表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺に出来るのはコレくらいだ  作者: 雨白 滝春
5/69

第五話 俺はここまで来た5

「なんじゃこりゃ」


 全科目とも平均点ピッタリだった。良いとも言えず、悪いとも言えず。


 そして俺自身が一言も言いださない内に、この結果はクラス中に知れ渡る事となった。


 何でだよ……。


 皆、自分の結果より俺の方を心配していてくれたかのように、ホッとしていた。皆もっと、悪い結果を予測していたらしい。


 心配してくれていたことに、どう反応すりゃいいんだ。礼を言うのもおかしいしな。今まで通り、知らん顔でもしてりゃいいのか。


 絶対そうするつもりだけど。


 俺は俺で、皆の心配している場合じゃない。もっとできると思ってた。そうだこんなん全然納得できる結果じゃない。


 だが行った努力に対して出た答えは、否定できない。


 ではどうする。


 努力が足りなかったんだ。もっとだ。もっと努力しないとダメなんだ。努力そのものが俺の実力。俺はもっと努力しないとだめなんだ。


 それはいい。ただ、これ以上どう努力する。


 勉強時間はもう限界だ。これ以上は睡眠時間を削るしかないぞ。いや、睡眠時間を削ると、返って勉強の効率が下がる。


 効率? そうだな、残るは勉強の効率化だ。勉強の仕方の改善と勉強密度のアップだ。


 う~む。言うのは簡単だが、具体的にはどうする? 一番単純にもっと集中するという精神論では、通用しないぞ。


 環境の改善とか。家でやるより勉強がはかどる環境。それなら学校だな。だが放課後いつまでも学校に居座る訳にも行かんし。


 学校に居残っていられる理由とかあれば。部活とか。


 はっ! 勉強部発足――。無理だ。絶対、部員集まらん。くそっ。部室持ってるくせに、活動してない部活だって、この学校には多いのに。


 あれ、じゃあそういう部活に入って、部室で勉強させてもらえばいいんじゃねえの。そう言えば、入部希望者の入部を断っていいという話しも無いようだし。


 そこに潜り込んで、勉強すれば。


 イケるぞ。さっそく明日から、活動実態の無い部活のリサーチだ。


 翌日から俺は、クラスの連中にヒマな部活に関する聞き込みを始めた。何故かは分からないが皆一様に、濁った優しい目をして知る限りのことを教えてくれた。


 放課後までにクラス全員から聞き出す。俺の目論見に一致する部活の候補がいくつか上がる。


 さて、この中からどれを選んだもんか。


 上手く行かなきゃすぐ辞めて、別の候補に再入部するだけだ、というのも不義理が過ぎるか。


 元々、動機も不純だしな。入部を申し込むとき、先に俺の本当の目的を打ち明けておくか。それで断られるなら仕方が無いし、それを認めてくれるなら、気兼ねなく勉強が出来るしな。


 と、放課後の教室で、帰宅の途に着く前に、考えをめぐらしていた所――。


「君、何か部活やりたいの」


 えっ、誰?


 って同級生に話しかけられたにしては、微妙に間違ったリアクションをとってしまったが、他人から見れば急に話しかけられて驚いただけという、それ程おかしくも無い反応だったらしい。


 まだ教室に残っていたクラスメイツは、別の所に注目していた様だ。


 おそらく話しかけられた人と、話しかけた人、そのキャスティングに。


 この時期になってもまだ、クラス全員の顔と名前を覚えきれていない俺だが、この女子生徒の名前は知ってる。


「えっと、私の名前は春風亭 春斗。覚えといて」


 どうやら俺が、このクラス全員の名前と顔、覚えきれていない事は、皆にも知られていたらしい。


 皆、何でこんなに俺に詳しいのだろう。

午後九時頃、六話目投稿予定です。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