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三十一話 創造神、トーナメントに参加する②

 学園で起こったハンバーグ事件の翌日、学園に親善大会のトーナメント表が張り出された。


「うわ、一回戦があいつと同じグループかよ!」


「よし! ラッキー、初戦は残れるな」


「ふふん、わたくしの華麗な魔術を群衆に見せつけましょう」


 それぞれがトーナメント表の自分と相手の欄を見て様々な感想を述べる。

 俺はアルマに誘われオーランド、ルーファス、ルウと共にトーナメント表を視に来たらこのような状態になっていた。


「えっと、私は誰かな?」


「俺、ぜってーシオンと当たりたくねぇー」


「それは誰だって同じだよー」


「でも、あいつにも当たりたくねぇーよな」


「他にもいるのか?」

 アルマから話を聞いた時はやる気を一切出せなかったが、優勝賞品はレアアイテムだという。レア、とつくのならコレクターが動かない道理はない。


「シオンくんって他人に関しては本当に知らないよねぇ」

 ルウが俺の発現に呆れているが、他も言いはしないが同じような顔をしている。


「で、誰なんだ?」


「スミスとエンリだよ」


「あの二人がか?」


「スミスは武術も魔術もどっちも結構出来るみたいで片方しかできない俺たちにはつらい相手なんだよ。エンリの方は、あの雷魔術を使えるらしいんだよ」


「あの雷魔術?」


「それも知らないのかよ。雷魔術ってのはな、ほんっとーに珍しい魔術で各国が欲しがってる人材なんだよ」

 ふむ、雷魔術が珍しいと来たか。確かにレアではあるが、珍しいと言うほどでもない。それに雷魔術も魔術だ、変わったこともない。


「ふーん、まぁいいや」


「ま、シオンには関係ないかもな」


 トーナメントはグループ構成になっており一グループにつき5、6人くらいでバトルロワイヤルをすることになっている。その上位10人が親善大会に出れることになっている。多いとは思うが、本番の大会には、各種目があってそれぞれ得意な者を出していくからちょうどいいそうだ。


 これはクラスの関係はなく全員参加となっている。様々な人種、職能など関係ない。さすがに学年は別であるが良いことだ。


 俺は猛者がいるようなブロックではなかった。が、そのバトルロワイヤルでは残り二人までやるようだから愉しませる奴がより多いことを望む。


「――これより一週間親善大会に向けて選考大会を開始する!」

 学園長が長々と何やら語った後、大声で宣言した。

 訓練場で選考大会の開会式が行われ、学園長が訓練場の壇上で開会を宣言する。



 ・・・



 華々しく開幕したものの俺たち学生に待っていたのは、前夜祭の立食形式のパーティーだった。

 今日は大会前夜なので本番の明日は祭り状態になると思っていたのだが、気の早い連中をターゲットにした屋台などがそこら中に出ており、十分すぎるほどに賑わいの火種を振りまいている。


 そんな中、生徒たちは相応のドレスコードに身を包んで、会場で各々顔合わせをしていた。


 俺は何も用意していないので私服に行くことにした。学園の平民の生徒も俺と同じようだが、貴族組はドレスコードに身を包んでいる。


 前夜祭の目的は、主に大会の関係者の挨拶やシルファリオン王国の重鎮たちが生徒の見学、顔合わせを中心としているらしい。


 学生が主役とはいえ、前夜祭は大人の時間だ。あちこちで貴族や高官クラスの人間が、談笑している。この場では、やはり学生はおまけなのだろう。


「アルマ、すこし疲れていないか?」


「あー……」


「確かにそうだな」

 俺は同じく私服組のオーランドとこちらにゆっくりと歩いてくるアルマを眺めながら言う。


「そりゃ、伯爵家の令嬢だもんな。基本的にくらす別で話すことなんて機会ないし。いろんなところで挨拶させられてたらな……」


「ええ、まったくその通りよ」


「俺たちと話して人避けか?」

 オーランドが笑って茶化す。


「そーいやよ、シオン。ずっと気になっていたんだがその服なんなんだ?」


「ん? 変か?」


「そんな服の種類見たことねぇーぞ? いや、たしか東方の国の服装じゃなかったか?」


「そうだが。そんなに変わった服装か、これ?」


「いいや、でも――」

 堂々と進むその姿は様になっており、この姿に学園の貴族令嬢や私服組は先輩後輩問わずに見惚れているようだと、オーランドは語る。止めてくれ、ちょっと変わった衣装を着てきてしまって目立っているだけだよ。


