表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

転移/転生

転生トラック

作者: 灰色セム

 テスト期間中なのだろう。平日の昼間に出歩いている少年たちがいた。そこへ猛スピードでつっこんできたトラックが、一人の少年をはねる。哀れ、吹き飛ばされた彼は——空中で消失した。ゲームのキャラクターだと言われても違和感がないくらい、なんの痕跡も残ってはいない。


 彼とともにいた少年たちも道ゆく人も、彼を心配しあるいは運転手を糾弾するそぶりすら見せない。トラックは彼を跳ねた勢いのまま浮上すると、ぐんぐん高度をあげてゆく。そうして、わずか数秒で大気圏を抜け宇宙へと飛び出した。


「転生転移、一丁あがりぃ! よい来世を!」


 トラックの運転手は、使命を果たしたとばかりにタバコをふかす。彼は、連日の無茶振りに耐え続け、やっと休日を勝ち取ったコンビニ店員にも似た表情で、満足げに頷いた。車体には虹色のド派手な文字で『転移転生運輸』と書かれている。


「さて。今日のノルマも達成したし、帰るか。もう少しで智天使に昇格できるけど、身体を壊しちゃ元も子もないもんな」


 彼は鼻歌を歌いながらフロントリアウィンドウを開け、タバコを捨てた。それは一振りの剣に変化し、宇宙の彼方へと飛んでゆく。そしてトラックもまた、光に包まれ走り去っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