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八話 創造神、金を稼ぐ

「でさでさ、そーぞーしんは、なんでぼくよんだの」


 時空の神 クロケル。

 彼は時と空間を司る神であり、能天気な性格の少年だ。


「彼らがな、俺を神としっかり認識してないのでな、『神を呼べばいいのでは?』と思った次第でな」


「ふーん、ぼくらのそーぞーしんにケチをつけるぐれつなものがいるんだ」


 あ、こいつ、俺の言葉を信用しないから怒ってるんだな。なんで俺の生み出した神は皆、俺に対する信仰が厚いのだろうか? 普通になるように願って生み出したつもりなんだけどなー。慕ってくれることはうれしいけど。


「い、いえ、信じていないわけでないのです! ただ途轍もなく驚くべきことだったので、未だ目の前に最上に位置する神々の方にお会いできていることに我々の頭がついていけられないのです」

 イスタールたちが俺たちに頭を垂れながら言う。


「じゃあ、これでそーぞーしんがそーぞーしんだってわかってくれたんだね」

 皆が静かに首を縦に振る。


「あー、帰る前に、一ついいか。『俺が天界と冥界に直接行くからエインリオとスヴァルトはそっちから来るな』と伝えておいてくれ」


「じゃあ、つたえておくね。もどってくるときのおみやげは、あまいものがいいな」


 そして、クロノスが帰った後は静寂が訪れた。


 最初に言葉を発したのは、シリウスであった。


「相変わらず、神々の御方たちはヘイムダルのこととなると、苛烈だな」


「シリウス、今はシオンと呼ぶべきでしょ、まったく生きた心地がしなかったわよ。はぁー」


「アインツは意外と真面目。ヘイムはヘイム」


 ふむ、こいつらはよく変わらんものだ。それがいいところというべきか。


「あの、もしかして、あなた方は人から神になられたあの冒険者ギルド創設者である始まりの旅団の方々ですか?!」


「神といっても下級神だけどな」


「? 私たちのクラン名を知っている?」


「あんたは魔術のことしか頭になかっただろうけど、あたしらはけっこう街でも目立ってて面倒だったんだから」


「ええ、今でもあなた方の伝説は、知られていますよ。曰く、竜の巣を壊滅させた。曰く、強欲な王を脅してありとあらゆる財宝を全て奪った。曰く、スラムの子供たちで屈強な軍隊を構成していた。などの伝説が」


「その伝説の物語の絵本を見て、僕も冒険者になろうとして、ギルドに行ってたんだっ!」


 ほぉ、ルーファスも知っているほどに目立っていて絵本まで作られていたのか。


「そのためには、勉強もしないとな」


「え~」


「こう話していると、大賢者と言われるアリシアがかすんで見えるな」


「ひどいよ~。罰として~、少しでいいから素材分けて~、どうせ使ってないから溜まってるでしょ~」


「いつか気が向いたら渡そうと思う」


「それ、くれる気ないでしょ」


 しばらく異空間で話した後、シリウスたちとは別れて元の世界に帰った。


「もう夜ですか。シオン様、異界と時間の流れは同じなのですか?」


「同じに設定しているぞ、マリオン」


「シオンさん! 今度は刀で戦っているところを見せてね。約束だよ!」


「機会があればな」


 シオンは、イスタールに別れ際、ある頼み事をした。


 ・・・



 それから、一週間ほどギルドで金稼ぎのため、ワイバーンを倒してはオークションに売り、金貨10枚ずつ稼ぎ、計金貨70枚、70億CLになった。

 竜種の素材は昔から高く売れるが、ワイバーンでこれだけ稼げていたことに驚いた。


 金を受け取りにギルドへ赴くと、他の冒険者にざわざわされる。第一印象がどうだったのか?


