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依頼 その一









 その日の昼、組合の中は騒然としていた。

 普段の昼間の組合は人が少ないにも関わらず、この日は人が集まり、身動きが取れないほどでは無いが、いつもの数倍居たであろう。

 朝から昼の間は普段どおりであったのだが、ある人物が組合を訪れた時、噂が噂を呼び人が集まったのだ。


 『銀色』。

 彼の姿、組合にあり。


 そんな噂が冒険者の間で広がりを見せたのである。

 一度姿を現して以来、彼は組合に来ることなかった。

 前回、彼の姿を見逃し、他の冒険者達から言伝に聞いていた者たちが一目見ようと組合に足を運ぶ。

 牛鬼(ミノタウロス)単独無傷討伐を達成した人物から話を聞こうとする冒険者が大半であった。

 そして、その容姿が受付嬢の断り文句に使われたり、女性冒険者から受けが良かったことも集まった理由の一つであった。


 組合が冒険者に彼の捜索を依頼したにも拘らず、その姿を捉えることは出来ずじまい。

 幻影だったのかと、幾人もの冒険者が囁き始めた時に現れたため、余計に注目を集めてしまったのだ。

 そして、そんな本人はというと。


『大人気だね』

(集まりすぎであろう・・・。正直に言うと、見世物のようで不愉快だな)


 気楽なユアンに辟易とした感情を抱くマオ。

 対照的な二人であった。


 組合の中は人で溢れかえっていたが、マオが歩みを進めると人波が割れ、道を譲られた。

 そんな様子にマオ―いや、『銀色』は苦笑を浮かべる。

 今はユアンでもなく、マオでもなく『銀色』なのだ。

 『銀色』を演じ、組合職員に話しかける。


「少しいいか?」

「は、はい」


 少し緊張気味に返事をする女性職員。

 マオは少し疑問思ったが、これだけ注目されていれば緊張もするか、と自己解決する。


「組合が私を呼んでいると知人に聞いたものでな。何の用か来てみたのだが?」

「しょ、少々お待ちください。すぐに確認を」


 そういうと彼女は急ぎ、事情の知る者のところへと走っていった。

 しばらくすると彼女は一人の男性職員を引き連れて来る。

 それは先ほどユアンの冒険者登録をした職員であった。


「お待たせして申し訳ない」

「構わない」


 彼は頭を下げ、謝罪を口にする。

 マオはそれに対し、鷹揚に返事を返した。


『さっきの人だね!』

(そうだな)


 ユアンは知っている人だったのが嬉しいのか意味もなくはしゃいでいる。

 マオも先ほどの丁寧な対応を見ている為、信頼が出来、好感が持てると感じていた。


「『銀色』様、あなたに少しお話があるのですが・・・」


 彼はそこで言葉を切り、周囲を見渡す。


「・・・ここでは何ですから二階の個室で話させて頂いてもよろしいですか?」

「それがいいだろう」


 マオは彼の提案を呑み、個室へと向かう。

 彼は苦笑を漏らし、上へどうぞと案内する後ろを付いて行くのだった。



 一階ではやはり『銀色』という言葉が多く飛び交っていた。

 

「あれが『銀色』か」

「そんなに強そうには見えなかったがなぁ」

「噂ではあの三倍の大きさに大斧を持ってるって聞いたんだが?」

「どんな化け物だよ、それ」


 などと『銀色』の強さに疑問を持つ者や―


「すっっっごく格好良かった!!」

「噂は本物だったね!!だって目が合っただけできゅんってしちゃったもん」

「でしょー?」

「何であんたが自慢げなのよ」

「えへへ」


 容姿に注目する女性陣。

 更に―


「くぅ~、ネルネちゃんが誘いに乗ってくれないのはあいつのせいだ!!」

「・・・なんて世界は不公平なんだ。顔良し、実力良し、それでいて二つ名持ち・・・。あぁ愛しのエリちゃん、君は彼に恋をしているんだね・・・」


 と男性陣も容姿に嫉妬する。

 そして―


「確かに侮れない」

「うんうん。確かにずっと周りを伺ってたものね」

「それも彼が来るまでコロギで一、二を争うほどの実力者の動きは全部把握してたっぽいし」

「ありゃ、化け物で間違いねぇや」


 と『銀色』の力の片鱗を感じ取るものも居た。

 総じて、組合の一階は混沌と化し、職員が落ち着かせるのにしばらくの時間がかかったと言う・・・。



(・・・)

『どうしたの、マオ?』

(一階がな・・・いや、なんでもない)

『そう?』


 突然階段の途中で止まったマオにユアンは疑問符を浮かべる。

 なんでもないと頭を振り、職員の後に付いていく。

 

「こちらです」


 男性職員が部屋をガチャリと空け、中に入る。

 案内された部屋はそこまで大きくなかった。

 背の低い卓子に長椅子、部屋に緑を与える為だけに置かれた観葉植物。

 日光が差し込む窓からは下の通りが見える。

 

(なるほど、遮音魔法でもしているのか)


 先ほどまで聞こえていた『銀色』の声は消えてなくなっていた。

 

「密談には最適というわけだな」

「おや、見破られてしまいましたか」


 見破るも何も―


「別に隠すつもりもなかったであろう?」

「そうですかね?」


 彼は茶を入れながらしれっとそんなことを口にする。

 なかなか面の皮が厚いところを見るに、彼は勤務歴が長いのだろうか。

 しかし、質問に質問で返すのは良くないと思うのだが。


「よくよく見れば薄っすらと魔法陣が描かれているな。紋様を途切れさせないように家具は最低限なのだろう?」


 見えるか見えないかぐらいに魔法陣が描かれている。

 これは精霊が魔法を理解した時の魔法陣とは違い、人間が魔法陣を描いている為、消えることなく維持される物だ。

 しかし、精霊が見せる魔法陣とは違い、効果は低くなるのだが、長く持たせるという意味では有用であろう。


「降参です」


 彼はそう言い手を上げるが顔はそう思っていないのだろう。

 

「ふん、不愉快だ」

「おや、なぜでしょうか?」


 彼は分からないといった風に首を振る。

 マオのイライラは募るばかりだ。


「試されるのは性に合わない」

「・・・なるほど」


 そう指摘すると彼は今まで浮かべていた笑みを消し、目を細める。


「では早速話しましょうか」

「さっさとそうすればいいものを」

「まぁそう言わないでくださいよ。これも仕事なので」


 コトリと置かれたお茶からは湯気が立ち上る。

 対面に座る彼は唯の受付では無い様子を伺わせた。


「何から話しましょうかね・・・」


 対話が始まる。

やぷー(こんにちは)【これを流行らせたい】


一つの話をこういう風に分割して書いてると

何だか書きたい文章が書けてとても満足な私です


初めの方は書きたい内容を圧縮して書いていたように思います


ちょっとは成長しているような・・・してるよね?


《読み返し中・・・》


・・・してないね!!びっくりだよ!!


ううむ、なかなか小説を書くというのは難しいものですな

でも楽しいからいいや


楽しいのが一番!!、ね?


ではでは~




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