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閑話 メイド、配下を手に入れる

メネア、教育初日


主様から使用人について一任されてしまいました。

なんと誉れ高いことでしょう!


私がすべきことは、

まず、執事・メイド・料理人。先王から頂いたというこの屋敷の庭は広い、なので、庭師も追加。


二つ目は、それぞれに高い水準の教育を施し、主様へ仕えるに相応しいレベルまで能力を引き上げます。


後は、主様のお役に立てるように戦闘や暗殺、潜入の訓練もした方がいいですね。メイドたちの仕事にそれぞれ暗殺や個人戦闘なども加えましょう。


使用人は、男性も女性も全員奴隷です。皆さん、何かしらの理由があって奴隷になったようです。

ですが、私には何の関係もございません。主様を前にそんなことは些事でしかありません。

あの方を目にすれば、彼らも過去のことなど忘れてしまうでしょう。


そうして、私は主様に彼らを紹介されたのですが、彼らは怯え、諦めを感じさせる目で私を見ています。

やれやれ、先が思いやられますね。あの神々しきお方を見て、怯えや諦念など抱かなくても大丈夫だと気付いてもいいものを。


しかし、どうやら感情を押し潰そうと思考する狡猾な者はいないようです。


私は主様の案内で40人の奴隷と共に屋敷へと向かいました。

奴隷の彼らはその屋敷の大きさに呆気を取られているようですが、この位の大きさの屋敷は、主様に相応しいものです。


そうして一通り屋敷を見せてもらい、各自の部屋までいただきました。私は主様の隣の部屋という名誉を授かりました。

屋敷は三軒あり、一番大きな屋敷を私と主様が、二番目に大きい屋敷に奴隷の彼らを住まわせるそうです。


説明も終わり、主様はどこかへ出かけてしまった。

私は屋敷の前に全員を整列させ、全員を見渡します。


最初に言っておかなければいけないことがあるのです。

「あなたたちは恵まれています。これからそれを自覚してください。むしろ、しろ!」


「…………っ」

息を呑む奴隷たち。掴みは上出来でしょう。


「自覚ができましたら、一生懸命に主様の役に立ちなさい。この恵まれた環境を享受する条件は、たったそれだけですのでご安心を」

奴隷たちの顔を見渡します。彼らは一様に困惑しているようです。


そんな彼らに言います。

「あなたたちの過去などどうでもいい。ここには、主様がいる。そして、あなたたちはそんな主様の配下になることを許された者たち。ありもしない冤罪で奴隷に落ちた者、ただ親に捨てられ奴隷になった者、仲間に裏切られ下種な輩に騙され奴隷となってしまった者、他にも理由は様々。しかし、そんな小さな事象などどうでもいい。彼の方のもとで誠心誠意働けば、全てが、あなたたちの今までの人生の後悔が、些末なものだと理解するでしょう」

全員の過去を真っ向から否定していきました。


彼の方の器の大きさに、信じる者の尊さに、給料が出る事実に、懐の深さに。すぐには信じることができなくとも、胸の内で期待をし始める。


「躊躇なくこちらに来なさい。さすれば、あなたたちに仕事を与えましょう。分からない事があれば一から教育します。十分すぎるほどの衣食住を保証します。拒否権はありません」

そうして、メネアの教育が始まった。



・・・



俺はライドウ。種族は獣人族の人狼。以前はこの王国の騎士団で団長をしていたものだ。

しかし、今は奴隷の身になっている。


俺を陥れる計画があったのはわかっていた。俺は騎士団での貴族の嫌味や賄賂などに飽き飽きしていた。脱退することに王にも許しを得た。

だから、俺はその陥れる計画を利用して騎士団を抜けようとした。まさか奴隷にまで落とされると読んでいなかったが。


ただ少しは悲しかった。

部下に裏切られ、騎士団で強くなりすぎてしまった俺は貴族にも目をつけられるようになる。貴族に関してはどうだっていい。

だが、部下の裏切りは辛いものがある。


そして、俺はものすごい美形の少年に購入された。その少年は同時に他の奴隷も計40人も買った。

我々は奴隷館を出て、彼の家に執事やメイドとして働くことになるらしい。


彼も貴族なのだろうか。だとすれば、同じく買われたこの子たちが心配だ。

すごい豪邸だった。やっぱりというか、あの少年はとんでもない金持ちだな。奴隷をこんなにいっぺんに買って何をするつもりかは分からない。しかも、家の案内まで彼が行い、奴隷一人一人に部屋を用意していると言う。


彼が何をしたいのか全くとしてわからない。余計に分からなくなっていた。


皆が不安の中、ダークエルフの女性が俺たちの前に立っていた。

彼に劣らず、恐ろしいくらいの美人だ。そのうえ全く隙がない。こちら側を見渡されるだけで萎縮するくらいの威圧感がある。

だが、ダークエルフもエルフ族と同様に美しい姿をしているために違法な奴隷にされることはよくある。彼女は嫌々彼に従っているようには見えないな。

この女、何者だ?


すると、ダークエルフの女が喋り始めた。

「あなたたちは恵まれています。これからそれを自覚してください。むしろ、しろ!」


「…………っ」

意味が分からん。恵まれているのであれば、こんなことにはなっていない。それはここにいる誰もが分かっていることだ。


『恵まれている?』信じられる訳がない、そんな都合の良い話。それが分かっているから、この先に不安が募るんだ。逃れようのない劣悪な環境を想像してしまう。俺たちを騙してどんな方法で使い潰そうとしているんだ?


