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六十五話 創造神、久々に学園へ

「あら? 久しぶりね、シオン」


「あ、ああ。なんかイベントがあると聞いてな」


「知らない? 一か月後に研究対抗戦があるのよ。三日間に分けて行われる祭りよ。一日目と二日目で研究を発表。三日目で注目を浴びた学生が声を掛けられて改善点や将来の話をする段取りになってるわよ」

『戦』と付いているのは、競争心を煽るためだな。


「そうか。結果を出すということは、何か商品でもあるのか?」


「あるわよ。一番になる人は相当な物を作ってくるのだから国に拾われることもあって将来が安泰するという商品がね。でもねぇ、……」

 アルマが俺を見てため息をつく。

 とは言っても、まだ子供、将来の候補に入るということのようだ。それでもかなり重要なイベントらしい。


「なんだ?」


「この研究対抗戦って生徒会が準備するのよ。あんた、ちょっとは把握しておきなさいよ!」

 え、そうだったの!?


「あいよ。生徒会室に行けばいいのかな?」


「ええ。それより研究内容は決めたの? 早く決めないと後々で大変よ」


「それってSクラスは全員参加なんだろ。どうするんだ?」


「あー、Sクラスね。Sクラスは、各自ということになって、大体派閥ごとに分かれて研究をしているわ」

 各自か。なら、問題ないな。内容を決めておこう。何にしようかな。


「そうか。アルマは何をするんだ?」


「私はルーファス殿下たちとやるのよ。研究の内容は秘密。あんたを驚かせるような研究にするんだから!」


「あ、そう」

 あれ、もしかしなくても俺、はぶられた。


「シオンなら一人でもできるでしょ?」


「まぁ、できるな」

 出来るけどさぁ、なんか違くね。


 ほんと、研究なんにしようかな。

 新しい魔術でも組んでみようかな。それとも研究対抗戦を宣伝の場に利用して魔道具を発表して越後屋で売るのも手か。

 金になりそうな物を目指そう。………俺ってこんなに金の亡者だったか?

 でも、どうせやるなら無意味な事は無いな。せめて二つか三つ以上の理由が無い物はしてもやる意味を感じないな。


 魔術は国に登録すればかなりの金が手に入る。軍事や生活に仕えるなら尚更に。もしくは、失われた魔術とやらを復活させてみても……。


 前々から魔術は練っていたのがあるから、それを使うとして、魔道具はどういった効果を付けたものか。

 基本的には不便を補う物。平民では手に入らない物。

 というか、魔力が元から少ないために手に入れてもあまり意味が無い物。生活の手助けになる物。

 魔道具というのは、こんな感じだ。


 これを何とか出来れば、参加賞くらいは貰えるだろう。

 必要な物かぁ。あまり思いつかんな。


 ………思い切って馬車とか? こういうイベントって被るとまずいよな。馬車なら、作ろうとする物好きはいないから被る心配無し。俺って物好き?

 馬車に必要なものってなんだろう? 機能性? 対人性能? 対魔物性能? 居住性? 耐久性?

 とりあえず全部ぶち込んでみるか。


 機能性は独立させた方式にしよう。左右それぞれの車輪が別々に動くことができるので路面の変化を的確にとらえるため、乗り心地がよいというメリットがある。

 構造としては、単純に左右の車輪を独立させたスプリングとショックアブソーバを垂直近くに配置し、車輪を支持させる。


 後は、馬車を自動運転に。これはゴーレムに引かせて移動すればいい。

 対人性能と対魔物性能はどうしよっか。

 簡単な物で爆弾とか? 麻痺毒? 攻撃反射の魔術付与?

 どれもパッとしないか。俺が乗っていれば、どんな敵でも消せるし。

 馬車を普段から使うのは、貴族だよな。貴族は馬車に何を付けてる?


 騎士か!

 じゃあ、ゴーレム作成の魔術陣をセットすることは決定。それをどれくらいの数と強度にするか。その作成する魔力をどこから供給するか。

 包囲されたとしてゴーレムを盾にするくらいで突破を考えるなら、強度はあまり必要じゃない。数がいれば良いだけのこと。

 強大な的に遭遇した場合は、強度を高めて囮に使う必要がある。だが、数を揃えるには魔力が多くなる。


 折衷案で中くらいの強度に中くらいの数でいいかな。

 魔力の供給場所をどうする。

 魔石を多めに自身の魔力を少々で決定。これなら、所有者の負担も減るだろう。でも、魔石は消費物だから金かかるんだよなぁ。魔術陣の方を魔力の使用量がより少なくしてみるか。後は素材次第で変わるかな。