「シオン! 今日もワイバーンを売りに来たのか?」と笑って迎えてくれる人もいれば、


「やばい、あれはやばい。逆らってはダメだ」と、恐怖する人も。


「今日もストーキン――じゃない、陰から見守ってシオン様行動記録ランキングを書くわよ!」「おー!!」と心配してくれる人たちもいる。


 受付へ行くと、オリガさんが応対してくれようとするが、

「シオンさん、こっちでワイバーンの換金しましょ」


「シオンさん、この間のプリンというお菓子、美味しかったです」


「シオンさん、この後って空いてます?」

 などの言葉をかけてくれる。俺が一人でいるから気を使われているんだろうか?


「今日もおやつを持ってきたので、皆さんで食べてください」


 おやつを見せた瞬間、オリガさんは受付の人たちから後ろに飛び、距離を取る。


 近くにいれば、やられて、お菓子を取られるからだ。


 シオンは殺気が出始めたところで、オリガさんからワイバーンの換金をもらい、ギルドの脇にある酒場に向かった。


「お、来たな、シオン」


「いつもここにいるな、ライオスさん」

 Aランク冒険者 ライオス。

 見た目はゴリラのようだが、人格は良いらしい。そして、俺がどうしてか気に入られていた。


「今日は、装備を見に行くぞ。お前、武器って片刃のだけだろ」

 ライオスでも知らないということは、刀を知っている者がここらにいないということだろう。


「別に、攻撃はかわせるし」


「ダメだ、そういう慢心は良くないぞ、シオン。それに武器の方はいい剣だが、その服一枚じゃ絶対にかわすしかないだろ。俺がこの王国で一番の品質がある店に案内しよう」

 Aランク冒険者のライオスが自慢する店を紹介された。


 そういって鍛冶屋に防具を買いに行く。

 うーん、この服って竜に殴られても無傷なくらい防御力が高いんだけどなー。まぁ、ブレスならしわがやっと付くけど。


 入り組んだ裏路地を、迷う事なく進んでいくライオス。

「随分と奥まで行くんだな? 王国一番なら表通りに店を構えた方が儲かるんじゃないか?」


「はっはっは、親方はそんなこと考えてねぇんだ。親方は親方自身が認めた相手にしか武具を売らねぇ」


「そんなところに行って俺は大丈夫か?」


「ああ、問題ない。お前なら、親方もすぐに認めてくれるだろうよ」


 路地を進むと、古びた一軒の家に入る。

「おーい、ガンツの親方」


「うるさいっ、聞こえておるわ」

 親方と呼ばれたこの筋肉質のドワーフが怒鳴って奥から話しかけてくる。


「お前の装備はこの間作ったばかりじゃろう。もうダメにしたなら、お前にわしの武器は使わせんぞ!」


「ちげーよ、今日はこいつに防具を作ってほしいんだ。シオン、親方はな、名匠って呼ばれていてな、貴族でも気に入らなければ、作んねーんだよ」


「大丈夫なんですか、それは?」


「ああ、王様が親方の後ろ盾になってるらしいんだよ、すげーよなぁ」

 そう話していると、やっとガンツが来た。


「なんじゃ、このちっこいのは、スラムから拾ってきたのか?」


「いや、最近入ってきたやつでな。登録した初日にBランクに勝っちまうんだが、防具を持ってない

 らしいんだ」


「まぁ、おまえの紹介ならこいつはいずれ大成するんじゃろうな」


「ああ、こいつはきっと親方もビックリするぜ。なんせ二日後には、一週間の間ワイバーンをけっこうな数ギルドに持ってくるようなやつなんだからな」


「なんじゃと! ワイバーンはランクAの魔物じゃぞ?! それを何匹もじゃと?!」

 Aランク冒険者ともなれば、ワイバーンを倒すことはできるのだが、それでも一度に何匹も倒すことはできないのだ。


「な、すごいだろ。今はギルド長はいないけど帰ってきたら絶対Aランク冒険者になると思うぜ!」


 ライオスさんとガンツさんが熱く話している。


「よし、このわしが坊主の防具を作る。これは絶対だ!」


「それでしたら、俺の持ってる素材で作ってもらえますか?」


「ええぞ、ええぞ、どんな素材じゃ?」


 ガンツさんにも気に入られたシオンは、宝物殿に何が入っているのか調べる。


