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ケータイ戦士セーラーフォーン  作者: 三日月 弥生
3/6

第3話:最強のダークソルジャー出現!フォーン大ピンチ!!


瞳の胸の中で泣きじゃくる鈴音。




「何があったの?

 ねぇ、鈴音ちゃん!」




瞳の問い掛けに、やっと鈴音が答える。




「私・・・私・・・

 やっぱりダメだった・・・」




「何がダメだったの?」




「勇気が・・・出なかった・・・」




「え?」




「せっかく、瞳ちゃんが教えてくれたのに・・・」




「・・・」




瞳は、そんな鈴音にかける言葉が見つからず、

ただ立ち尽くすだけだった。




「ごめんね、瞳ちゃん。」




そう言って鈴音は瞳から離れ、走り去ってしまった。




「鈴音ちゃん・・・」







翌日、鈴音は欠席していた。




「帰りに鈴音ちゃんの様子を見に行ってみよう・・・」




そして放課後、瞳は鈴音の家へと向かった。




「ここが鈴音の家ププ?」




「そうだよ」




「随分、大きい家だププ。」




「じゃ、入るからププは暫く大人しくしててよ?」




「分かってるププ。」







門をくぐり玄関へと向かう瞳。


呼び鈴を押す。


暫くすると執事らしき人物が出て来た。




「どちら様で?」




「あ、あの、鈴音ちゃんの同級生で夢野瞳って言います。

 鈴音ちゃん、居ますか?」




「お嬢様は誰にも会わないと仰っておられます。」




「あ、あの、そこを何とか・・・」




「誠に申し訳御座いません。」




と執事は丁重に断る。


瞳はポツリと呟く。




「やっぱりダメか・・・」




自宅に帰り、ベッドに寝転がる瞳。




「ダメだったププね」




「うん・・・」




「瞳、元気を出すププ。」




「……」




「瞳、メールププ!」




「そっか!その手があった!」




早速、瞳は鈴音宛にメールを送る。




「鈴音ちゃん、読んでくれるかな?」




「きっと、読んでくれるププ。」




「明日、教室で会えるとイイな。」







ここはサイバーダークワールド。


それは何処に在るのか分からない空間域。




「やはりアリエルでは敵いませんでしたな。」




「うむ。」




「次は、この私が参りましょうか?」




「最強のダークソルジャーか・・・」




「見た所、あのケータイ戦士は、まだ戦闘は未熟と見ました。

 今なら難なく倒せますが・・・」




「……

 "楽しみ"が減るが、まぁ仕方ないか・・・」




「やはりトルブ様は最初から"遊ぶ"つもりでいらっしゃいましたか・・・」




「あまり、あの御方様を待たす訳には、いかんからな・・・」




「では行って参ります。」




と言いながらダークソルジャーは姿を消す。




「ケータイ戦士も最早これまでか・・・

 これでケータイワールドを手に入れたも同然だ。」







翌日、教室で鈴音が来るのを今や遅しと待つ瞳。




「鈴音ちゃん、まだかなぁ・・・」




すると恐る恐る教室に入ろうとする鈴音を見つける瞳。


鈴音に駆け寄る瞳。




「鈴音ちゃん!」




「瞳ちゃん・・・」




「おはよう☆」




「お、おはよう・・・」




いつもと変わらぬ瞳の笑顔に救われる思いがした鈴音だった。




「鈴音ちゃん、きっと来るって信じてたよ。

 メール、読んでくれたんだ?」




「う、うん・・・」




「良かった〜、読んでくれて。」




「ありがとう。

 ちょっと元気、貰ったかな・・・」




少し元気に成った鈴音を見て、ホッとする瞳だった。




「瞳ちゃん、放課後に話したい事があるの。」




