第4話:瞳と奈美が決別!?ひび割れた友情
ここは若葉委流学園の音楽室。
フルートが綺麗な旋律を奏でている。
演奏者は鈴音。
迷いの無いその音色は、すごく澄んでいた。
やがて演奏が終わると拍手が湧き起こる。
「鈴音ちゃん、凄い。」
音楽室の廊下の窓越しから見ていた瞳が呟く。
やがて部活の時間が終わる。
「鈴音ちゃん、フルート凄く良かったよ☆」
「良かったププ。」
「ありがとう、瞳ちゃん、ププ。
でも、もう直ぐコンクールがあるから、もっと頑張らないと・・・」
「あ、そっか!
鈴音ちゃん、コンクールに出るんだっけ?」
「うん。」
「フルートに、塾に、大変だね?」
「大変ププゥ。」
「大丈夫。
もう慣れちゃったわ。」
「大変って言うと奈美ちゃんも、もう直ぐインターハイだし・・・」
「そう言えば、そうね。」
「鈴音も奈美も大変だププ。」
「ダークソルジャーが現れなければ良いんだけど・・・」
「そうね。
用心するに越した事は無いんだけど、注意しなくっちゃね。」
ここはサイバーダークワールド。
それは何処に在るのか分からない空間域。
「最強のダークソルジャーが遣られるとは・・・
しかも、ケータイ戦士が二人に・・・」
「次は、この私が参りましょうか?」
「ダークソルジャー・ライブルか。」
「ケータイ戦士が二人でも問題はございません。」
「よし!
お前に任そう、ライブルよ。」
「承知致しました。」
そう言うとライブルは姿を消す。
「ライブルで大丈夫なの?お兄様・・・」
「バルゴスか・・・
俺は俺のやり方でケータイ戦士を倒してみせる。」
「じゃあ、あたしはあたしのやり方でやるわ。」
「ふん。
好きにしろ。」
「でも、もう少し様子見ってとこね。」
「相変わらず用心深いな。」
「そりゃあ、まあね・・・
うっふふふ・・・」
瞳と奈美はカラオケ店に来ていた。
「いらっしゃーい。」
「あ、あの・・・二人なんですけど・・・」
「えーと、部屋はね・・・」
数分後、部屋には瞳と奈美の二人。
「ねぇ、奈美ちゃん。
もう直ぐインターハイなのに、こんな所に来ててもいいの?」
「大丈夫。」
「思い切って告白しちゃえば?」
「そ、そんな事は・・・
インターハイが終わってから考えようかなって・・・」
「ふ〜ん・・・。
案外、奈美ちゃんって純情な所あるからね・・・」
「瞳ー!」
「あはー、ごめん!
ジュース買ってくるね。」
と言って部屋を出る瞳。
その途中、通路で翔と出会う瞳。
「お、また来たな。オッチョコチョイ。」
「オッチョコチョイって何よ!
こっちはね、お客として来てんのよ!
もっと愛想良くしたらどうなの?」
「そっちこそ、もう少し女の子らしくしたらどうだ?」
「大きなお世話よ!
べーーーだ!!」
そそくさと部屋に戻る瞳。
「あんまし女子中学生をからかうなよ翔。」
「もう一人の女子中学生、お前にお熱みたいだぜ?
コクられたらどうするよ?章吾。」
「まさか・・・
って、仕事中は店長って呼べって言ってるだろ!」
「はいはい、店長。」
部屋に戻るなり愚痴る瞳。
「なにさ!あいつ!!」
「どうしたの?瞳。」
「あ、ううん。何でもない。」
「?」
カラオケ店での帰り道。
「明日、またイイかな?」
「インターハイ近いのに良いの?」
「うん。
それは大丈夫。」
「それなら、良いよ。
あいつに会うのはイヤだけど・・・」
「ん?」
「ああ、何でもないの。こっちの話。
あはは・・・」
「じゃあ、また明日ね!」
「うん。また明日!」
奈美と分かれた瞳。
「奈美、何か張り切ってるププ。」
「うん。
もう直ぐインターハイだから気持ちが高ぶってるのかも・・・」
「奈美をしっかり応援するププ。」
「うん。そうだね☆」
翌日の昼休み。
校舎の屋上には瞳と鈴音の二人きり。
「あれからダークソルジャーは現れないわね。」
「油断は禁物ププ。」
「あいつら突然現れるから油断なんないのよね。」
「そうねぇ、ププを狙ってるから瞳ちゃんは行動に気を付けないと
奈美ちゃんを巻き込んでしまうかも・・・」
「今日も奈美に誘われてるププ。」
「そうなんだよね・・・」
「出来るだけ別行動は取らない様にしましょう。」
「うん、それが良いかも。」
「鈴音と同じクラスで良かったププね。」
「うん♪」
そして、その日の部活の時間が始まる。
「いつ聞いても鈴音ちゃんのフルートは素敵ね。」
「でも、油断しないププよ。
いつダークソルジャーが現れるか分からないププ。」
「うん、分かってるよ。」
そして部活の時間が終わる。
「何も起こらなかったププね。」
「うん。」
「瞳ちゃん、私も一緒に行くわ。」
「うん、鈴音ちゃん。」
そして二人が一歩、校舎から出ようとした瞬間、景色が一変した。
「な、何なの!?」
「景色が変わったププ!?」
「これは一体!?」
そしてダークソルジャーが現れる。
「我が名はライブル。
私の空間へようこそ。」
「別に誘われた訳じゃないわよ!
