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三十四話 創造神、追加される

【マップ探査】でエインリオたちの行動を視ながら訓練場から出る。

外は屋台でいっぱいになっており、学園内まで使われている。

商人たちは書き入れ時なのを知っているため人目のつく珍しい商品も多く、学園も中で販売することを許可しているようだ。


「あ、いたいた。シオン様ー」

離れた場所から食べ物を抱えて手を振るエインリオが俺を呼ぶ。


「色々と買って楽しんでいるようだな」


「はい。……しかし、気を抜かし過ぎているような気がします」

ネーヴァがエインリオを残念そうに見る。


「おや、メネアたちも連れてきたようだな」


俺はネーヴァの後ろに控えていたメネア、ウル、摩耶、ゼノビアと着物に赤い袴、俺よりは高い背で腰には二本の刀を持つ女性のエルフだった。


「ん? 彼女はなんだ?」


「彼女が主様に許可していただきたいことがあると」


俺は武士エルフを指してメネアから事情を聴く。

彼女は奴隷解放を望むでもなく、家に帰りたいでもないらしい。ということだけだった。


「ご無沙汰しております、主殿。某の名はテスタロッサ・ハーウェンと申す者。ぜひ、テスタとお呼びくださいませ。ゼノビア殿の氏族とは違う氏族の者にございます。若輩の身でありますが、今後ともお見知りおきの程を……」


