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二十話 創造神、成長を見る

始めに動いたのは、ライドウだ。その後を追うタイタンと摩耶。


ゼノビアは弓での支援でウルは姿を隠し、エインリオの隙をうかがう。


摩耶の魔術によってライドウたちはより速く動き、エインリオの意識を攪乱させながら攻撃をする。


ライドウたちはエインリオの闘い方を知らない。彼女のいつもの態度から大雑把そうだが、実際は違う。彼女の闘いに関しては大雑把などではなく、正確無比な魔術と弓によって弱らせてから確実に仕留めにいく。


「エインリオ様は魔術師型だ! マヤは魔術で攻撃して魔術を撃たせるな! ゼノビアは弓で隙を作ってくれ! タイタン、俺たちで攻撃を仕掛けるぞ!」


「「「了解!」」」


ライドウが指示を飛ばす。ウルに何も言わないのは、ウルの存在をエインリオに気づかせまいとする事からだった。

ふむ、作戦を立てること、陣形を建てそれぞれの役割をしっかりと分担し始めたか。学んでいるようだな。前に見た時などただただ武器を取り、連携もなしに突っ込んできただけだったからな。

ところで、元騎士団に所属していたというライドウがむやみに突っ込んできたのはどういうことだ?


「いいね、それもー。私たちに向かってきた敵もそんな風に来るよー。でもね、敵は常に想定を超えてくるものだよー」


シオンにはこんな考えがある。

真に最強とは何なのか。最強とは、自身の身のみで闘えること。つまりは自分の弱点を補うための仲間を必要とすることなく敵を屠ることができることこそが最強ではないのか、と。


そして、どの時代でも最終的には仲間とは一緒にいたが、すべてができるようになっていた。


エインリオは魔術師ではあるが、戦士職の弓士でもある。そんな考えの者の側いた戦士である、当然ライドウたちに対処できる。


「はっはっはー、いいぞ、いいぞ。どんどん来い!」


摩耶の魔術をエインリオは自分の拳に付与魔術をかけて殴る、殴る。すると、次々に魔術が撃ち落とされていく。


ゼノビアの矢は簡単に捕られてしまう。


「な! そんなのありかよ。魔術師じゃないのかよ!」


「やべぇーな、やっぱりこの嬢ちゃんもすごいな、こりゃ」


それを間近で見ているライドウとタイタンは愚痴をこぼす。


ウルもエインリオの行動に動けずにいる。今出ていったら間違いなくやられる、そういう風にエインリオが威圧をしているのだ。


だが、存在が知られた以上姿を隠しても無意味であった。ウルは自分の存在を気づかれた場合の行動に戸惑う。


「むふふ、そうだろー。私はすごいぞ。だからこその君たちの壁だぞ。それに私は、君たちより人生の先輩だー」


防御に徹していたエインリオが動き出す。


狙いは壁役であるライドウとタイタンだ。


ライドウは盾と剣、タイタンは斧を持ち、縦に並び、盾でエインリオの拳を受け止めようとする。


しかし、受けた盾がへこみ、ボロボロに崩れていった。


あれは、タイタンが俺の渡したミスリルを大切に使い、摩耶たちの装備にしたのだった。


崩れていったミスリルを見て、タイタンは意気消沈していた。


そして、エインリオに手加減されながらも殴られて飛んでいく。


残るはゼノビア、摩耶、ウルの三名。


「私が前に出るから二人は――」


「違う」


ウルも摩耶の隣に立つ。摩耶はゼノビアが魔術で、ウルは死角からの支援を狙っていた。


しかし、ウルは摩耶の考えを否定した。自分の隠密能力ではエインリオの不意を突くことはできないと理解し、少しでも一撃を入れるために素早さでの攻撃に変える。


「行く」


「わかったよ、ウルちゃん」


摩耶もゼノビアもウルの考えを把握し、行動を開始する。


「◆◆ ◆◆◆ ◆……」

ゼノビアはウルと摩耶に【付与魔術 ストレングス】【付与魔術 加速(ヘイスト)】を使う。


「◆◆ ◆ ◆◆」

摩耶はインペントリから渡してあった武器――ミスリル細剣、ミスリル短剣を取り出し、魔術の杖と武装変更する。そして、【スキル 省略詠唱】で詠唱を短くして【火魔術 火炎球(ファイアボール)】を唱える。

