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五十七話 創造神、第二拠点作成

 翌日、教員や冒険者たちの話し合いで冒険者たちと数名の教員が森を探索し、学生は拠点で残りの職員と野営訓練だそうだ。

 申し訳ない事をした気がする。

 俺がこれくらい冒険者がいるから大丈夫だと思ってミノタウロスとハザードライガーを創ってしまったが為に。


 冒険者の中でもしもの時の活躍が期待されているのは、越後屋メンバーとAランクのライオスチーム。

 ライオスたちは、出発前に学生たちに人気があり、囲まれていた。

 越後屋のメンバーも同じように学生に囲まれていた。その多くは女生徒で、強く美しい冒険者とやらに目を輝かせている。


 そして、何故か俺もその森探索側に回されていた。

 何でも俺は、越後屋の冒険者たちにその実力を認められており、ライオスが気に入る程の生徒兼冒険者ということで。教職員から反発が出たのかというと、出なかった。先の騒動で強大な力を持つ化け物を単独で倒したことが災いして全然問題なしということになった。


 それで俺も囲まれていた。

「あのさ、ライオスさんにサイン貰ってきてくれないか?」

「シオン様、怪我しないくださいね。あなたは私たちの希望なのだから。ま、まぁ、怪我してもそれはそれでいいかもだけど……(ファンクラブ会員)」

「他の人に迷惑かけないようにしなさいよね」

「シオンさん、あんまり森を荒らしちゃダメですからね」


 あれ? 俺に対して心配とか無いの? 俺が他人に対してのことが多くないか? 三番目と最後のは、アルマとルーファスだよな。俺ってもうそんなに信頼ないか?

 というより、選抜大会で代表になったのは、俺だけじゃないだろ。

 俺が行って、お前らがここに残るこの状況をおかしいと思わないのか!?


「え、だって、私たちは生徒だから危険なことはさせられないって」


「俺もその生徒なんだが」


「シオンはなんか大丈夫みたい。まぁ、私たちもシオンには怪我はないとわかってるから」

「シオンさんは傷とは無縁のものですからね」


「ルーファスまで」

アルマよ、『なんか大丈夫』のなんかを知りたいんだが……。


「よし、行くぞ!」

 出発の合図が出され、森の中に入っていく。拠点防衛もあるのですべての冒険者を連れて行くことはできない。


 当然、荷物は自分たちで持つ。俺は空間魔術が使える、その他に越後屋のパーティは摩耶の【固有スキル 無限収納庫(インペントリ)】にウル・ゼノビア・テスタロッサ・リンの分の荷物を入れていた。

 それ以外は軽装で入り、自分たちで持ち運んでいる。


「さっきの作戦通り、Aランク冒険者チームであるライオス殿が率いる【悠久の英傑】とマヤ殿率いるエチゴヤチームが交代で先行して森の魔物を討伐して安全を確保しながら進む。反対の者は! いないな。なら、進むぞ!」

 まともな職員のまともな作戦で進む。


「「「了解!」」」

 俺たちは森の主がいるであろう森最深部に進む。


 灯りは魔道具で確保しているとはいえ、夜の森は危険だ。取るに行動して魔道具を消費したくはない。だが、森は木々で太陽からの光を遮り、暗くなっていた。

 しばらく進むと、森の様子は変わっていった。

 拠点から遠ざかる程木々が圧し折られている。


「ここらから魔物が強くなるだろう。総員警戒して進め」


「「「了解!」」」

 まともな職員から注意を受けてみんなが気を引き締める。


 俺もそうなんだろうと思って先に【固有スキル マップ探査】で調べてはいるものの出てこない。俺の基準では強者と呼べないような魔物なのか、それとも俺の固有スキルを掻い潜る程の隠密能力を持った魔物なのか。

【固有スキル 形態変化:刃身】をいつでも使えるように待機状態にセットしておく。


「やっぱり魔物が少なくなってるな。進みやすい」


「昨日の魔物の大量発生でここら辺のは、いなくなったのだろうな。だが、あの中に主がいるようには見えなかった。注意しろよ」

 ここから先、どんな危険な魔物がいるかわからない。戦闘の妨げになるような余裕を持つ者は誰もいない。


「魔力、強い。何かいる」

 ウルがそんなことを口にする。


「分かるのか?」


「ん。なんとなく、冷たさを感じる」


「そうね。私も同じようなものを感じますわ。ウル程正確ではないですけど。それに木々も拠点の近くの時よりも結構折られていますし」

 ウルの判断にゼノビアも肯定する。

 この二人も仲良くなったものだな。死線を共に乗り越えたりとか?

