優秀者選抜戦 開会式
前話、書き直してます。
前話の前書きに書き直したという言葉がある状態で見た人は見直さなくとも大丈夫です。
まだの方は大体一緒ですが、ユアンとマオの会話が変更されていますので◇から見直していただけると嬉しく思います。
訓練場に集められた生徒は何時もならば早く終われと願う学園長の話を今か今かと待っている。
事前に知らされているとは知らない生徒は自分が選ばれることを期待して。
何とか間に合ったルークの心境はそんな周囲と全く違うものだった。
勿論、ユアンに対しての怒りもあったのだが、それとは別に気になることがあったのだ。
「クインの奴、ユアンの見舞いにどうしてこなかったんだ?」
それはクインがユアンの見舞いに来なかった事だ。
クインもユアンは身体が弱いことを知っている。
一年も一緒に居るのだから当然だろう。
身体を壊す度にクインは弱っていても食べやすい物を持参して見舞いに来るのだ。
それが今回は無かった。
お節介なクインが珍しい。
「学園でも元気が無かったみたいだしな・・・」
クインは授業中もどこか遠くを眺め、教師に当てられても小突くまで気が付かなかった。
昼食も誘ったが、一緒に来ず、友達と取るのかと思えば一人でどこかに行っていたようだ。
王都ではそんな事一回も無かった。
そう、ルークは記憶している。
「あいつも体調が悪かったのか?」
周囲を見回してもクインの姿は無く、もし休んでいるのであればこの後、許可を取って見舞いに行こう。
ルークはそう決め、前に向き直る。
ルークが前を見た時、丁度設営が終わったのか、壇上にマーサ学園長は立っている。
ガヤガヤとしていた生徒も学園長の姿が見えると徐々に静かになっていった。
生徒が静かになった事に満足したのだろう、マーサは口を開き、前口上を述べる。
「生徒の皆さん、おはようございます。一年生の皆さんは突然の召集に驚かれた事でしょう。そして、二年生以上の方々は大体の予想は出来ていると思われます」
マーサはぐるりと生徒全体を見回す。
マーサの視線はルークや他の優秀者候補を分からないように捕らえていた。
それが何を意味するのか。
当然だが優秀者候補の皆は分かっている。
「何時も長いと思われるのも少しだけ癪なのでさっさと言う事にいたしましょう」
殆どの生徒は自覚症状があったのかと驚き、学園長はどこまで噂を知っているのだろうと怖くなったのだった。
「本年度、優秀者候補を発表致します。呼ばれた生徒は壇上に上がりなさい」
その言葉で訓練場の空気はピリリと緊張感に包まれる。
努力してきた生徒は自分かもしれないと思うからだ。
まず、高学年から発表される。
今まで三年生以上が選ばれた事はない。
よって、三年生の生徒は一番初めに発表されると思い、耳を澄ませていた。
しかし、彼らは自分の耳を疑う事になる。
「五年ガーナード」
「はい」
五年、その言葉が発せられた時、訓練場は騒然となった。
特に五年生と三年生の間からざわめきが起こり、それは周囲に伝染し広がっていく。
自分達の学年が初めに呼ばれると思っていた三年は五年生が整列している方を見て驚き、五年生は呼ばれた男の方を見て、唖然としていた。
ガーナードは事前に知らされている為、その視線を全て無視し、悠然と壇上に向かう。
学園長の顔を見ても間違い出ないことを悟った生徒は拍手を送る。
勿論、彼らの中にはしぶしぶ送る者もいたが、それは仕方の無い事だろう。
「次に三年生―」
次に出た言葉が三年だった事で四年生は落胆の色を隠せない様子であった。
五年のガーナードが選ばれたのだから自分達も、そんな感情があったのだ。
「二年―」
三年の二人、二年の二人が呼ばれ、今年はこの五人で優秀者の座を争うのか。
生徒は皆、そう思っていた。
しかし、次の言葉が先ほどのざわめきより大きなざわめき、もといどよめきを生んだ。
「―一年ルーク・ディナトルエ、同年ユアン」
「はい」
一年が選ばれた事など過去にあっただろうか。
さすがの優秀者候補に選ばれた者も驚きを隠せない。
ただ一人―ガーナードを除いて。
ガーナードは全く表情を変えることなく、動き出したルークに視線を向けていた。
ルークは自覚していないが、優秀な生徒の間では有名な生徒だ。
落ちてきた者で学園に通うものは少ない。
自分は王都の生徒であるという意識が抜けず、地方の学園に身を置くことが嫌で辞めていく生徒が多いのだ。
しかし、ルークは貴族であるにも関わらずそのような矜持を捨て、通っている。
