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三十六話 創造神、ギルドに暇つぶし①

「じゃあ、ひとり10匹程度でいいか?」

 ゴブリンの出没場所を発見済みであれば依頼受注の際に教えてくれる。依頼書にも書いてある。


「いえ、依頼は無制限でしたのでせっかくですから各自で競争にしましょう」

 俺の意見にネーヴァが異論を唱える。


 依頼内容はゴブリンの盗伐としか書かれていなかった。ゴブリンの繁殖性は驚異のため減らせれば何匹でも狩っていいとされている。


「確かにネーヴァたちなら大丈夫かもしれんが、摩耶たちでは不安だぞ。俺がいるから死なないとはいえ、死んだらペナルティは発生するんだからな」


 そう、この世界では復活系魔術がいくつかあるのだが、最上位の蘇生以外はペナルティが存在する。最低位あれば、7割の確率で失敗し死体が灰になったりなどで、上位であってもレベルが下がることになる。


 この世界のほとんどの者がレベルという概念を知らないので以前より弱くなったと感じるしかない。そのまま戦闘の一戦から退くものもいる。

 しかも、いくら復活魔術でも心の傷までは回復できないため精神が破壊されていればまず復活魔術が効かない。精神が破壊されていなくとも生き返って心の傷で戦闘続行というより生きていたくなくなることもある。


 今回だとゴブリンが相手なので女性の場合、大抵は、陵辱される。それによって精神が崩壊することがある。


「で、摩耶たちは大丈夫なのか? 洞窟での戦闘はお前たちは辛くなるぞ」

 道が入り乱れている洞窟はシーフの職業がパーティーに必要になってくる。迷路のようになっていることも多いからだ。ゴブリン唯一の優位性である数を生かしやすい。


 ゴブリンの巣穴らしきところまでくる。恐らくは古い坑道だろう。入り口には見張りのゴブリンが二匹いた。

「仲間を呼ばれて一斉にかかられても摩耶たちに対処ができるか不安だ。ここは確実に静かにゴブリンを仕留めて行こう」


「そうですね。ゴブリンは舐めたら危険ですから」


 すでに【固有スキル マップ探索】によってゴブリンに囚われている人はいないことを確認した。洞窟の周囲にもゴブリンが多くいる。

 洞窟の中に潜んでいるゴブリンは手っ取り早く水魔術で水攻めに洞窟の入り口を地魔術で蓋をするとか火攻めで呼吸困難にすることも可能なのだが、これはせっかくこのメンバーで来たのだ全員で攻めるという方法を取る。


「でもこんなに多くのゴブリンを静かに、しかも連絡されないように速く全滅させるなんて不可能ですわ。今日の所は洞窟に入らず外だけを倒してしまえばいいじゃないですか。洞窟の中から出てきたら撤退ということで」


