085
ここから新章です!
たぶん、やっとグラム王国から出国できるはず…(;・∀・)
翌日もスッキリ目が覚めた。
『おはようございますマスター。今日もいい天気ですよ』
(あるじ、おはよ)
「ナビさんもライムもおはようー。いよいよ目的地のザラックに行けるのね…」
『ここから、馬車でゆっくり行っても明日には到着しますから…あと一週間もあれば出国できます』
「うん。この国から出たら一度ゆっくり安全空間で色々やりたい」
私は、いつも通り男物の服を着ると髪は手早く後ろで括った。
ラジオ体操で体をほぐしていると、アンナさんが部屋にやって来た。
「ブロッサム様…おはようございます。やはりその格好なのですね…」
「アンナさんおはようございます。ええ、一応女一人旅ですから念のため。本当は髪も短く切りたいんですけど…」
「それは駄目です!」
ちょっと食い気味に叫ぶアンナさん。
「だめ…ですか?」
「絶対ダメです!そんな黒くて綺麗な御髪、そうそうありませんよ!?」
「そ…そうですか…」
何だろう、アンナさんって髪の毛フェチなのかな?
『純粋に、綺麗な髪がもったいないと思っていらっしゃるだけかと思いますよ。ちなみに、こちらの世界の女性は身分関係なく小さい頃から長く伸ばして、成人すると高く結い上げるので、短い髪は男の様だと嫌がられます。あと、地位の高い男性も富の象徴として長髪にしていることが多いです』
すかさずナビさんが解説してくれた。
(って事は、男装してるなら短くした方がよくね?)
『次にここに来た時に、このメイドさんの号泣した姿が見たいのならどうぞ。とても良い方なのに』
(…ぐっ、痛いところ突いてきたな)
とりあえず私の髪の毛の事は置いておこう…。
朝食をいただいた後、アンナさんに話しかけた。
「あの、お世話になったお礼を子爵様に言いたいのですが、お会いできますか?」
「子爵様でしたら…多分、今屋敷の前で冒険者の方達をお話中だと思います。ご案内しますね」
「お願いします」
私はライムを腕に抱いて、アンナさんの後ろについて屋敷の外に出た。
そこには幌の付いた馬車が数台とまっており、次々と出発している。
(あれ?出発はお昼ごろじゃなかったっけ?)
一台の馬車の前で、ウッドとピーターが話しているのが見えた。
「残りは、この一台に詰め込めるな?」
「ええ、大丈夫だと思います。昼には間に合いますので、お待ちください」
子爵様とバートも何やら話し込んでいるが、流石に話に割り込むことは出来ないので、とりあえずここで待っておく。
「お、嬢ちゃんじゃねーか。おはようさん」
「ブロッサム様、おはようございます」
「ピーターさん、ウッドさんおはようございます」
こちらに気が付いたウッドさん達が声をかけてくれた。
「こんな朝早くに、どうしたんだい?」
「子爵様に、二日間お世話になったお礼を言おうと思ってアンナさんに案内してもらったんですが、お取込み中みたいですね」
「あぁ、そうですね、もうすぐ終わると思いますよ。アンナ案内ありがとう。君は戻って良いよ」
「はい、それでは失礼いたします」
「アンナさんありがとうござます」
ピーターはアンナを屋敷に下がらせた。
「ピーターさんも、お城ではありがとうございました」
「いえ、僕なんて大したことはできませんでしたから。気を付けて旅してくださいね」
「はい」
「ウッドさん。馬車が次々に出発してますけど、もう行くんですか?」
「ああ、あれは先発隊だな。俺らは追加ポーションが完成するのを待ってから出発になる」
「昼前には完成しますから、ブロッサム様は街でのお買い物楽しんでくださいね」
「そういうこったから、昼前に門の前ってのは変わらないぜ」
「そうなんですね、了解です」
私が乗せてもらう馬車は、ウッドさんが御者として乗り込み、バートを含めた3人が護衛として馬に乗って周りを護るらしい。
バート以外の冒険者の2人にも挨拶をしておく。
「皆さんおはようございます、今日はよろしくお願いします」
「「ブロッサムちゃん!こちらこそよろしく!!」」
