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三十話 創造神、トーナメントに参加する①

「この魔力操作っていうこれで本当に使えるようになるんでしょうね?」


 俺は先ほどアルマにあるスキルを見せた。

 それは、この時代で達人の証と呼ばれている【スキル 魔力刃】だ。


 過去の時代では珍しくもなんともない戦士なら持っていれば強者になるための一歩と言ったところのスキルだ。


 俺は毎回毎回、【創造】に頼るのは怠けていると戒め、自ら【スキル 魔力操作】を獲得し、そのついでに【スキル 魔力刃】も手に入れた。


 それをアルマに説明したら、「信じない」、「達人の証が――」と言いながらも興奮して今は魔力操作のスキルを得るために薫陶中である。

 まぁ、魔力刃を手に入れるには、別のスキルも必要だが。


 俺がアルマに魔術を教えているその時、俺に声がかかる。

「俺にも教えてくれ、シオン」

 そこには、頭を下げているスミスの姿があった。


「構わんが、俺でなくとも教師に教わればいいだろうに」


「いや、君なら俺をより強くしてくれると思って」


「何故にそこまで強さを求める?」


「じ、実はな、俺の姉さんが行方不明なんだ。きっと親父に恨みのあるやつが姉さんを攫ったんだ」

 スミスの姉、アリアは現在王都からこの学園都市に向かってきている。まだ連絡できていないのか。


「ん? あなたのお父上というのは?」

 アルマがスミスの言葉で引っかかった言葉を聞く。


「ああ、俺の親父ってこの都市のギルドのギルドマスターなんだ」

 ギルドか。ならこの都市のギルドにも連絡が来ているはずなんだが?


「……そうだったのね。それなら理解できるわね。で、シオン、明日はわかってるでしょうね?」


「何かあったか?」


「何言ってるの! 明日から一週間は親善大会の選考戦でしょ。そのトーナメントの発表が午前中にあるんだから。で、その次の日にでも一緒にギルドへ行かない? 私は魔物と戦って強くなっておきたいのよ、勝つために」


 アルマとスミスと魔力操作の訓練をしながら明日の予定について話していれば、石の壁を身体強化魔術で壊そうとしていたルウも入る。


「あ、それ私も行きたいな」


「俺も行くぜ、面白そうだしな」

 ルウと一緒に話に乗ってきたのは、オーランドであった。

 こうして俺は休みの日の日程が決まっていく。


「でよ、俺にも魔力操作について教えてくれよ。身体強化魔術に近いんだろ」

 話は明日のことから戻ってオーランドが自分も、と言い出す。


「一人も二人も変わらん。お前もやるか?」


「おうよ」


 俺は許可するときにそんなことを言ってしまったばっかりに騒ぎが起こる。


「僕にも教えてくれる?」


「わたくしにもお願いいたしますわ」


 なぜ皆こんなにも教わりたがるのか? シオンが疑問に思っていると、アルマが解決してくれる。


「みんな必死なのよ。トーナメントで勝ち残って親善大会に出れれば各国の人たちに自分をアピールできるでしょ。こういうところで即将来が決まって人だっているらしいのよ」

 シオンはアルマの説明で気になった部分に首をかしげる。


「なぁ、さっきからいつの話をしているんだ? 親善大会は秋と冬の間にあるだけじゃないのか?」


「あれ? シオンは知らないの? 親善大会は年に一回しかないの。春と夏の間に出る人決めて、秋と冬の間にあるのよ」


「一学年は学園に入ってきたばかりだろう? 春と夏の間というのは早すぎるのではないか?」


「そう? ある程度頑張ってきた人はこのくらいで腕試しをするらしいけど?」


 こうして訓練場にいた同級生たちに魔力操作を教えることになった。一部の同級生や上級生は面白くなさそうな顔をしていたが。



 ・・・



「来ない! その竜殺しの冒険者というのは、まだ来ないのか!?」


 アヴァントヘルム学園都市の冒険者ギルドのマスター室と書かれた部屋で一人の男性と秘書らしき女性が一人。


「はい、王都の本部からの連絡ではすでにこの都市に到着はしているようですが?」


「ふざけるな! 俺はギルドマスターだぞ。そのガキはなぜ一番に挨拶に来ないんだ!! それに他の冒険者はわかるが、なんで商人ギルドの方から苦情がくるんだ!? 竜殺しなどという称号がなければこんなガキ、さっさと除名してやったものを」

 男の喧騒が部屋中に響き渡る。


「だ、代表」

 ギルドマスターを代表と呼ぶ男が息を切らせてマスター室に入る。


「王都本部から連絡が入りました」


「用件は何だ!?」

 怒鳴りながら言うギルドマスターにびくつきながらも男は連絡内容を話す。


「そうか、アリアは無事だったか」


 行方不明だった自分の娘が王都の冒険者に保護されたとの報告を受けてギルドマスター――アレス・ミルダはホッと安心する。

 彼は魔物の大群の討伐に参加し、大きな功績を上げたことで冒険者から貴族になり、今は貴族兼ギルドマスターをやっている。冒険者の頃から成り上がることを目指し、貴族にまでなった。

