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食べ物も道具も買ったし、買い残しは無いかな?
『マスター、酔い止めも購入して置いた方が良いのではないでしょうか?』
「確かに!」
そうだそうだ、お薬ね!!
道端に寄ると、私は地図スキルを使った。
「えっと、薬局もしくはポーション屋を表示っと…」
地図にはいくつかしるしがあった。私が立っているすぐ近くにもお店がある様なので、その店に歩いて行った。
店内に入ると、壁一面に薬棚が並べてあった。
昔見た、風呂釜を管理している蜘蛛のお爺さんの居たところみたいだ。
「いらっしゃいませ、どんな薬をお求めですか?」
奥から出てきた店員さんは、禿げ頭でも小さいサングラスもしてない普通の男性だった。
「乗り物酔いの薬が欲しいんですが」
「酔い止めですね、少々お待ちください」
店員さんは、店の奥へ引っ込んでしまった。
なんだ、こっち側の薬棚にあるお薬は使わないのか。正方形の引き出しを開け閉めするのを期待していたのに…
お店の中をきょろきょろ見回していると、変な張り紙が目に留まった。
【ポーションをご入用の方は、サギールポーション店へお買い求めください】
「ポーションって、私が昨日貰った解毒とか、怪我を直したりするやつ?」
小声でナビに聞いてみる。
『そうです。薬草を煮出したり乾燥させるよりも薬効を引き出せる物ですね。伝説ではエリクサーと呼ばれるポーションなら、欠損した部位も治すことが出来るらしいですよ』
「おお、ふぁんたずぃー」
ポーション、ちょっと気になるからサギールポーション店にも行ってみよう。
「お待たせしました、こちらが酔い止めの丸薬です、3千ミルスになります」
「はい、ありがとうございます」
代金を支払って、薬をカバンの中にしまう。
「飲んでから30分ほどで効き始めます。効果は半日くらいで切れますのでご注意ください」
「わかりました」
薬屋さんを出ると、さっそくサギールポーション店に向かった。
暫く歩くと、前方に大きな建物が見えてきた。
豪華絢爛。という言葉がしっくりくるほど装飾が付いた派手な建物だった。
悪く言えば悪趣味。
「…ここがポーション店…思ってたんと違う…」
外見の迫力に怖気づきそうになったが、気持ちを奮い立たせていざ入店。
「いらっしゃいませー…って、平民か…」
入っていきなり、店員にメッチャ失礼な態度を取られた!!
「ポーションを見たいのですが」
「あ、はい。どうぞ勝手にご覧ください」
こいつぁ接客がなってないなぁ…
腹は立つけど、ポーションがどんなもんか確認したいから我慢だ我慢。
「じゃあ勝手に見ますね」
私はズカズカと商品の並ぶ棚に近づいた。
そこには、ファイト一発!の栄養ドリンクくらいの大きさのガラス瓶に入った液体がずらりと並んでいた。
瓶にはどこかの貴族の紋章入りの封蝋が付いている。
治癒、解毒、解呪、魔力回復なんていう物もある。
他にも、体力上昇、筋力上昇なんていうポーションもあるけど、どのポーションもくすんだ緑色をしている。
うーん、青汁みたいな色。
しかも、びっくりしたのはその値段。
安い物でも一本30万ミルス。
それだけ高いって事は、凄い効果あるのかな?
とりあえず、並んでいるポーションを全部鑑定してみる。
すると、並んでいるすべてのポーションに「低品質」と付いている…
これは…色んな意味でやべー店だな。
「どうですか、ここに並んでいるのはボルシェイク侯爵家の認可が出ている高級品ですよ。まあ、貴女のような平民では買う事は出来ませんでしょうがね」
後ろから、さっきの失礼な店員が話しかけてきた。
「…そのようですね、私でも買えるような安い物は取り扱っていますか?」
「ええ、有りますよ。ボルシェイク侯爵の認可を得ていない安物ですが、まあ平民にはこちらで十分でしょうねぇ」
店員が案内した場所には、無造作に色々なポーションの瓶が置かれていた。
その瓶には、先ほどのポーションとは違って封蝋は付いていないが、透き通るような綺麗な色合いのポーションばかりだった。
「ガイドーン家が作っている粗悪品です」
こちらのポーションも鑑定してみて驚いた。
「っ!?」
『これは壮観ですねぇ…』
ナビも思わず声を上げた。
そこには「高品質」「最高品質」の文字が並んだポーションばかりだったのだ。
え、なにこれ冗談のつもり…?
そのポーション付けられた値段を見て更に驚く。一本10000ミルス。
さっきのポーションの30分の1の値段。
意味が解らないよ。
一つだけわかるのは、これがめっちゃ良いポーションだという事。
「とりあえず、買えるだけ全部買おう」
『大賛成です。最高品質なんて、そう簡単に作れるものじゃないですよ』
とりあえず、態度の悪い店員に声をかける。
「あの、このポーション全部買います。在庫も含めて全部!!」
「ここにあるので全部ですよ。50本なので50万ミルスですが…払えます?」
馬鹿にするような顔をした店員に、私は無言で金貨を押し付ける。
「…確かに50万ミルスいただきました。どうぞ全てお持ち帰りください。ちなみにボルシェイク家公認のポーションもいかがでしょうか?お嬢様。効果もこちらの方が高いですよ?」
「あ、そっちのはいりません」
ぽんと金貨を50枚支払った私を見て、金は持ってると判断したんだろう。
気持ち悪いくらいにすり寄ってくる店員を無視して、私はカバンにポーションを詰め込んでいく。
流石に本当に全部をカバンに詰め込むのは重いので、カバンに入れるフリをして三分の二くらいをアイテムボックスに入れた。
「さ、帰るか」
「お嬢様、お待ちください。他にも色々な品を取り扱っておりますので、どうぞそちらもご覧くださ…」
店員を無視して店を出た。
ミルス様から貰ったお金、結構使ってしまったけど後悔はしていない。
掘り出し物ゲットだぜ!




