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邂逅

「何回想に浸ってんのよ。そろそろ、あなたを連れ戻しに相模家はこっちに向かっているわ。私にはあなたが考えていることくらい分かるわ。自分が誘拐されたのを知って、相模家の秘密というものを知った。それは相模家を壊せるもの、だからあなたは躊躇った。だから、自分が誘拐され、秘密を脅迫材料に使い自分が元の家に戻れる計画を立てた。あくまでも脅迫するだけ警察には言わずに交渉しようとした。まあ、こんなところでしょう?」

俺の実の母親は頭がとても優れているようだった。俺はやはり母親似らしい。でもこの人は肝心なことが分からないらしい。

「大体は合ってるよ。元の家に戻りたいだけじゃないんだ。俺はあいつらに謝ってもらいたいんだ。氷坂美玲に、俺の母親に。そして、母さんはあいつらを許してやって欲しい。誘拐したけれど、育ててくれたのはあの人らなんだ。家計が苦しいのに俺を見捨てたりしなかった。そんな人たちに感謝して欲しいんだ。」

俺は言いたいことを言い切った。正直何を言われるかわからなかった。怒られた記憶がないから氷坂美玲がどんな怒り方をするのかも分からなかった。だが、氷坂美玲はこう言った。

「母親が言うセリフじゃないけど。私はあなたが誘拐されて良かったと思ってる。私にはあまりあなたを構っている時間がなかった。その分使用人にまかせていた。だから、私は最初からあの人達を許してた。あなたを、聖也を私の代わりに育ててくれたあの人達に感謝してる。でも、聖也はもう高校生。自立が出来る年齢になっている。だから私は、あなたに一人暮らしという試練を与えるわ。あなたは充分生活が出来るほどのお金を持っている。お金が欲しいのなら言えばいい。でも言うことをきくのは年に一回だけ。もちろんあの人達には自分から言うのよ。」

俺の母親はそう言い俺を置いて帰った。

その後に、相模家が来た。俺は自分が知っていること、自分が今氷坂美玲どんなことを話したか、を話した。もちろん一人暮らしの件もだ。すると、案外楽に許してくれた。俺はその瞬間に力が抜けた。その日はあの人達との最後の夜を楽しんだ。盛大にパーティをした。俺の好きな寿司を食った。俺は高校生であることを忘れ親に甘え一緒に寝た。

俺は目を覚ました。親に手紙を書き置き早速部屋探しをした。俺の彼女である簪あやめはとある提案をした。自分が住んでいるマンションの隣の部屋が空いていると。俺はすぐに手続きに行った。すぐに入居できた。家具とかは全て揃っていた。どうやら、俺の母親達は子供のすることなどお見通しだったようだ・・。

俺は今日から一人暮らしを始める。学校は変わらない。逆に近くなった。俺は私立天神高校へと向けて歩き出した・・・・。

                           

第一章完  



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