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異変の原因 その二

前書き書けない!!








「遅い、付いて来れると言ったではないか。それに急いでいるのだろう?何をしていた」


 マオは木にもたれ掛かり、ミロに対し難癖をつける。

 

「た、確かに~、言いましたけどぉ~・・・」


 ミロは急いできたのか額に汗を浮かべ、肩で息をしながら馬を降りる。

 乗馬というのはなかなかに体力を使う。

 ゆっくり進めば問題なのだが、マオに追いつくために必死で揺られたのだ。

 

「馬より速い人間って何ですかぁ・・・」


 しかし、結局森に着くまでにマオの姿を捉えることは出来ず、こうして言いがかりを付けられるハメになったのであった。

 そしてこのことでミロは確信した。


(あ、この人は常識が欠如しているんだなぁ)


 と。


「逆になぜ馬なんぞ使う必要があるのか分からん。馬を使う利点といえば・・・ないな」

「ありますよぉ・・・。速いですし、歩くより疲れないです」

「遅いし、疲れも走るのと大差ない」


 ミロはどれだけ化け物なんですかとマオには聞こえない声量で呟き、森に入る準備に取り掛かった。


「今日はどこまで調査する」

「そうですねぇ~。一箇所だけ浅層で調べたい場所があるんでそこにいってから深層に向かいましょー」

 

 半日ではそのぐらいしか進められないであろうと考えたミロはマオにそう提案する。

 しかし、マオには気になるところがあったようだ。


「浅層は調べたんじゃなかったのか?」


 マオの言う通り浅層や中層はミロが大半調べ、資料を製作したはずだ。

 それをマオも見ている。

 今更、調べるようなところなど思いつかない。


「確かに調べましたけどぉ~・・・えっと、昨日『銀色』さんと会ったじゃないですかぁ~」

「ん?あぁ」


 文脈が繋がっていないように疑問を覚えたが、マオはそのまま話の流れに沿ってミロの質問に答えを返す。


「その日、『銀色』さん森に行きました~?」


 ユアンとして森に行き、たいした魔獣が居なかったために引き上げ、それから『銀色』として依頼を受けたのだったと思い出す。

 そのときにミロと出会ったのだ。

 昨日のことである、忘れるはずも無い。


「行ったな」

「その時、ものすごい音なんてしなかったですかねぇ~」

「ふむ・・・記憶にないが?」

『覚えてないなぁ』


 記憶を探るがそんなものはなかった。

 

「じゃあ、マオさんは知らないんだと思います~。もしかしたら異変に関係あるかもしれませんし~」


 そういってミロは準備を終えたのか森に入っていく。

 その後ろをマオはゆるりと付いていった。




 浅層は木の葉がゆれ、キラキラとする木漏れ日が美しい。

 暖かさも丁度良く、小鳥のさえずりが子守唄であろう。

 魔獣さえ居なければ本当に寝る事だって可能だろう。

 

「いや、結界を張れば良いことか・・・」

『ん~、気持ちいいね』

「何か言いましたぁ~?」

「なんでもない」


 他愛の無い会話をしながら二人は森を進んでいく。

 浅層には小鬼ぐらいしか居らず、最近の異変によって更に数を減らしている。

 時に姿を見せるのも魔虫程度だ。

 戦うのが面倒なマオやミロは気配を消し、横を通り過ぎる。


「さすがに慣れているな」

「そうですかぁ~?」

「あぁ、小鬼程度なら簡単だが―」


 小鬼や大鬼などの人型で目の付いている魔獣は視覚に頼った形で獲物を探す。

 勿論、牛鬼などの例外も居るが、視覚や嗅覚など自分の器官を信じて行動するのだ。

 しかし、魔虫は違う。

 

 魔虫の場合、嗅覚や視覚ではなく、触覚による気配感知が可能である。

 それによって物陰に隠れた獲物を毒や麻痺針で動けなくし、食らうのだ。

 

「つまり、魔虫から見つからず進むというのはなかなか高度な技術だ。誇ってよいぞ?」

『へぇ~』

「『銀色』さんのような有名人にそういわれると嬉しいですねぇ~」


 因みに魔虫が動けなくなった獲物を食らい、自分の毒で動けなくならないのは、体内に中和体液があるからである。

 閑話休題。


 何度も魔虫に見つからないように進んだ先に目的地はあったようである。


「ここです、気になってたところ」

「・・・」

『ここって・・・』


 そこは開けた場所であった。

 木漏れ日は途切れ、太陽がさんさんと大地に降り注ぐ。

 森の中では珍しく、木がなかった。

 いや、木があったのだろう。

 切り株はあるのだから。

 

「昨日、森がいきなり禿げたんですよねぇ~。禿げたって言うより切られたっていう感じでしょうか~?」

『・・・』

「・・・」


 ん~、と唸るミロを横目にマオはどう説明しようかと考える。


「地質調査でもしてみましょうか?それとも魔力残留検査でも・・・」

「・・・やらなくてよい」

「はい?」


 鞄の中を頭を突っ込みごそごそと探っていたミロはひょこりと顔を見せ疑問符を浮かべる。


「・・・これをやったのは・・・私の・・・知人だ」

「は?」


 言いよどみながらマオは真実を告げる。


「まぁあれだ。知人が魔獣相手に魔法を使った結果なんだ」

「こんな高出力の魔法を使わなきゃいけない魔獣ってどんな奴なんですか・・・」


 普通、森がこんな風になる魔法を使わなければいけないような魔獣が浅層に居るのかと。

 もし居たのであれば、それが異変の原因ではないのか。

 そういう意味を込めてのミロの言葉だったのだろう。

 しかし、真実は本当に些末な話だ。


「・・・小鬼だ」

「・・・馬鹿なんですか?その人」


 魔法を使わなくとも倒せるほど弱い魔獣の代表格である小鬼に対して、どれだけの魔法を使ったのか。

 ミロは使った人間は本当に馬鹿であるといわざる得なかったのだろう。

 『銀色』の知人を揶揄することは避けねばならない立場のミロであるはずなのに、こういう言葉を呟いてしまうほど、呆れたのであった。


「あぁ、馬鹿だ」


 マオも当然それに同意する。


「阿呆ですね」

「阿呆だな」

『すいません・・・』


 ユアンは知人が自分であることが分かっているので、素直に謝る。

 ミロには聞こえていないが。


 そしてこのとき、ミロの頭の中に依頼の言葉がチラついた。

 情報を得るいい機会ではないか。

 そう思い、ミロはここぞとばかりに質問をする。


「といいますか、こんな強い魔法を使える知人が居たのですね」

「そうだな」


 ミロは強い知人が居るという情報の確認が取れたことで更に踏み込んだ質問をする。


「その知人と貴方・・・戦えばどちらが勝ちます?」


 緊張する感情を隠したためか、いつもの間伸びた口調が鳴りを潜める。

 ごくりと喉が鳴るのを感じるミロ。

 もし、『銀色』より強い人間が居るのであれば・・・。


「当然、私だな」

「・・・(ほっ)」


 マオは即答する。

 マオからすれば魔法制御もままならないユアン程度に遅れを取るほど平和ボケしていない。

 しかし―


「だが、そいつが成長すれば私にかすり傷ぐらいはつけれるのではないだろうか」

「かすり傷って・・・」

『つけれる場面が思いつかないよ・・・』

 

 それほどまでに強い『銀色』の実力をこの目で見てみたいという思いと、出来れば怒らせたくないという思いが混じったものを胸に抱くミロであった。




後書き書けない!!(時間の関係上)


ではでは~

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