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どうしてこうなった

私はこの状況に混乱していた。

先ほど言ってはいけないことを言ったと思い焦ったが目の前には私の手を両手で握り、瞳をキラキラとさせたサムナーがいる。


「えっと、わたくしがあなたに口説き方を?他の貴族の男性に聞いた方がよろしいのではなくて?」


「いえ、今まで僕が口説いても皆何も言いませんでした。初めてあなたが意見を言ってくれたのです。なのでどうか貴方に口説き方を教えていただきたいのです。」


キラキラと期待に満ちた瞳で見つめられてはその願いを無下にすることはできない。

それに上手くいけばサムナーがヒロインを口説き落としてくれるのでは?

そうすればカルロスや、アレク王子のルートに入らず私が処刑される危険が減るのでは?

と考えサムナーに了承の返事をすると


私の後ろにいたアビーがサムナーに向かって


「サムナー様、お嬢様は変な本で口説き方を勉強しただけであまり役に立たない知識ばかりかと・・・」


「アビーったら、いつまであの本の事を言っているのよ。今回の本はきちんと評判を調べてから選んだものよ!」

そう胸を張っていう私に


「でしたら、題名と、その評判をお聞きしてもよろしいですか?」


「えぇ、もちろんよ。題名は『ブスでも落とせる最強の口説き方~これであの子もあなたのと・り・こ♡※時の運が必要になります』で、評判は、「この本を読んで口説きに行ったら一発で落ちました。Hさん30歳/男性」「この本を読んで自信が付きました。今から口説きに行ってきます!Jさん56歳/男性」「この本で勉強したおかげで夢の中で好きな女性が一緒にダンスを踊ってくれたんです。48歳/男性」というばっちりと効果が保証された本だったわ!!」

そういうとアビーは片手で頭を押さえて


「お嬢様、その本の内容はくれぐれもお嬢様の胸にしまっておいてください。間違ってもサムナー様に教えてはいけません。絶対に教えないでください。教えたらこれから毎日お嬢様の嫌いなゴーヤをきゅうりの代わりにおやつとして出します。生で。」


そうアビーに言われてしまった。

ゴーヤが生で出てくるのは避けたい。どうしても嫌だ。


「・・・・分かったわよ。じゃあ本の知識ではないのを言えばいいのね?」


「まともな物でしたら」


「その点は自信があるから大丈夫よ。」


なんせゲームの中のサムナーの口説き文句をそのままいえばいいのだ完璧だろう。


アビーと私の会話に置き去りにされていたサムナーを見て、

「いいですか。今からお手本を言いますのでそれを真似してみてくださいね」


サムナーが頷くのを確認した後、会場を見回して一人のご令嬢を指さし


「例えば、あの花壇の傍でグラスを持っているご令嬢を口説くには『君は綺麗な髪をしているね。日の光を浴びてまるで輝いているように美しい。そんな美しい君とダンスを踊りたいのだが、よろしければ僕と踊っていただけないだろうか?』そんな所かしら」


「なるほど、具体的に褒めるといいのですね。勉強になります。」

そういってメモを取るサムナー。


・・・・この人ナンパ男向いてないのでは?と思うがすべては私の処刑を避けるためであり、今回のパーティーでの発言をサムナーの変化で皆の記憶を上書きして欲しいとかちょっとしか考えてない。


そうして、一通りサムナーがゲームの中で口説くときに使っていたセリフを言い終わると、私はサムナーの背中を押し、


「さぁ、私が教えられることはすべて教えたので、後は実践あるのみですわ」


サムナーはこちらを振り向き笑顔で

「はい。行ってきます!師匠!」

と、走って会場にいるご令嬢を口説きに行った。


「・・・今、師匠とか言っていたのは空耳よね」


「残念ながら、私もサムナー様がお嬢様を見て師匠と言っていたのを聞いてしまいましたので現実かと思われます。」


そうアビーが冷静に返してくれた。

私は思わずその場で頭を抱えてしまったのだった。


それからのパーティーでは容姿も相まって口説くのがうまくなったサムナーがご令嬢の歓声を浴びているのを、私は会場の隅で適当に食べ物をつまみながら見ていた。

もちろんヘルシーな料理ばかりにした。


屋敷に帰るために馬車に乗り込んでいると、サムナーと妹のセリーナが見送りに来てくれた。


「ソフィ様、本日はありがとうございました。よろしければ今度は何もない日にお会いしたいですわ」


「師匠!今日は本当にありがとうございました。また相談に乗ってください!」


と笑顔で話す二人に


「えぇ、セリーナさん。今度はわたくしの屋敷に遊びにいらして。歓迎するわ。

サムナー様、わたくしはあなたの師匠ではありません。今度からはそう呼ばないでいただきたいわ。あと、相談にも乗りませんわ。」


そういうとセリーナは嬉しそうに頷き、サムナーは「はい。」と小さく返事をした。

その様子を見てこれで師匠になることは回避できたと満足し、馬車を出し屋敷に帰った。





数日後、サムナーがマクリーン家にやってきて、


「先生!ごそうだ・・・教えていただきたいことがあります!」


と元気よく我が家の玄関で手を振っている姿がみられてから、

一ヶ月に一度はこうしてサムナーが家を訪ねてくるようになりました。

妹のセリーナもその時一緒に付いてきていたので、セリーナとはお友達になりました。


★現在のデータ★

名前 ソフィ・マクリーン(15)

身長 154㎝

体重 52㎏

現在の評価:大分肌が白くなってきましたね。ダイエットも順調そうで何よりです。お友達も出来て良かったわ。後、あなたの部屋からまた変な本が出てきたのだけれど、この本の内容をくれぐれも外で使わないようにしてください。絶対に。



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