「そ、そうか。俺はシオンだ。いたって普通の魔術使いだ」


「ご謙遜を。主殿のことはメイド長より聞き及んでおります。魔術のみならず、剣に関しても達人の域を超えていると伺っています」


「それがテスタの頼み事というのは、以前に話したことか?」

俺は前に王都の家で学園の入学のことを彼女に話したことを思い出していた。


「はい。それもございますが、……」

テスタはモジモジしてその先を言わない。


「なんだ? できることならだいたいは叶えられるが?」


「では、某と手合わせを賜りたく存じます」

しっかりとした子だ。そして、エルフなのに武の道を行く子だった。それ以上に、武に対しての意欲が半端なものではない。


「すみません、主様。この子は剣士を志していまして、屋敷のほとんどの者じゃ勝てないほど強いらしく、強者を求めて私に試合を臨んだりと無茶をするんですよ」


「某、主殿の家を守護することも好きではあるが、やはり主殿のもとでもっと強くなりたい所存であります」


「この子はさらに強くなると思い、私も屋敷に置いておくにはもったいないと思いましたのでこうして連れてきた次第です」


メネアはこの子には期待をしている様子。俺も確かにテスタは大幅に成長することを望む。強くなれば、俺の遊び相手くらいにはなれるだろう。


「もぅ、かわいいなぁ、テスタちゃんは」


「そうですわね。私もこんな妹が欲しかったですわ」


「テスタ、いい子」

そして、テスタはゼノビアたちに甘やかされていた。時に猫のように顎を撫でられて気持ちよさそうにしていた。


俺はメネアに再度確認する。

「ところで、この子、エルフだよな」


「エルフです……」

メネアも不安げに答える。


種族的に言えば、エルフは戦いを望まない芸術肌のインテリ種族である。

理知的な者が多く、剣を振るうなど野蛮な行為と思う者が大半で、基本的には魔術士となる者が多い。

だが、テスタはその真逆の道を行く珍しい存在だった。


「某の家族は東方より流れ着いた難民で、剣を使わねば生きて行けない程の戦乱の国であった。故に、我等は剣を振るう事に躊躇いはござらん」


「まぁ、着物に袴風体で、この辺りのエルフとは民族性が異なるのはわかったが、そんなに気を張り詰めなくともいいぞ?」


シオンが見たところ、テスタは年頃の子供とは思えない気配を持っている。

立っているだけでも付け入る隙は無く、並の大人では歯が立たない事が充分に伝わって来た。

いや、シオンに向けて剣気を放っている所を見ると、どうも挑発しているようである。

俺の実力はこいつらにはあまり見せていないからまだ完全に主君とは認められていないようだな。


「血気盛んだな……」


「『常在戦場』。それが父上からの教えですから。それに強者と闘ってしたいと思うのが武人というものであります」


「君のお父上は、どんだけ血の気が多いんだよ? それ以前に侍か?」


「如何にも、某の父上は侍です」


仮にエルフの剣士がいても、使う剣もレイピアの様な細身の剣を使う事が特徴的で、完全に技巧派の傾向が高い。

だが、心技体を追求するようなエルフなど初めて見た。


「ねぇ、シオン様。もっと何か食べよー」

話に飽きてきたエインリオの言葉でシオンたちは屋台の多い街の大通りに出る。


エインリオの食い意地は凄まじかった。綺麗に食べているが、素早くただ目の前の料理を片っ端から手を付けて行く。


テスタの食事姿は実に静かなものなのだが、エインリオ同様に多くの料理を食べる。


「何か……すごいな」


「教育が行き届かないみたいですみません。後で言い聞かせます」

メネアは身を縮こませて俯いてしまう。 そして、ネーヴァも俺の言葉に反応する。


「それで、テスタの手合わせはいいとして、学園の方は少し待ってほしい」


「かしこまりました」


「で、メネアは不足している物はないか?」


「主様より頂いた資金がもうじき尽きそうなので追加をお願いします」


「そうか。このままだと金が減る一方だな。……メネア、商会を作るぞ」


「突然ですね。商品はどうするのです?」


「この間、【スキル 錬成】を習得したのでポーションを作ってみたんだが、下級ではなく上級になってしまってな。その上級回復薬を屋敷の方に渡すつもりだったんだが、それでも有り余ってしまっているのだ。だから、これを売ろうと思う」


「ポーションを売るのであれば商会を作らなくてもギルドに売ればいいではないのですか?」

メネアのごもっともな意見にシオンは顔をそむけて過去の失敗を嘆く。


「実はそれ以外にも色々あるんだ。他にも遊びで魔剣作ってたら神界でそれを感じ取った【技能神 メクア】や鍛冶神に俺らの作った武器やアクセサリーも使ってみて実験してくれと頼まれてな。いらない武器やアクセサリーは売って金にしようと【商業神 ムク】が言うから適当に了承しちゃって。そうだ、こっちの有り余った武器も屋敷の方に渡すぞ。まぁ、これもすごく余るんだが……」


「魔道具というのもありますし。それでアクセサリーというのは?」


「ああ、何の効果もない紋章入りのアメジストの指輪だったり何かを付与させた腕輪とかいろんなもの。これだけの物を売るとなったらやっぱり商会を建てた方がいいと思ってな。それにある程度街を見た限りだがスラムが出来ていた。働き口を増やすことも考えている」


「わかりました。商会は私が何とかいたしましょう。雇用の条件についてはどうしますか?」


「まずは屋敷のメイドたちでいいんじゃないか? もし足りないようであれば言ってくれ。追加の人員は俺が確保しよう」


「なになに、商売でも始めようとしてるのかな?」

俺とメネアの金稼ぎの会話に摩耶が入り込む。


「何か出したい物でもあるのか?」


「ふふふ、こういう時こそこの摩耶さんを頼ってくださいっての」

摩耶は自信満々に胸を張る。


「摩耶の出したいものとはなんなのですか?」


「メネアさんもシオン様も私の前職を知りませんよね。私は前に化粧品関係の仕事をしていたのですよ。それに商売となったら女性向けの商品も作らなきゃですよ」


「化粧品は既にありますが?」


「いやぁ、もっと品質のいいものですよ」


「化粧品という物は色々な種類があるのですね」


「あれ、使ったことないですか?」


「ええ、普段から使っていませんよ」


「使わずにこんなに綺麗なんですか!?」


この会話には俺は入れんな。内容もわからんし。

とそんな話を食べ歩きながら進めていく。












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