≪エル、いくつかの宝物殿の内容を教えて≫


≪それでもかなり多いですよ≫


≪今まで使わずにただ溜め込んでいたからなぁ≫


≪とりあえず、内容を表示します≫


≪ウロボロスの牙×99   ウロボロスの牙×34   ウロボロスの鱗×98

 ウロボロスの内臓×78   バハムートの牙×99  …… 

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 神鳥フェニックスの羽×87  フェンリルの毛×99  時空の神クロケルの日記

 ・

 ・

 ・ 

 ゴーレムソウル×78   スカルドラゴンの顔骨×44≫


≪くだらないものや重要素材が多いな≫


≪色々狩りすぎた結果でしょう、仕方ありませんよ≫


≪生命神アイズの大切なクマの人形なんて項目もあったぞ。我があげた人形を大切にしていてくれたのか。それでなんで俺の宝物殿に入っているのかが謎だ≫


≪マスターのプレゼントなら嬉しくないはずがありません≫


≪ああ、そう。まぁ、ウロボロスの牙とかで杖を作ってもらって、ゴーレムソウルと神鳥フレズヴェルグの羽、エレメンタルフォックスの毛を服にしてもらおう≫


「これで作ってください」


 シオンはガンツに宝物殿から出した素材を見せた。


「どれどれ――!! こ、これは、坊主、こ、この素材、どこで?」


「自分で持ってました。いらなかったので、ずっと放置してたんですが、やっと使う日が来ました

 ね」


 すると、ガンツさんが仰向けに気絶し、シオンから素材の名前を聞いたライオスも気絶した。


 その後、ガンツとライオスは素材のことを一切覚えておらず、シオンの防具を作ろうとすると、頭痛がするようになった。


 仕方がないので、シオンは、【固有スキル 創造】で【スキル 鍛冶】【スキル 裁縫】を取り、レベルを10まで上げ、自分で杖と服を作った。


 さらには、付与魔術で温度調節、隠形、自然回復、修復、魔術反射を取り付けた。


 ステータス

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 名前 シオンの外套

 防具階級 英雄級

 HP  +5000

 MP  +5000

 力  +5000

 器用 +5000

 敏捷 +5000

 付与スキル 修復LV.10

 HP自然回復LV.3

 隠形LV.5

 温度調節LV.5

 魔術反射LV.3

 『空きスロット』

 『空きスロット』

 耐性 炎耐性 雷耐性

 称号 稀代の裁縫師と付与術師が人生をかけて作り出した一品

 加護 なし

 材料 神龍リンドヴルムの竜鱗、神鳥フェニックスの羽、

 大蛇ヨルムンガンドの皮、……

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 伝説級になるには、ステータスの大幅上昇と幾つかのスキル、固有スキルも付ければなる程度には仕上がった。

 名前は適当だが、いいだろ。レベルは最大まで上げたが、適当に作ったために階級が低めになっている。

 称号に変なのがついてる。軽ーく作っただけなのに、『人生をかけた』とか、書かれてんじゃん。


 なお、ガンツさんを鑑定したところ、鍛冶のレベルが6しかなく、裁縫のスキルもなかった。

 頼んだところで防具は作れなかったようだ。もし無理に頼んでいたら、龍の素材でも不出来な物になっただろう。

 これでよく鍛冶師を続けていられるもんだな。


 ガンツさんから鍛冶のスキルがあると教えられた時に驚かなかったことで怒られた。

【スキル 鍛冶】は生産系スキルの中では上位のスキルだ。この世界では、滅多にいない上位スキルの持ち主で国も手放すのが惜しいために自由にしてもらう程の価値があるらしい。

 それを持っているわしにもっと驚け、だそうだ。













ガンツの【スキル 鍛冶】がLV.6っていうのは、この時代ではトップクラスなんです、はい。


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