表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/14

プロローグ 魔界ごと封印された勇者は魔王と結婚することにした

 我ながら、今までよく頑張ったと思う。

 魔族から人間を守り続けて、もう十年くらいになるだろうか。


 勇者に選ばれてからずっと俺は使命を全うし続けた。人間を守るために今まで生きてきた。

 誰よりも強くなり、誰よりも多くの人を救い、誰よりもみんなのためを思ってきた。


 辛くなかったと言えば、嘘になる。重たすぎる使命感に何度も挫けそうになったこともある。

 だけど、俺の背中には数えきれないほどの命があった。俺が挫けたらみんな死ぬ。だから俺は、諦めることも逃げることもできずに、戦い続けた。


 歴代の中でも、俺はとても偉大な勇者だと自負している。何せ、俺が勇者になってから、人間側の被害は一人もでていない。


 魔族のよる侵攻を全て阻止してきたのだ。魔王だって何人もぶっ殺してきた。魔族の中でも強いと言われている幹部クラスだって、ボコボコにしてきた。


 俺の力によって、魔族はかなり衰退したと思う。最早人間の脅威にはなり得ないまでに奴らは弱体化した。


 しかし人間側はずっと魔族を恐れており、ある日俺に『魔族を殲滅してこい』と命令を下した。


 正直、あまり乗り気じゃなかった。無抵抗な魔族を殺すのは気が引ける。今まで殺してきた魔族はみんな好戦的な魔族だけだ。奴らは戦いが大好きで、戦死することを喜ぶくらい戦闘狂な一族である。


 だが、全てが戦い大好きな魔族ではない。特に女性魔族や子供魔族は戦う力が弱く、そういった魔族を手にかけたことは一度としてなかった。


 もちろん、俺は何度も断った。もう魔族に抵抗する力はないと力説してきた。しかし人間側の王族は俺の言葉を理解してくれず、結局俺は魔界に強制送還されることになった。


『魔族を根絶やしにしろ』


 そう命令されたわけだが、聞き入れるつもりなんてない。適当に何日か魔界で過ごしてから手ぶらで人間界に帰ってやると、王族は激怒した。


『もう一回行ってこい!』


 そうして俺はまたしても強制送還されたわけだが……今回はどうも、前回と様子が違っていた。


『魔界への扉を封印することにした……魔族を壊滅するまで、貴様は人間界に帰って来れないからな!』


 どうやら、そういうことらしい。


 ちょっと前までは、魔界のゲートを封印することはできなかった。魔王が封印を阻んでいたのである。だが、魔王は俺が殺してしまったので、今は誰も封印を阻む者がいない。この機会に人間側は封印をするようだった。


 だったら俺が魔界に行く意味ないのでは? と思いはした。だが、王族にとって勇者である俺は邪魔だったのかもしれない。丁度良く厄介払いされたともいえる。


 まぁ、人間界に未練はなかった。

 むしろ、これで人間を守るという重圧から解放されると思うと、気分がとても楽になったくらいである。


 そろそろ、頑張ることを終わってもいい頃だろう。俺という勇者の物語はここで幕を閉じたのである。


 これからは、のんびりと余生を過ごそう。

 魔界で、穏やかに暮らそう。


 そう決意した俺は、魔界と一緒に封印されることを了承した。


 そして俺は――


「魔王よ、戦いはもういいから結婚してのんびりスローライフしないか?」


 ――新しい幼女魔王と、結婚することにした。


「あ、阿呆が! そなたとなんか絶対に結婚しないからな!!」


 魔王は素直に認めてくれなかったが、まぁいい。


 俺はもう自由だ。

 時間はたくさんあるのだから、ゆっくりと仲良くなれればいいだろう――

お読みくださりありがとうございます!

もしよろしければ、評価やブックマークをいただけると励みになります。

どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