省略詠唱は詠唱を短くする代わりに威力も射程を3分の1に下げるが、加速した摩耶が近づいたエインリオに撃つには十分であった。目くらましの魔術を撃った後、細剣でエインリオを狙いに行く。


ウルは【スキル 分身】を使い、二人の分身と自分に【スキル 隠密】を交互に発動しながら、【スキル 瞬動】でエインリオに一撃当てようとする。


「方法はいくつかあるんだけどー、一番手っ取り早いやり方にするねー」


エインリオは地魔術によって土壁を作り、ウルたちと摩耶を囲う。


強化されていることから摩耶は壊そうとするが、厚く硬い壁を破ることができない。


それを見たウルの分身が壁を飛び越える。しかし、飛び上がったところをエインリオが壁から手を生やさせて分身を捕らえる。


きつく握りしめ、分身を消す。


「ど、どうする、ウルちゃん」


「無理」


「ええー、あきらめるのー!」


「ん、投降」

ウルたちは敗北を宣言し、土壁から解放される。ウルたちの負け宣言でゼノビアも負けを言う。


「私一人じゃダメそうですわね」


「良かったんじゃないかなー、まぁまぁ」

エインリオがゼノビアたちの戦闘を評価する。


「まぁ、どれだけ策を弄したところで私たちには及びませんがね」

スヴァルトがエインリオに口を挟む。


「貴方も昔はシオンに無謀にもよく挑んでいたのだけれどね」


「それは言わないでください、ネーヴァさん」

メネアがネーヴァを凝視している。


「あの、シオン様、そちらの女性は?」


「ああ、そうか、知らなかったな。こいつはネーヴァという、みんなよろしくしてやってくれ」


「ネーヴァです。私もそれなりに強いので時々挑んできても何か相談でもいいですからね」


「「「おおー!」」」

自分の力を試したいメイドたちが感嘆の声を上げる。


家に入り、食事を皆でとっている間もネーヴァに相談をしていた。

「何を相談されていたんだ?」

あまりにも多く相談されていたので気になって聞いてみた。


「そうですね。一番多かったのは、シオンの女性のタイプのことでした」


「そ、そうだったのか」

シオンは自分で聞きながら驚いていた。


「あとはフェンリルのリル君の好きな食べ物ですかね」


「なに?」


「ですから、リル君の好物です」


「聞こえてはいるが、あいつはけっこう人気だったのか」


「みたいですね。いつも撫でられているそうですよ」


「へぇー、あいつがねぇ」

シオンはニヤニヤしながらネーヴァの報告を聞く。



・・・



シオンは朝からギルドに行っていた。

「来たぞ、あの竜殺し。何の依頼を受けんだろうな」


「え、黒衣の貴公子様が来たの?!」


「早く親衛隊を呼んできなさい!! 見かけること自体が最近なかったんだから色々と溜まっているんだから」


「ちっ、ガキが」


「後ろのメイドたちはなんだ?」

ギルド内は朝から大いに賑わっていた。


「おはようね、シオンさん」


「おはようございます、オルガさん。今日はこいつらの登録とこの依頼を受けようと思いまして」


「ええと、まず依頼は合同で行うCランクの盗賊の退治ですね、了解です。彼女たちは冒険者登録ですね、では、こちらへ」


「頑張って来いよー」


「ん、頑張る」


「ねぇ、シオン様。こういうところって私たちと君のような少年がいれば絡まれるんじゃないのかい?」


「まぁ、そうだったな」


「だった? なんかあったの?」

摩耶はテンプレを期待していたのだが、すでにシオンがやっちゃったことを察した。


「じゃあ、ライオスさん、試験お願いします」


「おぅ。今回は嬢ちゃんか」


「よろしく」


「ウルちゃん、しっかりあいさつしないとメネアさんに怒られるよ」


「マヤ、言わないで」

摩耶がメネアの名前を出したことで顔を青くする。


「ええー、どうしよっかなー」


「マヤ、遊ぶのもいい加減にしなさいな」


「はーい、もぅ、真面目だなぁゼノビアは」

マヤのウルいじりはゼノビアに止められる。

