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六十六話 創造神、馬車作ってみようか

「いえ、この商会の手伝いをしております。シオンと申します」

 文句を言う彼の後ろから「そうか。あいつら、失敗しやがったんだ」と誰かの口から聞こえた。


「ふん。じゃあ、あの野郎に伝えろ! お前たちがあくどい事をやっているのはわかっている。じゃなきゃ、俺たちの商会が廃れることなんてなかったんだからな! どうしてくれるんだ!」


 どうもしないだろ。商売とは、弱肉強食。これはどの世界でも言えることだ。

 俺たちが売れ過ぎているからってどうしろって言うんだ。

 売るのを止めろっていう無茶な要求が通るとでも?

 それにこの商会が売れてることと、貴方たちの店の売り上げが下がったなんてことを誰が証明できるの?


 それを堂々と俺がこの場で言えることでは無いが。心の内に止めておく。

 しかし、そんな言い分ではギルドだって相手にしないだろう。

 でも、俺たちも稼ぎ過ぎて困っていた所。好都合だ。この分なら、より高く売れそうだ。


「では、また後日、招待いたしますのでそこで商会のトップであるヘルメスが対応いたします」


「逃げるんじゃないぞ。我々の後ろには貴族様がいるからな!」

 貴族。貴族ねぇ。王兄派閥の貴族かな。


 彼らもこんなところで大口を叩くようなことをしなければ良かったのに。ここには今尚お客さんが商品を見ている。要は、多くの眼があるということ。人による噂の伝染は早い。

 摩耶の元居た世界だって有名な人物が掲載されて悪評も広まり仕事が出来なくなる恐ろしい本がある。


「皆さま、この度はお客様方にご迷惑をおかけしたこと大変申し訳ございません。あの不届きな方に当たり散らされ、怪我をされた方はいますでしょうか? いたら、手を上げてください」

 不届き、と俺が言い、それにお客は笑ってくれている。越後屋商会は、この都市で支持を得ているようで良かった。

 怒鳴ってはいたが、暴力はしていなかったようだ。一安心。


「今回の騒動のお詫びに本日は商品の五割引きとさせていただきます」

 半額宣言によって越後屋に来ていた客たちは歓声を上げていた。


「シオンさん、流石!」

「越後屋さん、最高!」

 その客の歓声に引き寄せられ、事情を聴いて結果五割引きになったことが伝わって客が客を呼ぶ状態になっていった。

 仕舞いには、貴族の馬車まで商会の前に止まり、入店していた。


 安くなった魔剣を買いに来たと思ったら、それだけじゃなく回復薬も買っていった。この商会の回復薬は結構人気を博している。

 各階混雑が凄いことになっている。

 列整理やカウンターでの会計の人数を増やして循環を速めた。


 五割引きでも素材は俺が出しているため、損は無い。ただ五割引きしたので、忙しくなった。来ていなかった客も入店していた客に誘われて増えた。

 従業員は手慣れたもので、店内の循環は順調。


 やり過ぎたかもしれない。

 お詫びとはいえ、五割にしたら来るよなぁ。俺は裏手で反省していた。これから、従業員に俺の行動についても説明しなければならないし。

 あぁ、面倒だな。

 それはともかく、今日も多く売れた。魔剣もいつも以上に売れた。


 これって他の商会との確執広がってね?

 ……今更か。

 他の支店もこんなことしてんのかな?


 なんだかんだで今日もそれなりに繁盛。

 ご苦労様でした。



 ・・・



 まずは馬から作ろう。簡単だし。

 馬車。それは車輪がついていて馬で引っ張るアレ。イメージはボックスタイプの貴族が乗るやつ。


 魔道具作り。懐かしい。思い出すことがたくさんある。一番印象的なのは、大陸全土を一発で吹き飛ばす爆弾を作ったことかな。それを何も知らない配達員にムカつく国に届け物させて、その一週間後くらいに爆発させたっけ。

 あれは――イマイチだったな。


 魔石にはその魔物の経験が含まれる。つまり、俺が剣王機の魔石で馬のゴーレムを作ったら、剣王機の戦闘データが継承され、馬としての力量を遥かに凌ぐ。

 でも、剣王機は人型のゴーレム。作ろうとしているのは、馬。

 その経験が使いようがあるのか疑問ではある。


 背中に腕でも付けてみる?