「奈美ちゃんの次は鈴音ちゃんかぁ・・・」




「え?」




「ううん、何でもないの。こっちの話。

 あはは・・・」




「じゃあ、放課後にね。」




「うん☆」




瞳はポツリと呟く。




「何だろう?話って・・・

 教室じゃあ話し難い事なのかなぁ?・・・」







昼休み。


校舎の屋上へと足を運ぶ瞳。


すると屋上には奈美が居た。




「奈美ちゃん?」




「ここに来ると思ってた☆」




「さすが奈美ちゃんね。」




「昨日、鈴音ちゃん珍しく休んだんだって?」




「うん。

 でも、もう大丈夫だよ。」




「そっか・・・

 何があったか知んないけど、とにかく良かったじゃない?」




「うん!」




「ところで・・・」




「ん?」




「また、付き合って欲しいんだけど・・・」




「イイよ☆

 奈美ちゃんの恋の育成の為だもんね?」




「瞳〜っ!」




「あはは、冗談、冗談。」




「じゃあ、部活が終わったら校門の所で待ってるから。」




「うん。」







そして放課後。




「鈴音ちゃん、話って何?」




「ここじゃ、ちょっと・・・」




「ん〜・・・

 じゃあ、屋上へ行こう?」




「うん。」







校舎の屋上。


瞳と鈴音の二人だけしか居ない。


先に口を開いたのは鈴音だった。




「私、いつもあんな感じで友達を失ってしまうの・・・」




「え?」




「ほら、私って金持ちの娘で才女でって事で皆、敬遠してしまうの・・・」




「……」




「前の学校の友達に電話をしようとしたんだけど、

 どうしても出来なくて・・・」




「……」




「そしたら、その子からメールがあって、

 『もう、友達じゃない』って・・・」




「酷い・・・」




「昨日、瞳ちゃんからもメールを貰った時、読むのが怖かったの・・・

 また嫌われたんじゃないかって・・・

 でも、瞳ちゃんのメールを読んだ時、嬉しかった。」




「ほんと?」




「うん!

 やっぱり瞳ちゃんだけは違ってた。

 こんな私に今まで普通に接してくれたんだもん。」




「鈴音ちゃんは鈴音ちゃんだよ。

 これからも友達だよ!」




「うん!

 ありがとう、瞳ちゃん!」




その時!


不意に声がした。




「ふん、麗しい友情だな。」







「な、何なの!?」




「ダークソルジャー!」




「ダークソルジャー?」




「鈴音ちゃん、逃げよう!」




瞳は鈴音の手を取り、安全な所まで逃げようとする。


だが、屋上の出入り口に先回りし、立ち塞がるダークソルジャーだった。




「こっちよ!」




「瞳ちゃん、何なの!?」




「今は詳しく説明している暇は無いの!」




「え!?」




懸命に鈴音と逃げようとする瞳だが、どうしてもダークソルジャーに先回りをされてしまう。




「こうなったら仕方ない・・・」




そして瞳は意を決して鈴音の方に向きかえり両腕を掴み、こう言った。




「鈴音ちゃん!

 これから目の前で起きる事は

 絶対、誰にも言わないって約束して!

 お願いっ!!」




いつにない瞳の懸命な説得に応じる鈴音。




「う、うん・・・」




「ありがとう!鈴音ちゃん!」




瞳は『ケータイ戦士の証』を手に取る。




「瞳、鈴音の前で変身するププ?」




「仕方ないけど、それしか方法が無いの!」




そして『ケータイ戦士の証』を高く掲げる。







「サイバーパケットパワー!

 コーディアーップ!!」




鈴音の目の前で変身する瞳。


その様子を見て呆然とする鈴音。


やがてケータイ戦士に変身した瞳が姿を現す。




「サイバーケータイ戦士!

 セーラーフォーン!!