鈴音ちゃん、行くよ!」
「うん!」
二人は『ケータイ戦士の証』を高く掲げる。
「「サイバーパケットパワー!
コーディアーップ!」」
二人は光の渦に包み込まれケータイ戦士へと変身を遂げる。
「サイバーケータイ戦士!
セーラーフォーン!
ケータイワールドを脅かす者は
この私が許さない!」
「サイバーケータイ戦士!
セーラーベル!
ケータイワールドを汚す者は
この私が許さない!」
「現れたなケータイ戦士。
どれ程の者か試させてもらおう。」
すると、また景色が一変する。
「な!?
今度は一体!?・・・
あれ?セーラーベル?」
一方、セーラーベルも何処かの空間に飛ばされていた。
「セーラーフォーン、どこ?」
ダークソルジャーが呟く。
「さあ、恐怖のステージの始まりだ。」
「こんな事が出来るダークソルジャーが居たなんて知らなかったププ。」
「こんな所に見えない壁がある!
どうしたら良いの?」
「瞳、落ち着くププ。」
一方、セーラーベルは・・・
「早くセーラーフォーンの所に行かなくては・・・」
ダークソルジャーが呟く。
「ふっふっふ・・・
この空間の謎が解けるかな?
しばらくは高見の見物としよう。」
セーラーフォーンは何とか、この空間から出ようと右往左往していた。
「あ〜ん、また行き止まり〜!」
「瞳、むやみに動かない方が良いププ。」
「だって、早くセーラーベルに会わないと・・・」
「落ち着くププ。
・・・
瞳!『ケータイ戦士の証』を使うププ!」
「『ケータイ戦士の証』?」
「『ケータイ戦士の証』で連絡するププ。」
「そんな事が出来るの?」
「やってみるププ!」
「うん!」
『ケータイ戦士の証』の呼び出し音が鳴る。
驚いたセーラーベルはケータイの応答に出る。
「もしもし?」
《もしもし、セーラーベル?》
「セーラーフォーン!?
『ケータイ戦士の証』に、こんな機能があったなんて・・・」
《あたしも今、知ったとこなの。
それよりも早く、この空間から出ないと・・・》
「何とか出口を探してみるわ。
そっちに行くからセーラーフォーンは、そこから動かないで。」
《うん!待ってる。
頼んだよ、セーラーベル!》
「うん!任せて!」
セーラーフォーンとの通信を終えたセーラーベルは呟く。
「さてと・・・
この空間の謎を解いてみせるわ。
これは多分、ダークソルジャーとの頭脳戦みたいなものなのね。」
セーラーベルは手探りで周りの壁を探る。
「一見、迷路のようだけど・・・
所々、広い空間があるみたいね。
かと思えば長い通路があったり・・・」
「今は鈴音に頼るしかないププ。」
「うん。」
セーラーベルは周りの壁を慎重に手探りで調べる。
「!!
こ、これは、もしかして!」
セーラーベルはセーラーフォーンに『ケータイ戦士の証』で連絡をする。
「セーラーフォーン、そこの状況を教えて。」
《教えてって言われても周りはマーブル模様だらけだし・・・》
「手探りで探ってみて。」
《広い部屋みたいになってる。》
「他には?」
《ん〜とね・・・
あ、なんかテーブルみたいな長い台がある。・・・
あ、ここにも。》
「広い部屋で長い台か・・・」
《全部で台が八つある。》
「台が八つ・・・
分かったわ!
直ぐそっちに行くから待ってて。」
《うん、分かった。》
セーラーフォーンの所へと向かうセーラーベル。
その様子を見ていたライブルが驚愕する。
「何!?
この空間の謎を解いたと言うのか!?」
「セーラーフォーン!」
「セーラーベル!
やっと会えた〜☆」
「さすが鈴音だププ。」
そしてライブルが姿を現す。
「この空間の謎を解くとは・・・」
「ダークソルジャー・ライブル!」
「この空間の謎は解けたわ!