それは他の生徒から好ましく思われ、そして注目を集めた。
落ちて来た者としての実力を測るために。
ルークに勝てれば、王都行きの指針になるからだ。
「おや?ユアン君はどうしましたか?」
学園長は壇上に向かってくる一年が一人な事に気づき、疑問を口にする。
学園長の言葉に訓練場は先ほどと別の意味でざわつく。
事情を知っているビュールはすぐさま学園長の元へと駆け寄り、耳打ちをした。
「・・・なるほど。え~、ユアン君は体調不良で欠席している様なので優秀者候補の権利を剥奪―」
ルークはその言葉に焦りを感じた。
例え、ユアンが諦めていたとしても、可能性は残していたい。
最後まで来ると信じていたかったのだ。
ここで権利を剥奪されると望みすらなくなってしまう。
それだけは避けたかった。
「学園長!!」
ルークは思わず声を上げていた。
異議を申し立てれば優秀者候補から落とされる可能性があると分かっている。
だが、喧嘩したとはいえ、友人の不利をそのままにして自分だけ権利を受け取ることなどルークには出来なかったのだ。
「―と思ったのですが、それでは何とも可哀想なので一斉に始まる一回戦でどこかが終わるまでに来れれば参加を許可しましょう。・・・で、ルーク君何でしょう?」
「・・・いえ、何でもないです」
しかし、学園長の言葉には続きがあった。
よく聞かず、先走ってしまったルークは若干の恥ずかしさを感じ、学園長の優しさに感謝する。
実の所、これは優しさではなく、推薦者がダンケルだった事がマーサの脳裏を過った結果であった。
他の教師であればユアンはさっさと切り捨てられていたであろう。
「ここにいる六名と欠席者一名の計七名が優秀者候補として選ばれました」
壇上には上げられた優秀者候補は皆、これから始まる戦いに緊張をし、隣にいる好敵手を横目で見やる。
さすが選ばれた生徒というべきか、どの候補もルークを一年だからと侮っておらず、実力を探っていた。
「更に私から一つ。ここにいる候補七名では一人あぶれてしまう為、私が独断で一人、候補を選ばせて貰いました。言うなれば学園長推薦枠ということでしょう」
この言葉に生徒は今日何度目か分からないほどの驚きの声を上げる。
今回の優秀者選抜は異常である。
五年のガーナードしかり、一年の二人しかり、今言った学園長推薦枠といい、例外ばかりだ。
「本来はこういう贔屓めいた事をしてはいけないのでしょう」
私もしたくはなかったですがね、という小さな呟きは生徒に聞こえず、学園長は話を続ける。
「これは言わば権利の乱用と取られかねません。しかし、私はこの子を推薦したいと思ったのです」
学園長はまさしく、自分の意思で推薦したという風に見せている。
事情を知る教師の一部ですら知っていなければ騙されていたほどの演技だ。
「では、壇上に上がってきて下さい」
他の候補とは比較にならないほどの演出だろう。
学園長の合図で訓練場の扉を開け、その人物は中に入ってくる。
「―チッ・・・」
ルークは思わず、舌打ちをした。
それは何も言わなかった彼女に対してという意味もあるが、その奥にあの男の思惑が見え隠れしていたからだ。
学園長も一枚噛んでいるのだろうとそこまで予測してみせる。
この茶番じみた演出もルークにとって苛立ちを増幅させるばかりだ。
「クイン・・・」
学園長推薦枠、一年クイン・ディナトルエ。
父親が絡んでいるのであれば、彼女が今回自分にとって最大の敵となるであろう。
ルークはそう確信を持っていた。
優秀者選抜戦が始まる―。
更新頻度が落ちてるよ!!
・・・そうなのです。
忙しいとかそういう理由じゃなくてですね・・・
いや、忙しいのもあるんですが
王都編の事考えてたら、選抜戦の考えてた事が飛びました・・・
王都編何書こうかなぁ~、そうだ!!あれとあれとあれも書こう!!
そんな事思ってたら
あれ?選抜戦何書こうとしてたんだっけ?
ってなりました。
すいません
ってな訳で選抜戦始まるよ~
ガーナードさん目立ってませんが、後で出てくるのでそれなりに頑張ってもらいましょう
世間は『ごーるでんうぃーく』という物らしいですね!!
大手は明日から始まるとか・・・
うらやましい!!
私は三日からですよ?
終わってない仕事があるので六日の朝だけ行きますがね・・・
更新はどうなるか分かりません
出来れば毎日上げたいのですが、四日に数少ない友達からのお誘いが・・・
六日の昼から弟と買い物が・・・
嘘!?私予定がある!!
びっくり!!
何時もなら暇で暇で仕方ないのに・・・
ではでは~




