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出会い

そんなアビーはなんて優しいのだろう。と顔を見つめながら感激していると


ーバンッ

突然大きな音が鳴り、びっくりしてそちらを見ると

少年がガラの悪い人たちに絡まれていた。


「おうおう、兄ちゃん。俺はな、金出せって言ってんだよ。ここら一帯は俺らの縄張りなんだからよ、通行料くらい貰わねぇとだろ?」


「お金は持っていませんので、お支払することはできません。」


「金がねぇならよ、その高そうな服を置いていけば許してやるよ」


「やめてください。あなた方に渡すものは何もありません。」


何とかその場を去ろうとしている少年。

だが、その前を塞がれて通り抜けることができないでいる。


その少年は歳は私と同じくらいで黒髪に赤い瞳、右の泣き黒子が色っぽい。

かっこいい。という言葉ではなく、美しいという言葉がしっくりくるような容姿である。

服は確かに一目で良いものだと分かるようなのを着ている。

その人・・・泣き黒子さんは何度も逃げようとしているが囲まれてしまって逃げることができない。


周りはその人たちの事が怖いのか見て見ぬふり。助けに誰も入らない。


(・・・どこかで見たことある気がするんだけど、どこだっけな?んー。まぁ、いつか思い出すでしょう。それにしてもなんて典型的な絡まれ方をしてるんだ。)


だんだん泣き黒子さんが可哀そうになってきたので、私はアビーに自警団の人たちを呼んでくるように頼んだ。

アビーは頷いて走って呼びに行ってくれた。

その際「いいですか、ここでじっとしてて下さいよ。お願いしますから」と言われた。


しばらく言われたとおりにアビーを待っていたが、どんどん窮地に陥っていく泣き黒子さんを助けるため、話しかけようとする。が、見た感じ普通に「やめなさい」と言って聞くような人たちじゃない。

かといって私が喧嘩をして勝つことは絶望的だしな。


とそこで子供たちが遊んでいる姿が目に入った。

ーそうだ!!


(ごめん。アビー。あとでお説教は受けるわ!)

と心の中で謝りながらできるだけ大きな声を出した。


「貴方たちやめなさい!その人困っているでしょ!」


その言葉に周りの人たちの視線が一気に集まる。

ガラの悪い人たちも振り向いてこちらを思いっきり睨んでくる。


「あ"ぁ?嬢ちゃん誰に向かってそういうこと言ってるか分かってるか?俺たちはな、ここら一帯を取り仕切ってるんだぜ?通行料くらい貰わねぇとだろ?なんだったら嬢ちゃんが払ってくれてもいいんだぜ?」


そう言ってゲラゲラと笑い出すガラの悪い人たち・・・長いので不良と呼ぶことにする。


その不良たちに向かって私は

「あなた達の事は知らないけど、自警団をさっき呼んだからもう来るわよ。逃げるなら今だと思うのだけど?」


と言って私は人ごみの方に目を向けて大きく手を振る。

「こっちです!こっち!!」


すると人ごみの中から自警団が仲間を呼ぶ口笛の音が聞こえてくる。


口笛の音を聞いた不良たちは眉間に皺を寄せて舌打ちをすると、

「覚えてろよ!」


と何とも典型的な捨て台詞を吐き捨てて逃げていったのだった。


私は不良たちが全員逃げたことを確認すると、

近くの屋台に行き、お菓子をたくさん買ってさっきの子供たちの元に近づいていく。


私に気づいた子供たちが走って寄ってきて

「おねーちゃん、さっきの感じで良かった?」

「おれ、今日一番の口笛だったんだぜ!」

「口笛上手く吹けなかったんだけど・・・」


など一斉にしゃべりだす。

私は子供たちにお菓子を配りながらお礼を言った。


さっき子供たちが遊んでいる姿が目に入った私は子供たちにあるお願いをしていた。

『私が手を振ったら口笛を吹いて欲しい。』と


お願いを聞いてくれた子供たちがお菓子をもらって嬉しそうに帰っていくのを見守っていると、

そこでアビーが自警団の人たちを連れて帰ってきた。

アビーはお菓子を持った子供たちを見送っている私を見て不思議そうな顔をしながら

駆け寄ってきてくれた。


「お嬢様。お怪我はございませんか?」


「えぇ、大丈夫よ。」


「そうですか。お怪我がなくて何よりです。が、この状況は何ですか?先ほどの不良たちはどうなったのですか?まさか・・・お嬢様何かしたんですか!?」


ガッチリと私の肩を掴みながら問いただしてくるアビー。

は、迫力がすごい。

これは正直に言ってしまうと約束を破ったことがバレてしまい、説教コースに入ってしまう。


私はアビーから目をそらし、早歩きで屋敷に向かって歩き出す。


アビーは小走りで追いついてきて

「お嬢様。どうしても話したくないような事をやったのですか?」


「そ、そんなことはないわよ。」

と私が答えるとアビーはニッコリ笑って


「それでは、何があったか話してくださいますね?」


と笑っているアビーを見て、やられた。と思ったがもう素直に白状するしかない。

(説教、早く終わるといいな・・・。)


さっきの事をアビーに話しながら歩いていると、後ろから誰かに話しかけられた。

そう、あの泣き黒子さんである。


「あの、先ほどはありがとうございました。すぐにお礼を言いたかったのですが、見失ってしまって・・・」

シュンとしてしまう泣き黒子さんに私は慌てて


「大丈夫ですよ!それより、今度からは絡まれないように気を付けてくださいね」

というと泣き黒子さんは顔を上げ、


「本当にありがとうございました。お礼に何か・・・」


「お嬢様ーーーーー。」


泣き黒子さんが喋っている途中で家の使用人が探している声が聞こえてきた。

時計を見ると帰る予定の時間を大幅に過ぎていた。

きっと心配して探しに来たのだろう。


私は泣き黒子さんに一つ頭を下げ

「では、ここで失礼させていただきますね。お気を付けてお帰り下さい。」

と挨拶をすると


泣き黒子さんは何か言いたそうにしていたが、一度口を結ぶと

「えぇ、そうですね。またお会い出来る日を楽しみにしています。」

そう、笑顔で挨拶を返してくれた。



後日その話を聞いたお父様とお母様から2時間ほど説教をもらい、丸1日使って反省文を書かせられました。


★現在のデータ★

名前 ソフィ・マクリーン(15)

身長 153㎝

体重 70㎏

現在の評価:人助けをしたことは素晴らしいですが、自分の心配をしてください。あと、変な本を参考にしないようにしましょう。


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