 その経緯でアレスに妬みや認めたくないという感情を持つ者もいる。


「あとは竜殺しのガキだな」

 残された重要案件はそれ以外になかった。王都のギルド本部で突如生まれた新星のルーキー、シオンという自分の息子と同じ年齢だというガキ。


 あまりにも本部に顔を出さないため、王都の方で捜索をしたところガキの家を発見。そして、そこで働くメイドがいうには、シオンは学園都市にいるとのこと。


 本部からはシオンのことはけっこう強い冒険者と言われていた。そりゃそうだ、なにせガキとはいえ竜殺しなのだから。だから、学園都市に着き、ギルドに来たときはそれなりに迎えてやろうとしたのだが、そのガキがいつまでたってもギルドに来ない。挙句に色々なほかのギルドからはシオンについての反感や苦情が来ていた。さらには、貴族からも問い合わせの追加だ。


 おまけに学園都市で行われる親善大会の日時がせまり、各国の要人たちが集うためギルドでは大忙しであった。よって、そのトップであるギルドマスターもそれ以上に忙しく、書類などがたまると、ストレスもたまる。


「いったい何者だ、冒険者シオン」



 ・・・



 俺は寮へ帰り、部屋に入ると、エインリオが窓を開け弓を番えていた。

「あ、帰ってきたんだ、シオン様。おかえりー」


「何してんだ?」


「ふふん、私はね、悪者退治だよ。ここからね」


 エインリオは召喚魔術で小動物型の魔物を呼び街に解き放ち、【固有スキル 共鳴】で視界を繋げる。

 このスキルの厄介なところは鳥や虫にも意識を同調させることができることだ。わざわざどこにでもいる虫の一匹程度にまで注意はしない。

 しかも、魔力感知で特定することも不可能。同調の際に使われた魔力が発見されることがあるが、一度パスを繋げるともう魔力感知には引っかからない。


ここからさらに【スキル 鑑定】を使って称号やステータスに賞罰があるのかを確認してから【空間魔術 格納庫】から自分の弓と渡しておいた地図を出して【スキル 超集中】【スキル 狙撃】【スキル 魔力感知】で仕留めていったのだろうな。


 そうでなきゃおかしいし、鑑定で情報の詳細を確認もとらずにやっていたら怒っていたところだ。

 スキルはそれぞれ消費する魔力が異なるが、これくらいのスキルを使ってもエインリオには何ら問題になりえない。


 彼女に狙われた者は可哀そうに。意味も分からず突然射殺されるんだ。

 彼女にとっては空を飛んでいようが、物陰に潜んでいようが、関係ない。彼女の視界は多い。彼女なら3kmの長距離狙撃も容易に熟せる。相手を遠方から追い詰め、一方的に嬲り殺していくのが得意分野だ。


「心配しなくても大丈夫だよ、すぐに消える【無属性魔術 魔力の矢】にしといたから。こっちには気づかないよー」

 街中で魔力感知の魔道具やそのスキルを持っているやつが居なければ、な。


「ならいい。ところで、明日もどうせ暇だろう?」


「どうせってひどいよー」


「で、俺は明日用事があるが、エインはどうする? 外へ遊びに行くなら金は渡すぞ。ネーヴァと行ってきたらどうだ?」


「そうするー」

 俺はエインに金貨を50枚ほど渡す。


「この後はどうするの?」


「久々に料理を作ってみようと思っている」


「やったー。シオン様の料理だ。さぞスヴァルトは悔しがるだろうなー」

 ニシシとスヴァルトの不幸を喜ぶエインリオを横目に俺は寮の厨房を借り、素材と道具を宝物殿から出す。


「エイン、何がいい?」


「んーっとねー、ハンバーグがいいな。前に勇者にシオン様が作ってるのを見てうらやましかったんだー」


「わかった」


 俺は匂いにつられて他の生徒たちが来ないように風魔術で気流を操作して結界も使う。


「美味しいー」

 エインリオはハンバーグのおいしさに叫びながら風魔術で周囲に風を起こす。

 すると、俺が使っていた気流操作の風魔術が消え、周りにハンバーグの肉の匂いが広がる。


「なんだ、この匂いは?」


「いい匂いだな、こっちから来るぞ」


「私が先よ」

 匂いを嗅ぎつけた男子生徒も女子生徒も俺たちがいる厨房へドタドタと走りこんでくる。

 その後、学園にもこの騒ぎが伝わり教師もハンバーグを配るの列に並ぶことになっていた。











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