皆さん元気が良い。それに、ウッドさんかバートからか話は聞いているようで、腕に抱いているライムに関しても特に何か言われるような事は無かった。
この2人は銀の上級の冒険者なんだって。
冒険者の等級はあまり良く解っていないけど、そこそこ実力のある中堅どころの階級だってさ。
うーん?わからん。
「俺たちは昼出発になるから、途中で野宿するんだけどブロッサムちゃんは大丈夫かい?」
昼出発になるとザラックへの到着が真夜中になってしまうらしいので、途中で野営をするとの事だった。
「ええ、大丈夫です。私もできることがあれば手伝いますから言ってくださいね」
「ああ、その事ならウッドさんが食事を作るのを任せたいって言ってたよ。俺たちじゃ美味い飯なんて作れないからなー」
「料理ですか…まあ、作れなくはないので大丈夫ですよ。皆さんの口に合う物が作れるかはわかりませんが…」
「いやいや、可愛い女の子が作ってくれるってだけで、こっちは食欲倍増だから!!」
「そうそう!!じゃあよろしくね!!」
そんな感じで話をしていると、子爵様とバートの話も終わったようで、二人でこちらに歩いてくる。
「子爵様、おはようございます」
「おお、ブロッサムさん、おはようございます」
「昨日はお食事にお誘いいただいたのにお断りしてしまって申し訳ありませんでした」
「いえいえ、気になさらないでください。これから国外へ出られるとお聞きしました。道中お気を付けくださいね」
「ありがとうございます」
そんなやり取りをして、子爵様はそのままお屋敷の方へ戻っていった。
「お前…昨日みたいな恰好はしないのか?」
「バートさんおはようございます」
不躾なバートの言葉に、私はにっこり営業スマイルをする。
「おい…」
無視するなと言わんばかりに声を上げるバート。
私は大げさにため息をついた。
「旅をしてる時にスカートなんて履いてたら、いざという時に動きにくいんですよ。まぁ、男装してても一発で女だってバレちゃってましたけどね?」
バートに馬に乗せられてここに来た時、ほかの冒険者の人たちに一瞬で女だと見破られていた。フードを下げて顔を出していたというのもあるだろうけど、やっぱり体の線とかでわかっちゃうんだよね。さらしで胸潰してるわけでもないし。
それでも、スカートでいたら全力で走れない。せっかくミルス様がくれた靴には俊足なんていう効果が付与されてるのに。
「俺たちが護衛するのに、そこまで気にする必要があるのか?」
「万が一に備えてですよ。それに、あのスカートじゃ馬車に乗り込めないですから」
「馬車に?」
バートが怪訝な顔をした。
「あ、やべ…」
ウッドの声が後ろから聞こえて来た。
ん?これはもしや、馬車に乗ることが伝達されていなかったのか?
「そうですよ、馬車に乗せてもらう事になってるのでよろしくお願いしますね」
とりあえずウッドの声は聞こえないふりをして、馬車に乗る宣言をしておく。
「…馬は嫌いか?」
「馬自体は嫌いでは無いですよ?でも、長時間乗るのは嫌です。ついでに言っておきますがスカートじゃ馬に跨れませんからね?」
そうだよ。スカートで馬に跨ったら足が丸見えになっちゃうじゃないか。
『マスター、女性にはドレスやスカートを身に着けた状態で乗る横乗りっていう乗馬方法があるんですよ』
(そうなの?じゃなくて、馬には乗りませんよ!?)
馬は身体のラインも芸術的だと思うよ。目もつぶらで可愛いし。
だがしかし、馬の上に乗るのはちょっと勘弁してほしい。
そりゃぁ乗馬経験があれば別だけどさ、私はそんな経験一切無いから無理なのだ。
『そのうち、乗馬出来るように練習しましょうねマスター』
(そのうちね!)
「だってよ旦那。自慢のタイドに乗せたいのは分かるが、乗馬経験の無い嬢ちゃんには酷な話だぜ?」
「タイド?」
態度か?いや違うか。
「旦那が乗ってる青鹿毛の馬の事さ」
「青鹿毛…あぁ、あの黒いお馬さんタイドって言うんですね…」
お馬さんの名前を知れたのが良いけど、私は絶対に馬車に乗るからね!
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