表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/151

六十四話 創造神、商品会議に出る

「拝見させていただきました。とても素晴らしかったです。お義父様、このお方を私にもご紹介してくださいな」

 修練場を離れて庭園での話し合いになった。もう少しアークと話してみたかったものだが、こっちも面白そうだ。

 この女、気配を消すのが上手かった。立ち振舞いで視てとれるがひょっとすると護衛の騎士よりも強いんじゃないか。


「悪いが、もう一度自己紹介をしてくれないか?」

「はい。私の名はヘルメス。越後屋商会で――」

「あなた、越後屋商会っで働いているんですの?」

 遮られた! 越後屋は王妃に即応反射で食いつかれるまでになったのか。


「は、はい。ご存じでいらっしゃいますか」

「ええ、ええ。あそこの商品、特に化粧品は良いものですね」

女性の美への執着は凄いものだと理解した。


「喜んでもらえて何よりです。後ほど開発者の方にも伝えさせていただきます」

「こらこら。それよりも自分の名を明かさないと」

「そうでしたね、お義父様。失礼しました。私の名は、フロレンティア・フォン・シルファリオンです。現国王メビウス・フォン・シルファリオンの妻です」

 シオンとして登城する時に庭で茶会をしていた人か。

 彼女の指に嵌められている指輪を見てついつい昔を思い出して和んでしまう。


「それでその国王の奥様が私如きに何か用件でも?」

「ええ。私もエチゴヤ商会の商品は買わせてもらっているのですが、美容品関係の商品が中々手に入らなくて困っていたのです。ですから、こちらに回してもらえないかしら? それともっと上があるのでしょう」


「あなたが王族のお一人だとしても、我々はその願いを叶えることは出来ません。どうしてもその商品が欲しいなら、我らの商会に来てもらい、混雑具合によっては並んでご購入してください。それと上につきましては何を申されているのか私には皆目見当もつきません」


「ふむ。言い値で払うわよ? 対価が足りぬなら申すが良い」

「知らぬものをどう売れると?」

 私の返答に不満だったのか彼女の隣にいたメイドが短剣を抜いて向ける。王族に買いに来させる商会なんて他にはないだろうなぁ。


「主のためを思っての行動は良いですが、今は抜かない方が身のためですよ。私はここ最近の出来事に大変苛立ちを覚えているのです。どこでこの怒りが暴発してしまうかわかりません」

「止めなさい、ソフィア。私がこのような事を言わないことは貴方が知っているでしょう」

 なんだ、違うのか。国の政策をしている王族なんだからそれぐらい構わないと思うが。


「それでも……」

 彼女には、信頼のおける部下がいるようだ。貴族間の小競り合いは油断すると自身が不利益に即繋がるような怖い戦場。こういう部下がいることは良いことだ。


「先程の失礼な言葉、申し訳ございませんでした。少々貴方を試させていただきました。このようなことを口にする貴族もございますから。私の言葉に乗るようであれば付き合いを考え直さねばならないところでしたね」


「いえ。私も見苦しい所をお見せしました。王妃様、申し訳ございません」

 王妃に試されたようだ。越後屋は回復薬を扱っているからな。そこら辺を見定められたか。回復薬が作れるのなら、毒物も作れる可能性は高いしな。

 金欲しさや要望次第で簡単に売り渡すような者と判断されれば、刺客が送り込まれるかもしれないか。ま、他の商会や別の場所から来ているようだけど。


「私は貴方のことが気に入りました。貴方には私を名で呼ぶことを許可します。あなたには、ルーファスがお世話になっているみたいですしね。それと、アドニスのことありがとうございます。あの子にはあれぐらいのことが重要なのですが、あの人が甘やかすから。あの人とアドニスでは、違うのですから。その辺も考え欲しいのですけどね」

 苦労しているんだなぁ。国王、自分の子供を甘やかしてるんだ。

 彼女が人を気に入ることが珍しいのか、さっき剣を抜いた護衛の女性が驚いた顔をしていた。


「ありがたく幸せに存じます。フロレンティア様」

「では、また別の日にエチゴヤ商会に行かせてもらいます」

「お待ちしております。ただ私は最近では新しく出来ました支店の方に居ますので本店では私の部下が対応いたします」

 フロレンティアと別れ、イスタールと共に王城の一室に戻る。


「此度のこと申し訳ございませぬ」

 イスタールが人目の無い部屋に入ったと思ったら、頭を下げてきた。


「その謝罪は何のことだ?」

「今回の王族の側近たる者の我儘に付き合ってくださったこととフロレンティアのことでございます」


「前者はたしかに問題あるが、後者は謝る必要はない。フロレンティアは王族の一員なのだろう。見知らぬ者への警戒。貴族のどの派閥に繋がっているのかの探り。これらが必要なのはお前だってわかっていることだろう。その位のこと私にだってわかる。だから、あの行動を謝ったりはしないでくれ。当然の行動なのだから」