 必要な使う魔術は、認識阻害・ゴーレム作成・軽量化・魔術反射・自動修復・索敵とこんな感じの種類の魔術で。耐久性は、火属性耐性・衝撃耐性だけで。

 それ以外で付け加えたい魔術は後々決めるか。空間拡張とかスタミナ上昇とか。緊急避難用の何かとか。他にも……

 プランはこんなもので良いだろう。


 相変わらず制限しての作成は面倒だ。

 創造の権能さえ使えたら、過程をすっ飛ばして何でも能力を付けられたり、構成材質も破壊不能の物体にまで上げることも出来る。しかし、それではただの兵器になってしまう。俺が何も決めずに適当に作っても兵器になってしまう。昔から俺は決めずに作り始めた物は扱いに困る物ばかりになっていった。


 だから、今回はちゃんと一から考えなければならない。学内での研究で兵器を平気で出すのは問題だ。出来ることなら、重力軽減は当然として、物理無効・魔術無効とか付けたいんだから。


 後は材料と構築する作り方。

 俺の溜め込んでいる素材を使う。消費した分は【創造】で補填。

 使う素材は、魔力系統の攻撃を仕掛けて来る亡霊(レイス)系統の魔物ファントムの魔石。

 認識阻害のスキルを持った宝箱型魔物の最上位パンドラの魔石。

 とある時代のとある最難関ダンジョンで門番をしていたゴーレムの剣王機(ソードオートマタ)の魔石。

 馬車の材料となる最上位木材系魔物のタイラントトレントと復讐を望む狼ことハーティの骨。そんじょそこらの金属なんかよりは耐久性も強度もある。ついでに火耐性や反射攻撃も付いている。


 中核となる剣王機の魔石はあるが、骨格を何で作るか。

 魔力の伝導性が良くて軽い、低位の死霊に特攻のあるミスリル。

 物理攻撃をほとんど無効化してしまう程の強度を誇り、大抵の魔術を弾く性質を持つアダマンタイト。


 その他もまだあるが、これ以上の物を出したら俺が面倒なことになる。

 この二つに絞る。

 馬がいなければ馬車は引けない。アダマンタイトか。馬車には耐久性があるからもう耐久性はいらないと考え、ミスリルか。

 アダマンタイトかな。


 じゃ、後日この計画通りに作って、今はこれで完了っと。

 考えながら歩いていたら、Sクラスに着いた。

 授業中ではなく、研究対抗戦で作る物を決めている最中のようだ。チームでいると決めるまでに時間がかかる。一人でやって良かったぁ。


 チームでの利点は、大勢で一つを取り組むことで製作時間を縮めることが出来て、完成度を高めることもできるだろう。だが、俺はすでに完成形を構築し、残りは実際に作るのみ。俺にとっては一人の方が遥かに利点が多い。


 今日も特にすることも無いから越後屋に行くか。最近仕事ばっかだなぁ。どこかで一旦休日を挟みたいな。



 ・・・



「まずいな」


「はい。これはまずいですね」

 俺とメネアは台帳を見ながら困っていた。


「あのぅ、いったい何が不味いんですか?」

 報告書を持ってきたカルナが首を傾げて問う。


「このまま越後屋が商品を売っていくと国中の金の四割近くがここに集まる」


「はぁ?」

 良くわかっていないようでカルナは曖昧な様子でいる。


「このままだとここに金が集まり過ぎて経済が滞ってしまうのです」


「しかも、俺たちは失業者などに仕事を与えるという名目で工場とかを作って金を消費はしたもののその使用された金も微少な額だ。それなりに使っているつもりだったが……」


「全然足りませんね。言葉は悪いですが、現状はお金を貯めこんでいる貴族のようなものですね。収入と同じ量の支出をしなければ、この国の経済が不味いことになります」

 あーあ、まだ新しい商品出したかったんだけどなぁ。


「どうする? メネア、何か欲しいものある?」


「いえ、今のところありません。カルナは何かありますか? 今なら、何でも買ってあげられますよ」


「私も別に……。あ! シオン君は王国受勲式で男爵位を得ますよね。それで領地も付いてくるという話じゃないですか。だから、その領地経営に使えばいいのでは?」


「それだ! 多くはそこで使うとして、それまでの間も消費していかなくては」

 受勲式は学園の長期休日期間。研究対抗戦の終了の日から休みになる。ただこの研究対抗戦、作成期間が一か月と発表期間が二日間。道のりは長い。


「この店の所為で俺たちの売り上げが落ちたんだ! どうしてくれる!」

 なんだ下がうるさいな。クレーマーか?


「あのうちの者が何かいたしましたか?」

 恰幅の良い中年の男が怒鳴りこんでいた。


「あんたがヘルメスか!」

 なんだ、この人。















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