって、ど、どこに?」

色々な本が入った段ボールを美雪に見せると、美雪が後ろのダンボールの山の中から、ダンボールを二つ運んできた。

「これが本棚ですの。」

ダンボールには、D I Y本棚と書かれていた。

「あ、あの、もしかして。これって、自分で作るやつですか?」

「はあい!工具箱もありますので!よろしくお願いします。」

創は、黙々と本棚の説明書を読みながら、作業していた。周りの声も聞こえずに、集中して、ひたすら本棚を作っていた。とても大きな本棚で、組み立ては簡単だが、結構な力が必要だった。黙々と作業し続け、やっと大きな本棚が完成した。汗を拭いて、達成感に満足している時、

「真琴!真琴!」

天馬が創の肩を叩いていた。

「真琴!あとちょっと、真琴の面談の時間だぞ!」

「え!?」

そう言われ、創が時計を見ると、11時45分だった。

「ホントだ!ふ、双葉くん。あ、ありがとう。」

「汗を拭いて!10分前には言っておかないと、清水先生は時間にはすごく厳しいから!」

天馬からタオルを渡され、汗を拭いた創は急いでエレベーターに乗り込んだ。二十二のボタンを押し、上下左右に揺られ、すぐに到着した。時計を見ると、11時49分。10分前に無事、着いたみたいだ。エレベーターのドアが開くと、長い廊下には、壁中に時計が埋め尽くすように飾られており、時計の針の音がチクタクと音を響かせている。その廊下では、千鳥が向こうから歩いてきた。

「真琴!」

「わ、笑原くん。」

「真琴。ちょっと急いだ方がええで。この廊下意外と長いからな。」

「わ、わかった。」

確かに、ここの廊下は長く見える。時間厳守、時間には厳しい清水先生。遅刻をする訳にはいかないと、創は走り始めた。

「ちょ!ちょっと!走らんでも!それに、廊下は!」

「走っては行けません。」

廊下の先のドアが開き、清水が出てきた。それに驚き、創は急ブレーキをかけた。

「確かにここの廊下は他の部屋の廊下よりも長く見えますが、それは錯覚です。鏡をふんだんに使っていますから。11時50分。10分前行動ができています。素晴らしい。でも、廊下を走るのはマナー違反ですよ。」

「す、すみません。」

創はしゅんと背中を丸めた。

「では早速始めましょう。中へ。」

部屋の中に招かれた創は振り返り千鳥の方を見た。千鳥は笑顔で手を振っている。創の心臓はバクバク脈を打っていた。


厳格な清水先生との面談に創は耐えられうのでしょうか。

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