 

 ケータイワールドを脅かす者は

 この私が許さない!」




「ケータイ戦士!?」




ケータイ戦士に変身した瞳を見て驚く鈴音。




「鈴音ちゃん、私があいつを引き付けてる間に逃げて!」




「う、うん。」




ダークソルジャーと相対するセーラーフォーン。




「お前がセーラーフォーンか・・・

 私の名はジェミル。

 最強のダークソルジャーだ。」




「最強のダークソルジャー!?」




「瞳、気を付けるププ!

 あいつに皆、パケット戦士が遣られたププ。」




「パケット戦士?」




「パケット妖精にも戦士タイプは居たププ。

 だけど皆、あいつに・・・」




「そんなに強いの!?」




「とにかく、気を付けるププ。」







「ふっふっふっふっ・・・

 ケータイ戦士も最早これまで!

 覚悟しろ!!」




「絶対に負けないっ!」




セーラーフォーンとジェミルの戦闘に見入ってしまう鈴音。




「瞳ちゃん、あんな人達と戦っていたなんて・・・

 それに比べて私は・・・」




セーラーフォーンとジェミルは、ほぼ互角の強さだった。




「中々やるな・・・

 だが、この私には勝てん!

 そろそろ本当の"強さ"を見せてやろう。」




「え!?」




すると不意に後ろから攻撃されるセーラーフォーン。




「きゃっ!」




不意を衝かれたセーラーフォーンは、その攻撃により吹き飛ばされる。


そして、ゆっくりと立ち上がる。




「な、何なの!?」




すると、そこに居たのは二人のジェミルだった。




「ダークソルジャーが二人!?」




「ふっふっふっ・・・

 ジェミルとは"双子"を意味するのだ。」




「そして、我ら二人で一人!」




「最強のダークソルジャーと言われる所以だ!」







「二対一なんて卑怯よ!」




「パケット戦士が勝てない筈だププ!」




「卑怯、嬉しいねぇ。

 我らに取って最高の褒め言葉だ。」




「要は勝てば良いのだ。」




「覚悟しろ!セーラーフォーン!」




二対一の圧倒的に不利な戦いにセーラーフォーンは、しだいにダメージを受けて行く。


やがて立っているのが、やっとの状態にまで追い込まれてしまう。




「ほう、

 まだ立ち上がる力が残っていたか。」




「守るべき物があれば人は、どこまでも強く成れるの!

 あなた達には負けない!」




その言葉が鈴音の心を打つ。




「!!

 『守るべき物があれば人は、どこまでも強く成れる』・・・

 私は・・・私は・・・」




鈴音の心の中で激しく葛藤する。




「私は・・・いつも逃げてばかり・・・

 その度に友達を失ってばかり・・・

 でも・・・でも、瞳ちゃんだけは・・・

 瞳ちゃんだけは・・・」




ジェミルは最後の攻撃を仕掛ける。




「これでトドメだーっ!」




バキイィィィィィィィィ!!







間一髪、鈴音がセーラーフォーンに飛び付き危機を脱する。




「瞳ちゃん!」




「鈴音ちゃん・・・早く・・・逃げて。」




「瞳ちゃん、そんな体じゃあ、もう無理よ・・・」




そして鈴音は、ゆっくりと立ち上がる。




「私は、もう逃げたりしない!

 そして・・・

 もう絶対に友達を失いたくないっ!」




「鈴音ちゃん・・・」




その時!


水色の光の玉が、どこからともなく現れ、しばらく浮遊すると鈴音の掌の上に

そっと乗ると同時に、その形を変化させる。




「『ケータイ戦士の証』だププ!

 鈴音もケータイ戦士に選ばれたププ!」




鈴音は『ケータイ戦士の証』を見つめながら小さくコクリと頷くと

それを高く掲げる。




「サイバーパケットパワー!

 コーディアーップ!!」




二つに折り畳まれていたケータイがパカッと開くと

水色の光の渦が現れ鈴音を包み込む。




「何っ!?」




二人のジェミルが怯む。







やがて光の渦が納まり、

その中からケータイ戦士へと変身を遂げた鈴音が姿を現す。




「サイバーケータイ戦士!