この子たちは俺が守る。たとえ死ぬことになっても。

「自覚ができましたら、一生懸命に主様の役に立ちなさい。この恵まれた環境を享受する条件は、たったそれだけです」


は?


「あなたたちの過去などどうでもいい。ここには、主様がいる。そして、あなたたちはそんな主様の配下になることを許された者たち。ありもしない冤罪で奴隷に落ちた者、ただ親に捨てられ奴隷になった者、仲間に裏切られ下種な輩に騙され奴隷となってしまった者、他にも理由は様々。しかし、そんな小さな事象などどうでもいい。彼の方のもとで誠心誠意働けば、全てが、あなたたちの今までの人生の後悔が、些末なものだと理解するでしょう」


は? この女は、俺のことを知っているのか? それにこの子たちのことも調べているのか!?

奴隷を買う者は、一々その奴隷のことを詳しく知ろうとなんてしない。不思議な人たちだ。

彼女の言葉に後ろのエルフの嬢ちゃんは、不服そうだな。エルフ族は見目麗しい姿だが、性格は傲慢と聞く。いきなり彼女に色々と言われ、プライドでも傷つけたのだろうな。


「躊躇なくこちらに来なさい。さすれば、あなたたちに仕事を与えます。必要とあれば一から教育します。十分すぎるほどの衣食住を保証します。拒否権はありません。主様のお役に立つために」

メネアはそう締めくくって演説を終わらせた。


本当にわかんねぇな。

彼が何者なのか、俺たちに何をやらせようとするのか。だが、ダークエルフ女性やあの少年は何故か信用できる気がする。というより、あの少年に仕えてみたいという気がする。まったく、あの少年は何なのだろうな。



・・・



私は今、メイドをしている。

元は、地球の日本にいたが、よくある異世界召喚をされた。実際に、体験すると怖い。あれらの物語は自分に全く関係しないから面白いのであって、被害者が自分であったなら最悪だ。


私は森に倒れていたところを拾われ、奴隷にされた。いきなりピンチの状態って。

でも、この世界では、特に奴隷がダメという訳ではないらしい。まぁ、違法な奴隷売買はあるらしいが。私はいろんなことを同じ奴隷仲間のライドウさんに教わった。


私はステータス画面が見て、脱出を考えていた。

他の人は、自分のステータスが分からないらしい。でも、鑑定屋っていう仕事があってそこで自分のステータスがわかるみたい。


残念ながら私のスキルに鑑定がなく、固有スキルは武芸百般という謎スキル。

字からしていろんな武器を使えるということだろうが、まず私武器持ってない。


それから三日ほどで私は買われた。買い主は、10歳くらいの少年だった。こんな子供がこんなにも大金を持ってるなってきっと親に可愛がられているクソガキね。まぁ、綺麗なのは認めてやるけど。


だけど、この少年の家に着いて説明も受けたら、みんなも動揺しちゃった。


だって、使用人用の豪邸があるんだもの。使用人用なのに豪邸って向こうの世界でも聞いたことないんだけど!


しかも、ただのメイドにていうか奴隷に一人一部屋とかおかしいんじゃないかな!? すごい豪華な部屋だし! 私、この世界の奴隷常識とかは知らないけど、これは絶対におかしい事だけはわかるよ。向こうの世界でも奴隷っていえば、こんな扱いじゃなかったし!

っていうか、どんだけ土地持ってんの? 私たちがこんな場所にいていいの? なんか逆に申し訳ないわ!


そして、次の日からメネアさんによる訓練が始まった。なんかどんな騎士にでも勝てるようなメイドたちにするとか言ってる。姿の消し方とか人の弱点とかも習ってる。


それに教育のレベル高すぎじゃないかな? 私でも分からない問題があるんだけど。上質な教育って誰でも受けられるわけじゃないってライドウさん言ってたよね!?


他にも食事がおいしい。ああ、こんなにゆったりしたのとか久々だなぁ。あっちじゃ、仕事はほとんどが残業残りだったりして碌な物食べれてなかったからなぁ。


メネアさんのキツイ訓練で荒んだ心を最近は偶に遠目で見かけるご主人様のあの綺麗な姿が私や他の子の癒しになってるわね。

まだお側にお仕えすんのは許されてないけど、いずれはご奉仕して差し上げるのが私の差し当たっての目標かな。


メネアさんの怖さ以外は本当に恵まれているなぁ。

「マヤ。手が止まっていますよ。しっかり剣を振りなさい!」


「も、申し訳ございません」

うひー、やっぱりメネアさんって怖い。


ライドウさんがこっち見て笑ってる。ライドウさんは騎士をやってたんだからいいよね、だも、私は剣なんて持ったことないんだから!


鍛錬は大変だけど、結構ここはゆったりできる、危険も少なそう、給料もちゃんと出て、残業無し。


椎名摩耶・22歳・職業 勇者兼メイド・私、ショタに養われる。









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― 新着の感想 ―
[気になる点] 何とは言いませんが大分見覚えのある文章ですね〜
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