依頼 その二
別にいらなかった描写感が半端無い・・・
遮音魔法の効果もあり、この部屋に入る音、出て行く音がなくなった。
職員の男性は茶を手に取り、軽く唇を濡らしてから言葉を発する。
「では始めましょう。私はモーデルとお呼びください」
今更ながらマオは彼の名前を知らなかったのだなと内心思う。
ただ、知っていたところで平人である彼についての情報は持っていないのだが。
「そうか。なら私のことは皆が言う『銀色』とでも呼んでくれたらいい」
向こうがどの程度情報を持っているか知らないが、さすがにユアンが名づけたマオという名前は知らないだろう。
更に言えばユアンと同一人物などと分かるはずも無い。
「そうですか・・・なら『マオウ』さんと呼ばせていただきますね」
「・・・何でも構わん」
受付として丁寧な対応をしていた時に比べ、なかなか嫌味な奴だとマオの中で彼に対する好意的な感情がグッと下がる。
ただ、皮肉めいた言葉を選ぶ様子には評価を上げた。
「自己紹介が目的ではないだろう?本題をさっさと話せ」
「話したいのは山々なのですが、そうはいかない事情がありまして・・・」
わざと話を区切り、マオの苛立ちを煽る。
その程度で揺らぐほど感情の制御が未熟なつもりはない。
ただ、時間は有限なのだ。
面倒ごとはさっさと済ませるに限る。
「少しお尋ねしたいことがあります。勿論、答えなくとも問題はございません。ただ・・・」
「なんだ」
「・・・信用や信頼はお金で買えませんよね?」
交渉において、相手の選択肢を奪い、自分の利になる方へと誘導するのは当然のこと。
今、モーデルは質問に答えなければ信頼できないといっている。
つまり、依頼は出せないということだ。
冒険者はいつでも依頼を欲している。
そこを突いてきたのだろう。
それに、組合からの信用を失えば、それなりの危険を孕む。
魔獣の素材買取は自分で交渉しなければならないし、依頼も自分で探さなければならない。
依頼を探すといっても、殆どの組織は冒険者組合に依頼を持っていくため、個人など怪しいものしかない。
組合の後ろ盾が無い冒険者など無職同然だ。
これは冒険者にとって有効な手段だ。
だが、これはモーデルにとって危険な賭けでもある。
それは―
「それがどうした?」
相手がこの事に対し、意に介さない場合だ。
マオにとって冒険者であるのは、ユアンが楽しみにしていたという事と、多少便利だという程度でしかない。
買取は多少吹っ掛けられるだろうが、それ以上に狩ればいいだけの話で、依頼などでのつながりなど求めてないのだ。
「・・・まだ質問もしていませんよ?」
この時、モーデルは心の中で過去を悔いた。
一種脅しのような交渉から入ってみたのだが、失策であったことは誰の目から見ても明白であろう。
『銀色』の情報を得るために『銀色』という優秀な冒険者を失うことは組合としても不本意なのだ。
(情報は少し得れたが、軌道修正が必要か・・・)
モーデルは心の中の留書に―『銀色』は組合を意に介さない―と書き記す。
「では質問だけさせてください」
「ああ」
マオは急かす様に手を振る。
モーデルはそのことに苦笑を零しながら手元にある紙からいくつかの質問を口にする。
「では・・・今までどちらに居られましたか?組合から冒険者にあなたを探すように依頼していたのですが見つからず仕舞いでした。衛兵から貴方が町を出ていないと報告がありましたので町にいたと思うのですが?」
「・・・」
マオは何も答えず、腕を組み目を閉じた。
答えがないと分かるとモーデルは次の紙を捲る。
「・・・次です。なぜ偽名を用いたのですか?それも『マオウ』などと不吉な言葉で」
「・・・」
本格的にマオは沈黙を保つ。
一切答えないとは言え、質問をしたという形式は必要な訳で。
この後もモーデルはいくつも質問を投げかけたが、マオが答えた質問は無かった。
「最後に・・・。なぜ何も答えないので?」
これにも回答が無いと思っていたモーデルだったが、その予想とは裏腹にマオは徐に口を開く。
「答える必要が無いからだ」
「・・・どういう意味でしょう?」
モーデルは額に汗が溜まるのを感じていた。
拭うことをしなかった汗は滴り、床に染みをつくる。
「私が組合を重要視していない発言をした。組合の自分に対する価値は理解している。この二つで自ずと答えは出る」
「・・・」
「組合はどれだけ私が悪人であろうと手放すつもりは無い、だろう?」
マオはニヤリと笑い掛ける。
モーデルはこの時、彼が初めから気が付いていたことを知った。
組合が彼を手放さない。
悪事は揉み消す準備がある。
それはつまり、平等をかざす組合が不平等であることを示す。
彼はそれを初めから看破していたのだと。
「―完敗です」
モーデルは今度こそ本当に負けを認める。
マオは彼の表情にやっと満足した。
「ふん、だからさっさとしろと言ったんだ」
『銀色』以外にも優秀な冒険者はいる。
だが、どの冒険者も口をそろえて言うのだ。
―どうすれば互いに無傷で牛鬼を屠れるだろうか、と。
「はぁ~」
モーデルは口から緊張と不安諸共、空気を吐き出した。
「では本題に入りましょうか・・・」
「無駄にした時間は半刻だ。それ相応の金銭を用意しろよ?」
「・・・分かりましたよ」
モーデルはもう一度ため息を吐き、頭の中でマオに話す依頼内容をまとめる。
依頼報酬と今話した彼を拘束した料金を合わせ、如何程になるのかを計算した。
しかし、彼との交渉をして見た様子から元々用意していた金額を少しばかり上げる必要があるなと頭を抱えるばかりであった。
書くモチベーションが足りない・・・
なんてことは無いのですよ!!
書きたいのです!!
書かせてください!!
仕事中も小説のことで頭がいっぱいなのです。
ちょこっとスマホで小説ページを見ていただけで怒られるんです・・・
ばれない様に開いたつもりなのに!!
どうして分かるんですか!?
以下いつもの茶番
安○先生・・・、小説が書きたいです・・・
○西先生「寝る時間削ろうか」
私「きついっす」
安西○生「ご飯の時間削ろうか」
私「死にます」
安西先○「仕事・・・やめようか」
私「・・・やめません」
○○○○「今ちょっと考えた?」
私「・・・ノーコメントで」
ではでは~