ここは亜空間でも何でも無かったのよ。」
「どう言う事?」
「ここは私たちが元居た場所。
つまり、ここは校舎の中よ!」
「ええーっ!?」
「別々の場所に飛ばされた時、亜空間に飛ばされたと思い込んでしまったのよ。
そして周りの壁や物を透明にし、マーブル模様でカムフラージュしたのよ。」
「そっかぁ、それで広い空間があったり長い通路があったのね。」
「そして今、私たちが居るこの場所は理科室よ!」
「ほほう、さすがだな。」
と言いながら空間を元に戻すライブル。
「理科室だぁ。
さすがセーラーベル。」
「よくぞ見破ったと褒めてやろう。
だが本当の勝負はこれからだ。」
再び景色が一変する。
「!!
ここは校舎の屋上!?」
「勝負だ!ケータイ戦士!」
「望む所よ!」
突きや蹴りをライブルは天秤シールドで防御する。
「ケータイ戦士とはその程度か?」
「これじゃ埒があかない・・・
セーラーフォーン、私に考えが・・・」
「え?」
セーラーベルがセーラーフォーンに耳打ちをする。
「分かったわ!」
さらに突きや蹴りを続けるセーラーフォーンとセーラーベル。
「いくらやっても無駄だ。
このシールドは敗れん。」
それでも攻撃を続けるセーラーフォーンとセーラーベル。
「無駄だと言っているだろう。・・・
ん!?」
いつの間にか目の前に居るのはセーラーベル一人だけだった。
「何!?
一人だと!?」
シールドで目の前を覆っていた為、目の前の状況に気付かなかったのだ。
「しまった!
もう一人は!?・・・
後ろか!?」
しかし後ろにはセーラーフォーンは居なかった。
「ここよ!」
ライブルの頭上に居たセーラーフォーンは必殺技を繰り出す瞬間だった。
「サイバーフォーンパワー!
パケットアターック!」
ライブルにパケットアタックがクリーンヒットし光の粒子となって飛び散る。
「やったね☆」
とVサインをするセーラーフォーン。
「これもセーラーベルのお蔭だね。」
「ちょっとした心理戦みたいなものよ。
後ろに回り込んだと思わせて・・・」
「実は上から攻撃をするなんて、
さすがセーラーベルだね。」
「さすがだププ。」
「そんな事ないわよ。」
変身を解き周りを見てみると日が沈みかけていた。
「いっけなーい!!
奈美ちゃんとの約束!」
「急ぐププ!」
校門の所へ急ぐ瞳。
だが、そこに奈美は居なかった。
「来るのが遅すぎたみたいだププ?」
「奈美ちゃん・・・」
カラオケ店に足を運ぶ瞳。
「いらっしゃーい。
あれ?今日は一人?」
カウンターで応対する店長の章吾。
「あの、あたしの友達が来てないですか?」
「ああ、今日はまだ来てないなぁ。」
「そうですか・・・
あ、どうも。」
と会釈をする瞳。
「居なかったププね。」
「うん。」
翌日、登校した瞳を校門の所で奈美が待っていた。
そこへ鈴音も登校して来た。
「奈美ちゃん。」
「瞳。
昨日、待ってたのに・・・」
「ごめん・・・」
「どうして?何かあったの?」
「ごめん・・・」
「"ごめん"じゃ分からないよ?」
「・・・」
「瞳!」
俯く瞳。
「ごめん・・・」
瞳は、その一言しか言えなかった。
「瞳、あたしに何か隠してるでしょ?」
「・・・」
「親友のあたしには分かるんだからね。」
「・・・」
「何とか言ってよ瞳!」
「奈美ちゃん!
瞳ちゃんはね、奈美ちゃんとの約束を守ろうと…」
と助け船を出した鈴音だが、その言葉を断ったのは瞳だった。
「鈴音ちゃん!
いいの・・・私が悪いんだから・・・」
「瞳ちゃん・・・」
「瞳、あたし達親友でしょ?
理由を言ってよ!」
「・・・」
「瞳!」
「ごめん・・・」
「・・・
見損なったよ瞳・・・」
そう言って後ろを振り返り、去っていく奈美。
「瞳ちゃ…」
瞳に声をかけようとした鈴音だが
瞳の目から涙が零れ落ちるのを見逃さなかった。
瞳はポツリと呟く。
「戦士との両立って難しいね・・・」
「瞳ちゃん・・・」
瞳にかける言葉が見つからず、鈴音もその場に立ち尽くしているだけだった。
第5話へ続く
第5話:予告
「瞳、元気出すププ。」
「そうよ瞳ちゃん、元気出して!」
「うん。」
「ダークソルジャーが現れなければ間に合ったププ。」
「そうね、タイミングの悪い時に現れたものね。」
「にっくきはダークソルジャーね!」
「元気が出たププ?」
「ダークソルジャー許さないからね!!」
「いつもの瞳ちゃんらしくなって来たわね。」
「いつもの瞳らしくなって来たププ。」
「ダークソルジャー来るなら掛かって来なさい!
って奈美ちゃんも巻き添えに!?」
次回「友情復活の証は新戦士誕生!」
お楽しみに!
「ププは、あたしが絶対に守る!」