 セーラーベル!!


 ケータイワールドを汚す者は

 この私が許さない!」




「鈴音ちゃんが・・・ケータイ戦士に・・・」




「何!?

 もう一人のケータイ戦士だと!?」




「だが、もう一人は既に戦える状態ではない。

 我らの勝利に変わりはない。」




「それは、どうかしら?」




「何!?」




「サイバーベルパワー!

 ヒーリングチャージ!!」




するとセーラーフォーンのダメージが見る見る回復して行く。




「セーラーベルの能力は治癒能力だププ!」




「凄ーい!直ったぁ〜。

 よーし!元気満タン!!」




と言いながらガッツポーズをするセーラーフォーン。




「行くよ!鈴音ちゃ・・・じゃない、

 セーラーベル!」




「うん!」







「今度は二対二で正々堂々と勝負よ!」




「ふん!

 返り討ちにしてくれる!」




セーラーフォーンとセーラーベルの息の合ったコンビネーションでジェミルを翻弄する。


そして二人のジェミルが折り重なる。




「今よ!セーラーフォーン!」




「サイバーフォーンパワー!

 パケットアターック!!」




折り重なった二人のジェミルにパケットアタックがクリーンヒット。


二人のジェミルが光の粒子と成って砕け散る。




「最強のダークソルジャーを倒したププ!」




「やったね☆」




と、Vサインをするセーラーフォーン。


変身を解き、鈴音に駆け寄る瞳。




「ありがとう、鈴音ちゃん。」




「ううん。お礼を言うのは、こっちよ。

 瞳ちゃんが私に勇気をくれたの。」




「え?

 あたしが?」




「うん。」




「とにかく・・・

 これからも宜しくね☆」




「こちらこそ。」




「……

 あーーーーっ!!

 忘れてた!

 奈美ちゃんと校門の所で待ち合わせしてるんだった!」




「急ぐププ!」




「鈴音ちゃんも一緒に行こう!」




「え?・・・ええ。」







校門で待っている奈美に駆け寄る瞳。




「奈美ちゃーん、ごめーん!」




「遅いっ!瞳ー!・・・

 あれ?鈴音ちゃん?」




「ど、どうも」




照れくさそうに笑顔で奈美に挨拶する鈴音。




「どう言う事?瞳。」




「まぁ、あの、その・・・色々と事情があって・・・」




「ふ〜ん。

 ま、いっか・・・

 ほいじゃ、行こう。」




「どこへ行くの?」




「カラオケだよ。」




「カラオケ?」




「そう、奈美ちゃんの恋の育成の為にね☆」




「え?」




「ひ・と・み!」




「ああっ、冗談、冗談!

 あはは・・・」




「まったく瞳は・・・

 あ、でも鈴音ちゃん、塾とかは?」




「今日は"休み"にするわ。」




「へ〜。

 余裕だね。」




「たまには良いんじゃない?」




と言う鈴音の笑顔は晴々としていた。








第4話へ続く











第4話:予告




「鈴音ちゃんがケータイ戦士に成って、なんか頼もしい♪」




「でも、ヒーリングチャージは一日に一回しか使えないププ。」




「えーっ!?そうなの?」




「そうなの。使い所を間違えると逆にピンチに成っちゃうの。」




「そっかぁ・・・」




「ところで瞳、最近、奈美との約束に遅れてばかりププ。」




「そうなの。奈美ちゃーん、ゴメン。」




「その事で奈美ちゃんは最近、瞳ちゃんに不信感を抱いてるみたいね。」




「いっその事、ケータイ戦士やってま〜すって、打ち明けちゃおっか?」




「そんな事を言って信じてくれるププ?」




「うう〜・・・」




次回「瞳と奈美が決別!?ひび割れた友情」


お楽しみに!





「ププは、あたしが絶対に守る!」






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