「ゴブリン、迷惑、全滅、推奨」


「ウル、出来もしないことを言うものじゃありませんわよ」

 ゼノビアは慎重派で、ウルはゴブリン殲滅に賛成派らしい。


「じゃ、ゼノビアと摩耶はここでゴブリンの討伐。エインリオ、逃げようとしたゴブリンの対処と摩耶たちの援護を頼む。残りは俺と一緒に洞窟だ」


「「「わかりました」」」

 ゼノビアがエインリオと俺の殲滅発言に何も言わないのは本当にできると十分に分かってきてくれたのだろう。だから、俺たちの行動に麻痺しないようウルに注意していたのか。


「さて……」

 俺は後ろに背負ったデュランダルを抜き、宝物殿にしまう。この剣はでかい。洞窟のような狭い場所だと、振り回しにくいので向かないだろう。


 俺たち以外にここにいる者はいない。こちらを見ている者もいない。なら、ある程度は武器の自由度を上げるか。


「今は誰も見ていないし、俺が索敵した結果近くに潜んでいる者もいない。だから、制限をかける必要はないぞ」


「やったー。手加減って意外とつらいんだね」


「本当です。相手を排除しないようにすることの面倒さは痛感しましたね」


「あまり周りを壊さないようにお願いします」

 ゼノビアたちが苦笑して俺たちに言う。


「じゃ、行こうか。まずは目の前にいる二匹の見張りの始末」

 俺は隠れていた茂みから見張りのゴブリンに向けて走る。


 ゴブリンが俺に気づいた時にはもう遅い。ゴブリンの体から剣が飛び出して絶命させる。

 俺が使ったのは、【固有スキル 形態変化:刃身】。手のひらでゴブリンの体の近くに手をかざして、手のひらから一斉に剣を出現させ貫くといった方法だ。

 その際、発生させた剣も体の一部と認識されるので県から剣を発生させることも可能だとわかった。


「GYA……」

 もう一匹のゴブリンの頭にはエインリオの矢が刺さっていた。


 見張りを倒した後は、スピードが勝負だ。気づかれる前に次のゴブリンを倒す。

 ゴブリンの洞窟前の集落に忍び込んでまだ見つかっていない。


「ここからは別行動だ。ネーヴァ、ウル、テスタ、俺たちは洞窟に行く」

 小声で次の行動を伝えると三人は声を出さずに頷く。


 洞窟に入り、最初の部屋に行きつく。寝ているゴブリンを音もなく倒す。俺の闘い方は簡単だ。遠距離なら身体から剣を発射、近距離なら触れて終了だ。俺の敏捷の速さならゴブリンが武器を振り下ろす前に一瞬で近づくことができる。


 ウルとテスタが撃ち漏らし逃げようとしたゴブリンはネーヴァが魔術で排除する。ネーヴァの主武装は槍なのだが、手加減の意味を込めて魔術で進んでいる。


 後方からの奇襲は二度あった。一度目はウルが見事に反応して対処して見せたが、二度目は気付けずに俺が代わりに倒した。【固有スキル 成長促進】【固有スキル ステータス異常成長】で弱いゴブリンでもレベルが上がる。


≪カスタムはお任せください≫


≪よろしく≫

 レベルが上がったことで【固有スキル 黙示録】を楽しみも増える。スキルを魔改造してしまうためあまり気乗りはしないが、それで喜んでもらえるなら。


「多い?」


「確かにな、もうそれぞれ30匹は倒した」


「某もそれほど多くないと思っていたのですが……」

 俺たちに立ち向かうゴブリンたちを見てそう思う。まだまだ奥に居そうである。


「こういうゴブリンの群れは、ただのゴブリン以外が率いていることが多いんだ」

ゴブリン村とかの集落になっていると、上位種が治めている。


「ゴブリン以外?」


「そうだぞ、ウル、テスタ。群れにはリーダーがいるんだ」


「危険、退避?」

 ウルが声を震わせながら尋ねてくる。


「これだけの群れを率いているんだ。ゴブリンメイジやゴブリンライダーの可能性もある。ひどい場合はゴブリンジェネラルもありえる。群れを率いるゴブリンジェネラルは最低でもレベル200くらいだ。注意しておけよ」


 ゴブリンジェネラルか。レベル的には今までの中では一番の強者ではあるな。だが、この衰退した世界で期待しすぎるのはやめよう。


 考えていると、

「GAAAAAAAAA」

 最奥の方から、おぞましい声が響く。どんどん近づいてきていた。

 そのすぐ後に、声の主が姿を見せる。


「……ゴブリンジェネラルか」

 ウルはカタカタと震えている。その横でテスタも立ち止まって動かない。いや、動けないか? ウルとテスタのレベルはゴブリンジェネラル程度にまったく届いていない。さすがは将軍職を名前に関する魔物だ。吼えるだけで周囲を黙らせる。


 ゴブリンジェネラルの【スキル 咆哮】を受けて抵抗できずに動けないでいるようだ。

【スキル 咆哮】には相手の動きを止める効果があり、ステータスを一時的に一割ほど低下させることができる。


 ゴブリンジェネラルが大声でわめきながら、武器を振り回している。大きな鋼鉄のこん棒だ。洞窟の壁に当たって、大きな音が鳴る。岩が砕けて散らばる。


「これはテスタとウルには荷が重いか」

 シオンは鉄棍棒を振り回すゴブリンジェネラルの目の前に立つ。今まで同様手のひらから剣を連射。ゴブリンジェネラルは棍棒で飛んでくる剣を打ち払おうとする。


 次は、地面から剣を無数に発生させる。その地面から出た剣の刀身はゴブリンジェネラルの足を刺し動きを止める。洞窟の横壁からも剣の刀身が発生し、串刺しにしていく。


 予め洞窟に血をまき散らして罠を張っておいたのだ。マップ探査でデカい反応があったので用心を。

 この身体は神としてではなく、ヒューマン種のシオンの身体だ。能力的には神の一部もあるが、血液などは神と一切関係ない。

 だから、生殖機能も問題は無いが、俺がいつまでも下界に居られるわけでもないので家族を作るつもりはない。

 相手が眷族や下級神に成れる程であるなら、考えなくもないが。


 そして、多くの剣に刺された。その剣を伝って体内にも剣を発生させられて臓器を潰され、ゴブリンジェネラルは死んだ。

 あれ? レベル200ならもう少しくらいは耐えたり抵抗したりするものなのに。こいつ鑑定してみるか。



 ステータス

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 [名前] ゴブリンジェネラル

 [性別] 男

 [レベル] 103

 [種族] ゴブリン

 [職業] 斧士

   [HP]   0

   [MP]  10703

   [力]  13601

   [器用] 10901

   [敏捷]  8307


 [スキル] 【奇襲LV.3】【統率LV.4】【斧術LV.4】【怪力LV.4】【充填LV.2】

      【腕力強化LV.3】【属性付与LV.1】【罠設置LV.2】【耐久LV.5】

      【威圧LV.3】

 