 悲しかな王族ゆえの性だ。人は攻められ追い詰められた時こそ本性を出すからな。敵か味方なのかの判断くらいは確かめねばなるまいて。


「そう言ってくださってありがとうございます」

「まぁ、前者の詫びは私から頼むとしようかな」

「あまり過度な罰は……。あれでも王国ではかなりの実力者なのです」

「罰など与えない。褒められた行動ではないが、良いことじゃないか。強者がさらに強くなろうと動いている。その場に止まらず、向上心がある」

「では、何を?」

「私は学園を見ていて子供たちの学力の低下や発想の怠惰を問題視している。だから、お前の側近を学園に呼んで見ようと思う」

「そんなことで学力の向上があるのですか?」

「弱者は強者に憧れるものだ。それに競争心を植え付ける」

「わかりました。それは儂の方から学園に通達しておきます」

 私は側近としか言っていないので、誰が来るかはイスタールに任せる。大方アークが来ることになるだろうが、戦士系のみでは魔術も成長しないだろう。魔術師の称号を持っているランドルフも来て欲しいかな。



 ・・・



 王都の本店は忙しそうだが、安定はあった。王妃が日にちは未定だが来ることを伝えて学園都市に帰還し、越後屋商会に向かう。

 この姿だと襲われない。やはりシオンのような子供だから狙われるようだ。


 越後屋での報告が諜報部から上がってきた。内容は、学園・王兄・公爵家・商会・集結・攻撃・計画。と、書かれていた。

 要は、『学園』はこの都市。『王兄』はアドニス。

『公爵家』はこの都市で王兄派閥の公爵家で後ろの『攻撃』から読み取って越後屋に恨みか何かがある人物。つまりはアスカロンだろう。

『商会』は後ろの『集結』から最近利益を失っている商会のことだな。

『計画』は準備中とのことだ。場所はまだ報告されていない。


 もっと端的に商会・負・計画、だけでいいと思うのだが。誰がやっていることかは追い詰めていけば分かること。

 これだけで商会にとって不利益になることが計画されていることが感じ取れる。どこから情報を取るのかはメネアが指示を出しているので場所は書かないでいいのに。場所からも誰が画策しているのかは感じられる。


「確かに越後屋は手広くやり過ぎているかもしれんな」

「しかし、これこそが商売というものでは? 商売競争に暴力など……」

 それは以前俺が隕石を奴らの本店に叩き込んだことを言われてる気がする。すみませんでした。


「うちで売っている商品のどれかの情報を別の商会に売るか」

「え!? でも、これらは越後屋の商品ですよ。他の所に売るのですか!?」

「これらの商品はたしかに売り上げはいいが、大量に出回っていて価値も下がりつつある。まだ商品としての価値がある間に高値で売っておきたいと思ってね。それにこのくらいで他の商会との諍いが無くなるなら安い。情報を与えたところで作れるとも限らないしな。普通に作るにしても元値が高くつく、商品として売る頃にはここで売るよりも高値になって誰も買いには来ないだろう」


 今は会議中。

 みんなで情報を開示しあってこれからのことを話している。たまに世間話も。

 参加者は俺やメネアは当然としてカルナも同席。摩耶、ゼノビア、ウル、テスタロッサも。教会からのスパイの可能性があった聖女のリンは俺が誘った。その他、幹部と意見の代表として従業員から数人といった具合だ。


 会議の議題は『安定への道』『敵対商会に対する対処』『研究対抗戦』『新商品』

 最後のは、俺もメネアも分かっていなかったが、学園でのイベントの一つらしい。俺が学園に行か無くなってからかなりたっていたようだ。明日は行くとしよう。


 研究対抗戦は、各クラスで研究を行ってそれを発表する場だそうだ。ここで将来の研究者や文官としての道も決まるらしい。

 クラスごとが基本なのだが、仲良し同士や同じ職業の仲間内で研究発表することもあるらしい。よって、研究内容は何でも良い。中には、魔物の弱点発表だったり戦場の陣形だったりもする。

 安定への道・敵対商会での対処の議題も終わり、話しは研究対抗戦へ。


 越後屋は見る側で良い人材を発掘が目的だ。同じような目的で他の商会も来る。

 多くの人材を観れるため余程酷い結果にさえならなければある程度のプラスの評価にはなるみたいだ。


 やべぇ、俺何もしてない。


 一部俺の問題もあったが、概ね安定への道が出来てきている。カルナが本店に戻る日も近いか。

『新商品』は俺とカルナから。越後屋の休憩室に俺が置いたチェスと麻雀、将棋とリバーシのアナログゲームを商品にしようと考えてきた。


 将棋はこの世界にもうあるが、チェスや麻雀は無い。前にこの世界に召喚された勇者が将棋を広めたのだ。ただそれ以外は細かい事を知らなかったため将棋以外は作ることが出来なかった。

 将棋はもう出回っているため今更作っても売り上げに繋がらないが、チェスと麻雀は別。

 俺のは、絵本やこれから勉強するようなことを書き込んだカルタなどの知育玩具。

 こうして越後屋で売る商品が増えた。


 あれ? これって他の商会との谷がどんどん離れていくんじゃ?


 まぁ、いいか。情報を売ってやるんだ。多少の恩やそれを売ってもさらに売り上げを上げていく越後屋にびびってくれるだろう。

 摩耶に王家からも化粧品が売れてると伝えると、ドヤ顔していた。















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