なお、ライドウは家の番を、タイタンは鍛冶に勤しみ、他のメイドたちはメネアに絞られていた。


「じゃ、試験を始めるぞ」

決着は早かった。


ウルが隠密しながら速く走り、後ろに回り、首に短剣を当てた。

ライオスは反応できずにいた。


この世界は質が落ちているので、メネアの訓練を行い、生き残れば、この世界ではそれなりの強者になるのだ。


「勝った」


「嘘だろ、俺が嬢ちゃんに」

ウルが満足そうに駆けて帰ってくる。


「次は私だね」

摩耶が前に出る。


省略詠唱をして火魔術を撃ち、斬りこもうとするが、試合が終わった。

魔術を放った時点でライオスは白旗を上げていた。


「なんであんなに速く魔術が撃てるんだよ」


よっしゃー、にしし、ギルド登録のときにテンプレは出来なかったけど、試験で圧倒的に勝って俺TUEEEできるぞー。いや、私TUEEEかな。


「マヤ、顔にやけてる」


「おっと」

ウルに指摘され、摩耶は真顔になる。


「最後は私ね」


「俺がまだやるのか」

ライオスは自分より年下の女の子たちにやられ、精神がボロボロだった。


やはり試験は早く終わった。


矢に付与魔術をかけ、ライオスの顔を掠らせた。

すぐにライオスは降参した。


「よ、よし。嬢ちゃんたちは合格だ。

しかし、嬢ちゃんたち強すぎじゃねえか? どんな特訓してんだよ」

ライオスは威厳のために笑いながら合格を言い渡す。


「ワタシ、イキテルヨ、ガンバッタヨ」

「私たちのご主人様の従者の人が鍛えてくれたのよ」


「ん? お前たちは奴隷だったのか? それにしては目が死んでいないような?」


「いい人たちよ」

「シオン様、かっこいい」

「確かにイケメン、というかかわいい?」

ゼノビアたちがそれぞれの印象を言う。


「?! シオン様と言ったのか!?」


「うん、知り合いなの?」


「ああ、知り合いだ。と言っても俺があいつを鍛冶師のところに連れて行っただけなんだがな」


「ほぅ、あのすごい装備はこの都市の鍛冶師が作った者だったのか」


「いや、俺とその鍛冶師は何故かそこから先の記憶がないんだ。思い出さそうとすると、どうしてもやめておいた方がいいっていう気になってな」


ゼノビアたちはライオスと別れ、受付に戻り、合格を告げる。

「あれ、もう終わったんですか?」


「はい、全員合格だそうです」


「すごいです、Aランク冒険者のライオスさんは熱い人なのでもっと時間かかると思っていました」


「ふふん、そうでしょう、すごいでしょう」

ゼノビアは誇らしげに言う。


「じゃあ、俺は依頼に行ってくるけどお前たちは自由にしていたいいぞ」


「「「はーい」」」


シオンは二階の依頼説明の部屋に入る。

「おや、久しぶりです」


そこにいたのは、オーガの一件で知り合ったキリハとジータだった。


「おやぁ、お知合いですかな」

見知らぬ女性が割り込んでくる。


「こちらはBランク冒険者のカルタナさん、こっちの少年がシオンさんです」


「ん? さん付け? 歳はジータたちの方が上だよね?」


「ああ、それは、彼が命の恩人だからです」


「おお、そうだったのか。わたしはこの盗賊討伐の依頼のリーダーを務めることになっているカルタ

ナだ、よろしく」


「ええ、よろしく」

俺が参加する冒険者たちに挨拶していると、横やりが入る。


「おまえ、随分と余裕そうだな。どうせ強いパーティーに寄生してランクを上げたんだろ。でなきゃ、おまえ程度のやつがランクを上げることなんかできないもんな」


「……」


「俺らはDランクのパーティーでおまえより下だけどよ、ランクが上だからって偉そうにすんなよ、俺らは実戦派だから」

はぁ、わざわざ言うことかねぇ? そのパーティーの仲間の人たちもイラつく目で見てくるし。

今日は騎士との決闘もあるんだし、こんな依頼はさっさと終わらせたいな。
















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