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依頼 その四

個人契約・・・依頼者が冒険者個人に依頼を出すこと。

       他の冒険者とも契約していることが多い。

例:この依頼はこっちの冒険者、もう一つの方はこっちの冒険者と分けれる


専属契約・・・依頼者はその冒険者個人のみに依頼を出すこと

       他の冒険者とは契約しない。

例:この冒険者にしか依頼は出さん!!

ただ、組合は仲介業者みたいな物なのでさまざまな組織から来る依頼は省かれる。


若干、ニュアンスが違うのです








 扉から中に入ってきた女性はまだ少女といって差し支えないほど、あどけなさが残っている。

 身長も小さく、緩く巻いた髪は整えたような形ではなく、寝癖によって偶然出来たような雰囲気が出ていた。

 身の丈に合わない程大きな鞄を背負っているため、余計に彼女の身長が小さく見える。


『可愛い子だね』


 ユアンは彼女のことをそう思ったようだ。

 確かにユアンより若く見えるが・・・。


(おそらく見た目よりも年齢は高いぞ?少なくともお前よりはな)

『嘘!?』


 何せ、組合から派遣された探求者だ。

 出来るだけ最小限の人数で当たらなければならない今回の依頼に、組合から選ばれた少女である。

 それだけ優秀なのだろう。

 年齢と優秀さは比例しないが、さすがに見た目通りの年齢と信じる程マオは常識を失っていない。


「彼女は優秀な探求者ですよ。組合から専属契約をさせていただいていますからね」

「ほう、さぞ優秀なのだろうな」


 個人契約は冒険者の中でも少ないがある。

 皆それを目標にしているといってもいいだろう。

 しかし、専属をしている者など更に少ないと言える。

 それも組合となればなおさらだ。


「えへへ」


 照れるように頭を掻く彼女を見ても誰も信用しないだろうが・・・。


「今回の依頼、ミロさんは原因の調査、究明。『銀色』さんはミロさんの護衛、排除可能であれば討伐を」

「了解なのです!!」

「あぁ」

 

 二人は返事を返し、その部屋を後にした。


 階段を下りる途中、マオはミロに話しかける。


「少女よ」

「ミロですよぉ」


 ミロは頬をぷくっと膨らませ不満げな顔を浮かべている。


「・・・ミロよ」

「はい、なんでしょう?」

「ある程度、これからの動きを決めたいのだが?」


 色々、決めなければいけないことがある。

 具体的に言えば、今からすぐに出るのかなど。


「そうですねぇ・・・。どこか食事でもしながら決めていきましょー」

「そうだな。しかし丁度昼時だ。どこか空いていればよいが・・・」

「いいとこ知ってるです。隠れ家的なお店ですよぉ?」


 彼女の案内に従い、組合を出ることにしたマオ達であった。

 組合を出るときも注目されていたのは言うまでも無い。



 彼女に案内されたのは北三番通り。

 この通りは住宅が多く、店らしきものも並んでいない。

 コロギの住人が談笑していたり、子供達がはしゃぎ回っているだけだ。

 

「こんな所に店が・・・?」

「そうなのです。あ、着きました」


 彼女が止まった建物はまるっきり住宅である。

 看板もなく、中が見えるわけでもない。

 もし、飲食店ならどうやって経営を成り立たせているのか気になるところだ。


「ふむ、何の匂いだ?」

 

 ふわりと香る食欲を刺激するような匂い。

 それだけが唯一、ここが飲食店だと思わせる要因であった。

 勿論、昼食を作っている住宅の可能性は捨てきれないが。


「入りましょう。お腹ペコペコですぅ」

 

 そういってミロは扉を開ける。

 勿論、扉に呼び鈴は付いておらず、ギギという軋んだ音がその代わりであった。


「あら!!、ミロちゃんじゃない!!お久しぶりね、元気にしてた?怪我なんてしてない?どこ行ってたの?頑張ってる?話し聞かせてくれる?新しい何か見つけた?うちの息子婿に貰ってくれる?お父さ~ん、ミロちゃんが来たわよ~!!でねでね・・・」


 矢継ぎ早にまくし立てる女性はミロしか目に入っていないようだ。


「お久しぶりです~、元気でしたよぉ。怪我はしてません。ちょっと依頼で遠くに行ってましたぁ。頑張ってますよぉ~。後で聞かせますぅ・・・」

「近所のワンちゃんが子犬を産んだの!!貰ってって言われちゃったわ!!どうしましょう?」


 ミロは律儀に彼女の言葉に返事を返していく。

 それに対し、女性のほうは更に質問や言葉を重ねる。


『・・・すごいね』

「・・・」


 ゆったりとしたミロに早口の女性。

 話が噛み合わないのは自然なことであった。


「ローラン。そのぐらいにしとけ。話がどんどんおかしくなっていっている。それにもう一人の客をほったらかすな」

「あら私ったら・・・あらあら!!あなた!!この人、格好いいわ!!ねぇねぇ、ミロちゃんの彼氏?どこまで行ったの?いいわねぇ若いって!!若いころと言えばね、私の夫もね・・・」


 ローランはまだまだ止まる様子はなく、自分の世界に入っているようだ。

 ミロも先ほどの質問に答え切れていないのか、返事をしっ放しである。

 二人だけなのだが組合より混沌としているかもしれない・・・。


「はぁ~、お前さん、あいつらはほっとくのが一番だ。俺はダンテ、『包丁の隠し場所亭』にようこそ」

「私は・・・マオウ。飲食店で合ってるのか?ここは・・・」


 確かに食事する卓はあるようだが、店自体狭い。

 調理場もそのまま住宅の物を使っているようだ。


「まぁ、確かに狭いが味は保証する。自分で言うのもあれだが旨い物しか出さん、つもりだ」

「そうですよぉ~、ここはとってもおいしいのです~」


 ようやくミロが帰ってきたようだ。

 まだ、ローランは自分の世界だが・・・。


「経営は大丈夫なのか?」

「まぁ、道楽みたいなもんだしな。それに近所の連中も来てくれるからそれなりにやっていけてる。で?何するよ?」


 品書きが無い為、何といわれても注文できない。


「ミロはいつもので~」

「私はお勧めを頼もうか」


 嫌いな食べ物は無い為、何でもいいかと思いマオはお勧めを注文する。


『・・・代われる?』

(無理だろうな)

『僕も食べたいのに・・・』

(諦めろ)


 そんな会話が二人の間で交わされている事など知らず、ダンテは料理、ローランは自分の世界に、ミロは涎を垂らし出てくる料理に思いを馳せている。


「・・・大丈夫か、この店?」


 そう思わずにはいられないマオであった。


二話目~


(や、やばい。コロギ編がものすごく長くなっている・・・)

(こんなはずでは・・・)

(ちゃんとプロット作っていない弊害が・・・)

(おい、誰だよミロとか言う女の子出したの)

(私じゃないよ)

(私でもないよ)

(・・・全部私じゃないか?)

(((せやな!!)))



(・・・・・・よし、このまま続けよう。仕方ない仕方ない)

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