「シオン、今度服買いに行くわよ。その服じゃあ目立つでしょ」


「そうか。まぁ、それもいいか。ギルド行く日にでも案内してくれ、アルマ」


 俺がそう答える一方で、アルマはだんだんと顔を赤くして走り去っていく。

 あの反応は一体なんだったんだろうか。女はよくわからん。


 そして、オーランドも女の子たちに声をかけてくると言ってどこかへいってしまった。


 さて、俺はどうしようか。


「あの、シオンさんですよね。あ、えっと、私、ファンです!! サインください!」


「ファン? とにかく、この色紙にサインすればいいんだな」

 少し離れたところから俺を見ていた少女の一人が近づいてきて言う。


「はい、どうぞ」

 女子生徒はやがて「キャー」と悲鳴を上げながら、他の女子生徒の方へ遠ざかっていく。

 こういうのは一人が来たことで他も来るかと思ったが、そのサインをあげた女子生徒の方を睨んでいて後続はいなかった。


 俺は会場を見渡し、俺の楽しみの見込みがありそうな生徒を探す。ある程度は俺も我慢しようと思っている。一部スキルを封じたり自分にデバフをつけたりと。


 この会場には全学年いる。こういうときにいちいち鑑定していくのが面倒になる。


≪マスター、そんなときにはこちら。【固有スキル マップ探査】≫


≪どうしたんだ、エル? ついにどうかなったか?≫


≪なってません!! ついに、ってなんですか!?≫


≪で、何の用だ?≫


≪マスターがお困りのようでしたのでこの【固有スキル 黙示録(エル)】は頑張りました。以前探索系のスキルをマスターが欲していたので過去にあったスキルを探し出し、カスタマイズしておきました≫


≪言ってたなぁー、そういえば。どういう能力があるんだ?≫


≪ご説明させていただきます。この【固有スキル マップ探査】はマスターの行ったことのある場所やその周辺の情報をすべて確認できるものです。さらに、レーダーによって魔物や生物の敵反応も感知してくれるという代物なんです。さらにさらに、目の前にいる生物なら何の隠蔽も無効化してマスターに真実の情報をお届けできます≫


≪結構大変だろう、それ作ったの。大容量のスキルだろうし、スキル同士を組み合わせるってつらい作業だもんな≫


≪ええ、かなりの時間をかけてしまいました≫


 早速俺は新しくステータスに追加された【固有スキル マップ探査】を使う。


 生徒の色々な情報が俺の視界に映される。といっても、好きな食べ物などどうでもいい情報は消すこともできる。


 俺が視るのは、スキルや称号、ステータスだ。称号なんかでもどういう人物なのかはわかる。称号はその人物がしてきたことが称号欄に出るのだから。たとえ賞罰でも。


 この会場には、1000人程度の生徒がいる。その中からLV.20以上、称号 学生を持つ者、などと限定しながら検索をかける。

 残ったのは、三学年のリリス会長、その従者兼副会長のアリオット、そして知らない先輩数名だけだった。

 迷宮でレベル上げをしたのか、生徒会のメンバーはレベル20台後半にいた。後はギリギリだが、普通の生徒で20まで上げたのだ。それなりに頑張ってきたのだろう。


 今度はもっと基準を低くして検索をかけよう。


 一学年、LV.10以上。

これだけでもかなり絞れている。残ったのは、10人程度。他は一桁台だった。俺はかなり我慢しなければならないらしい。

 だが、その10人の中にオーランドの言っていたスミスとエンリが入っていた。俺が迷宮の中で魔物を狩らせていたため、アルマ、ルウ、ルーファス、オーランドも入っているが。

そして、残り三人の中にアスカロンも入っていた。


 しかし、武術と魔術が両方できるやつが珍しい区分に入るとはな。それに雷魔術も。

 俺が二人に声をかけようとすると、邪魔が入る。


「君がシオンだね。私はデモンゴ・シャルータ、わざわざ私が出向いたのは君にとって悪くない話を持ってきたからだ」


 少し見上げる構図だが、男の方もそれほど背は高くない部類。だから差し出された手は高くない位置に持ち上げられた。

 ジャラジャラと金属が擦れ合う音、握手でも求めるような手つきに視線を落とせば、指輪に締め付けられる指が五本。

 シオンは男を家畜のように見返す。相手の視線は若干下卑た色を放っていたからだ。











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