 そんな無茶そうなことでも生物ではなく、ゴーレムだからこそ出来ることだ。

 口から魔力を溜めて波動砲を撃てるように砲門を付けてみよう。面白そう。


 こうして、俺のちょいちょい出る悪ふざけによって変に改造された姿は馬に見えなくも無いが、確実に能力が馬以上のゴーレムが出来た。想定通りよりも俺の出来心で時間がたってしまった。変形機能も加えてみたり。

 翼とかも考えたが、邪魔だった。飛ぶなら飛行のスキルでも持たせれば翼がなくたって可能だ。そもそも飛ぶ予定なんてないし。


 残るは、馬車の方。

 魔力効率を上げるファントムの魔石、認識阻害を付与魔術を使わず仕込むためのパンドラの魔石、もしもの時の備えとして反射機能の追加でハーティの外骨格。

 耐性と頑丈さの要であるタイラントトレント。


 その素材で空いた容量に俺の付与魔術を付ける予定だ。

 構造はアダマンタイト金属でフレームを作り、それを補強するようにタイラントトレント材を多く使っている。


 不安そうなところをさらにハーティの骨も使って支える。

 バネもショックアブソーバーも忘れない。

 スプリングというとなんとなく衝撃を吸収してくれそうな部品だが、もう一つの主役のショックアブソーバーも忘れてはいけない。

 乗り心地や走る・曲がる・止まるといった走行性能はスプリングだけではまともなものにはならないからだ。


 その後、歪みの保護のため同じようにタイラントトレントの樹脂のニスで仕上げた木材を天井や扉、壁面、床面に貼っていく。

 馬車の外側になる木材の面に黒い染料で塗装して大体出来た。日光を吸収しやすい黒色でも馬車内では、空調制御の魔術があるので暑くならない。


 魔術を溜めて置ける砲門も付けよっかな。

 最後に全体へ限界ギリギリまで付与魔術を叩き込む。

【自動修復】【軽量化】【索敵】【空間拡張】【重量軽減】【温度自動調節】【空調制御】。

 シオンのステータスでは全魔術使用可能となっているので人のいない場所であればフル活用できるというわけだ。


【スタミナ上昇】は結局付けなかった。だって、ゴーレムだよ。疲れ知らずなんだもの。

 重力系統の魔術は流石に自重した。この馬車を調べられると面倒だ。

 無効系の耐性も止めた。すでに耐性が付いてるからそこは面倒くさくなった。

 空間拡張のお陰で中はそれなりに広い。


 そうして散々ギミックを仕掛けたりして馬車製作は終わった。

 結構な大作を作ったけど、俺には転移があるから基本使う予定がない。誰か買ってくれるといいな。


 もう一方の魔術関係。

 これももう決まっている。馬車製作の途中で砲門を付けようとしたところに思いついた。

 砲門って弾無いとダメじゃん。弾どうしよ。考えとしては、魔力の塊を放出する感じだったんだが、それだけじゃ芸がない。


 そこで思いついたのが符術。同時に飛空艇も作ってみようかな、と脱線しそうになった。

 今の時代の人では砲門から魔術を発射することも【無魔術 魔力撃】も使えそうにない。

 なら、弾を別の物にしたらいいじゃない。何にする? 石とかでも良いけど、もっとこう何か……。

 魔術を封じ込める水晶玉があったな。

 でも、あれをこんなものに付けたくないなぁ。

 水晶弾に変わる何かを魔術関係の作成にすればいいか!


 で、変わりを考え行きついたのが符術ということだ。結果砲門は要らなくなった。窓から札を出して放つだけでいいから。

 札に粘着性を持たせて設置出来るようにしてもいい。条件付き設置型魔術内包具の出来上がり。

 すでに大方出来つつあった。


 札に魔術陣を式に直してその式をさらに簡略化させて線を描き、そこに魔力を宿す事によって元の魔術陣が発揮する魔術を放出させることが出来るようにしてみた。


 メリットは、詠唱要らずで誰にでも使用可能ということ。ただ魔力を札に通して念じるだけで良い。この札が魔力管理も魔術コントロールも行うので術者が集中力を乱しても魔術が暴発することもない。


 ただデメリットは、簡単なものしか札にできない。強力なものを封じ込めた場合、札が破裂した。

 そこは紙の質を上げれば、もっと強力な魔術を封じ込めたりできそうだな。今回は実験でただのレッサートレントの木材だもんな。Cランク級じゃこんなものか。


 今度は金属を引き伸ばした物に書いてみるか。魔術と親和性のあるミスリル………ではないな、これは魔術ではない。魔力のみで描いている。魔力を込めた鉄である魔鋼ならもっと強力に。


 これで研究対抗戦は問題なし。……な、はずだ。













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