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「お前さん、城の奉公断られたんだって?田舎から出てきたって話だが、若いのに可哀そうになぁ…平民街まで送ってやるから絶望せずに頑張るんだぞ?」
裏口?裏門?に立っていた兵士のオジサンに声を掛けたら、そんな事を言われた。
おっふ…私そんな可哀そうな理由で追い出されるのか。
「あはははー、ありがとうございます。頑張りますー」
この兵士さんは60歳くらいのオジサンで、なんか気のよさそうな人。
田舎から出てきて、右も左もわからない私を心配してくれてる。ありがたいねー。
「平民街までの付き添い、よろしくお願いしますー」
「おう、まかしとけー」
オジサンと門をくぐろうとしたその時、後ろから騒ぎが近づいてきた。
「ちょっ!!勇者様!!ダメです!!応接間にお戻りください!!」
侍女や騎士に混ざって、さっきの案内眼鏡も必死で誰かを引き留めようとしている。
「うるさい!俺は彼女に用があるんだ!!」
そんな眼鏡を無視して、こちらにずんずん近づいてくるのは…ああ…召喚者の一人、スーツだ…名前は忘れた。
「山野さん!!ちょっと待ってくれないか!!」
勘弁してくれ…やる気満々で街に繰り出そうとしていた私に更に近づいてくるヨ…
引きつりそうな表情筋を叱咤して営業すまいる。
「えーと…私に何か御用ですか?」
「君は神様たちの加護も無く、スキルもスライムテイムしか持っていないだろう?」
「…ええ、そうですね」
「そんな状態で城の外に出るなんて危ないよ!!俺が護ってあげるからさ!!山野樹、俺の物になれ」
スーツが言葉を発した瞬間、ゾワッと気持ち悪い感触が体をすり抜けていった。
はぁ?なに言ってんだこいつ?
「え、嫌です。キモチワルイ」
その不快感のせいで、反射的に言葉を返してしまった。
「キモ…何だって…?え?俺のスキルが効いてない…?」
男が何かぶつぶつ言っているが、私はこれからテントでゴロゴロ生活が待っている。こんなところで時間を無駄にするつもりは無い。
「兵士さん、そろそろ行きましょう。はやくお城から出ないと私が怒られちゃう!!」
「お、おう…そうだな。じゃあ行こうか。お前さんが奉公断られた原因、もしかしてあいつかね?」
オジサンもドン引きしてるじゃんよ…
しかも、何かめっちゃ憐みの目で見られてるし!!
「エエ…ソウデス」
うん、そういう事にしておこう。
スーツが固まっている隙に、私とオジサンはほぼ駆け足で城門を出て貴族街へと向かうのだった。




