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黒い夢と白い夢Ⅶ ――夢の終わり――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第4章 終わりの始まり ――臨時政府首都ポートシティ――
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第20話 クリスター政府首都からの脱出

「かかれ!」


 クラスタが叫ぶと、彼女の周りにバトル=アルファなどの軍用兵器が電撃音と共に、一斉に現れる。連合政府との戦いで奪ったロボット兵器だ。


[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]

[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]


 青いラインが入った黒色の人間型ロボットは、アサルトライフルを手に、私に襲い掛かってくる。今度は実弾だ。私は物理シールドを纏う。相手はバトル=アルファ5体に加え、バトル=メシェディが3体だ。手ごわい敵じゃない!

 私は自らバトル=アルファに近づき、脆弱なロボット兵器を斬り倒していく。アルファは簡単だ。ただ、メシェディは少し厄介だ。


[攻撃セヨ!]


 バトル=メシェディは素早く私の剣を避け、後ろに飛ぶ。手に持った銃火器で私の手を狙い撃ちして来る。その狙いはかなり正確だ。

 私は魔法弾を飛ばす。4発の炎の弾――火炎弾が飛んでいく。だが、バトル=メシェディは何度も素早く飛び跳ねながら、それを避ける。全ての火炎弾を避けた。

 でも、そんなことはお見通しだ。避けるバトル=メシェディに一気に近寄り、その身体を斬りつける。これは避けきれなかった。次々と残骸が火花を散らし、黒色の地面に転がる。


「私を忘れるな!」

「…………!」


 バトル=メシェディを斬り倒しているとき、クラスタも走り寄ってくる。その手には剣が握られていた。私は最後のバトル=メシェディを斬り倒すと、素早く飛んで避けようとする。だが、その動きは見切られていた。剣が振られる。脇腹を大きく斬られる。


「うっ、あッ……!」


 私は上手く着地できず、地面に倒れてしまう。クラスタが、血の付いた剣を手に、歩いてくる。物理シールドを張っていたのに、なんで……!? その答えはすぐに分かった。彼女の剣には、黒い雲状のエネルギー――ラグナロク魔法が纏われていた。シールドで防げない魔法エネルギーだ。

 さすがだ。何度も一緒に戦ってきただけに、私の動きを完全に読まれている。


「パトラー、どうしても国際政府に戻るのか?」

「いっ、今更それを聞き返す、のか?」

「……そうだな。ならば仕方ない。私はお前を捕えるだけ」


 そう言い、クラスタは私に歩み寄ろうとした。だが、そのとき、空からデルタ型の小型戦闘機が迫ってくる。間違いなくクリスター政府のものだ。


「なッ!?」


 クラスタは素早く私から離れる。小型戦闘機は私とクラスタの間に着陸する。戦闘機上部に覆い被さるハッチを開け、中から誰かが身体を出す。その手にはハンドボムが握られていた。


「…………!」


 クラスタは更に後ろに飛ぼうとする。だが、それよりも前に、そのハンドボムが投げられる。着弾と同時に、大量の煙が発せられる。クラスタの姿が消える。


「パトラーさん、こっちに!」

「コマンダー・ヴィクター!?」


 乗っていたのはヴィクター准将だった。私は素早く小型戦闘機に乗り込むと、開いていたハッチを閉じる。すぐ近くまで煙が迫っていた。

 私がハッチを閉めると、ヴィクターはすぐに小型戦闘機を発進させ、雨が降り注ぐ夜のクリスター政府首都の空を飛んでいく。


「国際政府に戻るんですよね?」

「あ、ああ、そうだけど……」

「なら、私も一緒です!」


 小型戦闘機の操縦席に座るヴィクターは笑顔でそう答える。


「い、いいのか!?」

「私はクロント城でパトラーさんに助けて頂きました。その日以来、あなたに忠誠を誓ってきました。パトラーさんがクリスター政府を去るなら、私も一緒に付いて行きます!」


 そう言うヴィクターの目に、迷いはなかった。ヴィクターの助けで安心した途端、急に疲れと痛みが身体に襲い掛かってきた。


「だ、大丈夫ですか!?」

「なに、これぐらい……」


 私は手を振る。蒼色の魔法弾――回復弾が傷口を癒す。……でも、心の苦痛は取れなかった。むしろ、急にそれは酷くなっていく。


「クラスタっ、みんな……」


 また涙が溢れてくる。今度はしばらく止まりそうにない。それは、堰を切ったかのようだった。声さえも漏れ出てしまう。……一気に寂しさと悲しさが襲い掛かってきた。

 私は多くの仲間の制止を振り切って、国際政府に戻る。もう、クラスタを始めとする多くの仲間は一緒じゃない。ヴィクターがいてくれたことが、唯一の救いだった。











































































 臨時政府は終わりを迎えた。


 そして、新しくクリスター政府が成立した。



 連合政府首都ティトシティは陥落した。


 かつて圧倒的な力を誇っていた連合政府に、その面影は完全になくなった。



 時代が変わろうとしている。


 4年近くも続いたラグナロク大戦の時代が終わろうとしている。



 黒い夢と白い夢の戦いも、終わりが近いのかも知れない。


 黒と白の決戦が、近いのかも知れない。



 私は、私のやり方で黒い夢を打ち破る。


 ……なのに、寂しさと――みんながいない怖さが、私の心に絡みついていた。



 でも、ここで倒れはしない。


 必ず、パトフォーを、黒い夢を、私は倒し、自由と平和を取り戻すんだ――!

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