 そんなわけないか。…メネアか。


「よし。この辺りにキャンプを立てるぞ。今日はここまでにして、この先を様子見する!」

 まともな職員の号令でそれぞれのパーティの魔術使いは、地魔術で壁を立て始める。


「居住性よりも壁の強度を重視してくれ! 壁は出来る限り厚くする」

 キャンプを守るための壁作りが始まり、次々に周囲が壁に覆われ始める。


「とりあえず壁が完成すれば一安心だな」


「はい。シオン様でもそう感じるんですね」

 俺のつぶやきに摩耶が答える。摩耶も地魔術が使えるので、壁建設の作業をしていた。摩耶の地魔術のスキルレベルは2から5まで上がり、数は少ないが中級魔術も使えるようになっていた。今は、魔力回復薬を飲んで魔力回復中。ついでに【スキル 瞑想】でさらに魔力回復を加速させる。


「俺だってヒューマンだ。常に気を張り巡らせていれば疲れる」

 実際はそんなこと無いが、こんなことでも言わないとその内ヒューマン扱いしてもらえなくなる。いつかヒューマンではないけど何かわからない何かになる。


「シオン様はそういったことが全く無いのかと思っていましたよ。どんなことも完璧だし」


「こらこら、まだ完成してないんだから気を抜くなよ? こういう時が一番危険なんだからよ」

 Sランクのゴリ――ライオスが弛緩した空気を引き締めに来る。彼の方が獣人族じゃないのか、と思われたいしないのだろうか?


「大丈夫ですよ。ライオスさん。なんせシオン様がここにいるんですから」


「だからといって油断はしない方がいいぞ。何があるかわからないんだからよ」

 そしてライオスの警告が正しかったと言わんばかりに、【固有スキル マップ探査】に魔物の存在が映る。


「あ、そろそろ魔物が来ますよ」

 場所と数を伝えて職員への伝言をライオスに頼む。


「マジかよ! 俺は指揮官に伝えてくる、お前たちは迎撃に当たってくれ! 俺もすぐに行く」


「いってらっしゃーい」


「じゃあ、俺は行くとするが、摩耶はどうする? テスタたちと合流するか?」


「いえ、せっかくシオン様の近くで戦えるので結構です」


「そうか? 状況によってはこっちに空間を繋げることができないこともないが」


「いえ、結構です!」

 ふふん、これで二人っきりだ。襲ってみちゃおうかなぁ。でも、その前に気づかれて避けられそうだし、どうしよ。


 む、不穏な考えを感じる。


「おーい、応援を連れてきたぜ! ……あれ、まだ行ってなかったのか!? すぐに行くぞ!」


「ちっ」

 摩耶、今の舌打ちの真意は?


「なんでもないです。気にしないでください」


「ん? シオン、ほら、行くぞ」


「ああ、まだ魔物が来るまで余裕はあるぞ」


「は? すぐに来るんじゃないのか?」


「迎撃の準備もあるだろうからある程度早めに伝えておいた」


「そ、そうなのか」

 ライオスの後ろで職員や冒険者がヒソヒソしてる。それ聞こえてるぞ。


「彼の索敵範囲はそんなに広いのか!?」


「何かの索敵系スキルに特化してるんじゃないか?」


「この先の踏破にもすごい役立つぞ!」


「まぁ、いい。戦闘準備! 設営の者は壁の設置を最優先にしろ! 他は、壁が出来ていないスキマを抜けられない様に注意しろ!」


「「「おうっ!」」」

 指示を受けて冒険者さん達が隊列を組み始める。

 厳しい訓練を受けた騎士団程ではないけれど、事前に隊列や戦術の作戦を決めていたので、皆瞬く間に戦闘準備を完了した。


「そうだシオン、良い機会だからどちらが多く魔物を倒せるか勝負しないか?」

 俺の横に来たライオスがそんな事を提案してくる。


「あ、私もやりたーい!」

 不謹慎だと言われるかと思ったけれど、摩耶同様意外にも参加者は多かった。もしかしたらこの余裕こそが皆をAランク冒険者たらしめているのかもしれない。

 どのみち魔物たちは襲ってくるんだから、倒さないといけない事には変わりない。


「シオンはどうする?」


「俺はここで支援する。競争は摩耶に任せるよ」


「えー。でも、私がその分頑張るからね」


「よし、一応賭けは成立だ。一番のやつは銀貨5枚ってところでいいか!」

銀貨5枚――50万CLか。やる気を出させるにしても出し過ぎじゃないか?


「「おおぉぉ!!」」

 冒険者たちがテンションの高い雄叫びを上げる。意外にもライオスの賭けが皆の士気を上げる結果になったみたいだ。その賭けには職員も混ざっている。


「「来るぞっ‼!」」

 冒険者たちは、即座に意識を切り替えて武器を構える。

 そして森の暗闇の中から魔物たちが姿を現した。

















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