 [耐性] 【精神耐性LV.2】


 [称号] 【同族殺し】【魔物殺し】【解き放たれし者】【ウォーリア】


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 死体になってもHPが0の判定は出るが、他の項目は残ったままになる。

 だが、レベルや他のステータスを考えるとHPは60000近くあったと推測できる。


「申し訳ありません。某たちは動けませんでした」


「ごめんなさい」


「気にするな。恐怖の感情は誰にだってあるものだ」


「でも……」


「シオンが気にしなくていいと言っているのです。心にだけとどめて次は倒せるように頑張ればいいのです。幸いにもあなた方の今の環境は優れているのですから。死にそうになっても瀕死くらいになったら助けてあげますよ」


 テスタたちとネーヴァが話している間、俺はゴブリンジェネラルの死骸を調べていた。

「ネーヴァ、このゴブリンジェネラルは弱すぎる。何かおかしい気がする。それに称号の【解き放たれし者】も気になる」


「そう? でも、ジェネラルがこれしきで倒れるのも不思議ね」


「まだ奥がある。俺は行ってみる。ネーヴァは二人を連れて洞窟の外に」


「了解よ」

 俺は一人で奥に走っていると、三匹のゴブリンと出会った。ジェネラルの取り巻きだろう。


「GRA……」

 俺は足を止めない。横を駆け抜けながら、一匹の顔めがけて拳を振りぬく。ゴブリンの頭は消し飛び、身体は壁まで吹っ飛んでビクビクと動く。


 残った二匹のゴブリンが顔を引きつらせた。

 そこを蹴りぬく。もう一匹の首の骨が砕けて地面に転がり、踏みつけて殺す。

 最後の一匹は全速力で逃げ出した。

 だが、俺の方が足が速い。身体を蹴り飛ばす。ごろごろ転がって動かなくなった。

 その後も数匹のゴブリンを蹴散らしながら、最奥へと走った。


 あっという間に最奥に到着する。

 そこにはヒューマン種と思しき死体が落ちていた。最奥の部屋にはいろいろな書類も落ちていた。

 それによれば、学園都市にゴブリンの軍勢を仕掛けるという計画の内容が書かれていた。これらの情報でだいたいの察知はつく。


 ゴブリンジェネラルの弱体化。

 これは弱体化というよりもそう育ったという方が正しい。テイマーがゴブリンをテイムし、同族同士で殺し合いでもさせたんだろう。しかし、ゴブリンで他の魔物を倒したとしてもレベルアップに必要な魂魄はテイマーとテイムしたゴブリンに二分されてしまう。もっと味方が多ければもっと一個体に与えられる魂魄は低くなる。だから、レベルが低い。


 そして、テイマーの許容範囲からゴブリンのレベルが出たために逆にゴブリンジェネラルに殺されたのだろう。最終的にはゴブリンキングにまで育てるつもりだったようだ。ついでにゴブリンキングの情報も書かれていた。今はキングの存在自体が珍しく、ジェネラルに進化したときは余程喜んでいたことがつづられてる。

 精神異常耐性が付いているのも理解できる。


 それにゴブリンの軍勢。これは計画書に書いてある通り、学園都市に被害を与える目的があるらしい。手引きしたのはこの国の貴族。それと……魔族。攻める場所は学園とギルドのようだ。学園は魔族が狙いらしいが、ギルドは貴族が狙っている。しっかりと名前も書いてある。スミスから聞いた通りギルド長はだいぶ恨み、妬みを買っているらしい。


 まぁ、俺たちがこうして全滅させた以上、この計画ももはや意味はない。

 それらの書類を【空間魔術 格納庫】に入れる。


 洞窟から出るため帰り道を戻りながらゴブリンたちの死骸をこちらも【空間魔術 格納庫】に入れる。ワイバーンなどの上位の個体であれば【スキル 宝物殿】に入れてもいいのだが、書類やゴブリンのどうでもいい物は入れたくない。


 こうして死骸を入れているうちに外まで出てきた。全部で200匹を超えていた。特に注意して倒していたわけではないから時々ゴブリンメイジやゴブリンアーチャーも混ざっていた。


「こんなに多かったのか」

 しかし、これでも洞窟内のゴブリンだけだ。外も多く集まっているだろう。

 ゴブリンの死体は上位種以外は使い道もないので魔石を取って焼き払うのだが、この数は面倒だ。それでもやらなければただ働きになる。












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