ジギンの森で その二
短いです
書き直す予定(予定ですよ?
誤字報告感謝!!
前話、直しておきました
マオは魔法の使い方を教えたが、制御方法を教えていなかったことを後悔していた。
そして、今後訓練内容に加えることを固く決心する。
二人はユアンが放った魔法によって切り開かれた森をせっかくということで歩いてみた。
倒れた木が邪魔になっていたが、魔法で端に寄せながら進む。
さながら街道の様である。
木はすっぱりと綺麗に切られており、このまま持って帰れば木材として売買できないだろうか。
マオはそんなことを思いながらユアンの中で周囲の様子を探っている。
「うん・・・やりすぎたね・・・」
『この前、俺が学園の中庭で実験したものを教えようと思っていたが、早かったようだ・・・』
ユアンは自分の未熟さに恥を感じていたのだが、マオの心中は勇者補正のすごさと呆れでいっぱいであった。
二人は今、中層の中央付近に向かっている。
しかし、ユアンの魔法によって怯えたのか、魔獣らしい姿が見えない。
禿げた森はだいぶ先まで続いている。
ユアンが放った魔法の威力度合いが分かるというものだ。
『・・・おかしい』
「何が?」
深層に差し掛かったその時、マオは何か森の異変を感じ取った。
ユアンは森が深くなり、暗くなったということぐらいしか分からない。
草木の濃密な香りが奥へ奥へと誘っているような感覚を覚える。
『・・・』
「急に黙らないでよ・・・。どうしたのさ・・・」
ユアンはマオの様子に不安を感じる。
いつもの悪戯かと思ったが、それにしては真剣さがにじみ出ている。
『魔獣が少ない』
マオはそう短く答える。
「えっ?」
ユアンは周囲を見回すが、初めて来たということもあり、これがいつも通りなのかと思っていた。
禿げた森を歩いたとき、襲われたのは二、三回。
全て小鬼であった。
ユアンは道すがら自分が病気で床に臥せっている時、マオが何をしていたのかを聞き出した。
その時にこのジギンの森で狩りをしたことも聞いている。
マオはそのときと比べているのだろうとユアンは予想した。
「僕の魔法のせいじゃないの?」
『違うな。逃げた跡が無い』
「逃げた跡・・・?」
小鬼はともかく大鬼や牛鬼がもしユアンの魔法で逃げたのだとすれば、木々の枝が折れていたり、草花が踏み散らかされたりしているはずなのだ。
マオは周囲を見回したがそれらしき跡がない事を確認している。
「じゃあ、魔獣たちはどこに行ったんだろう?」
ジギンの森は比較的大きな森だ。
生態系もさまざまでこんなにも魔獣が見つからない事などない。
『森を移動した・・・?しかし、この森以外に行ける場所など・・・』
マオは独り言を呟きながら思案する。
「隣の森は?」
そこにユアンが疑問を呈す。
『ふむ』
確かにジギン山脈を越えれば、小人・巨人族の領地だ。
行けなくはないだろう。
しかし―
『全魔獣が仲良く・・・か?』
そう、普通は小鬼や牛鬼、魔虫が仲良く存在することなど稀だ。
人間を狩ることが出来ない牛鬼は小鬼を食す時がある。
小鬼も何も食べられないければ魔虫を食らう。
弱肉強食の世界で仲良くなどありえないのだ。
普通であればだが・・・。
「山を越えない森もあるじゃないか」
『もしかしてトゥキルの森のことを言っているのか?』
「うん」
トゥキルの森とはジギンの森の西側、王都の真北にある森で、こちらもトゥキル山脈という山々の麓に生い茂っている。
ジギル山脈とトゥキル山脈の間には渓谷があり、商人たちはそこを通って小人・巨人族領に入るのだ。
つまり、トゥキルの森とジギンの森は街道を挟んで存在する。
『ありえんだろう。人の領域を通り過ぎ、森を移動するなど・・・』
「分からないじゃないか」
『・・・』
街道を横切ってトゥキルの森に行ったのだとすれば、誰かが目撃している可能性がある。
『・・・いや、魔獣の大群に出遭ったのであれば死んでいるか』
さすがにそれに出遭って生き残ることが出来るのは勇者程の実力者しか不可能であろう。
そんな実力者が偶然そこに居合わせるという事など確率的に低い。
「魔獣が少ないと何かいけないの?」
マオの思考を途切れさせたのはユアンの素朴な疑問であった。
魔獣が少ないと何が起きるか。
ユアンの知識の引き出しにそれに対する答えがなかったのだろう。
『そうだな・・・。《魔獣が逃げた原因》が危険というところだろうか』
「どういうこと?」
魔獣は人に比べ、危機察知能力が非常に高い。
自分より強者を察知する能力、天災の前兆、子孫が根絶しそうになればその原因から数匹だけ逃がすなんてこともする。
つまり、魔獣がこの森を捨て、逃げ出したことが問題なのだ。
『訓練は中止にせざるを得ないだろう。組合に戻って報告をするしかないな』
「残念だね・・・」
『そうだな』
魔獣が少なくなった理由。
それが判断されるまで、ユアンをジギンの森から遠ざけたほうがよいだろうか。
そんなことを思う過保護なマオ。
結局、二人はたいした魔獣を狩ることもできず、『銀色』になって依頼を受けるしか選択肢がなかった。
その時、「森が禿げた」という噂を聞き、ユアンもマオも苦笑いを浮かべるしか出来なかったという・・・。
査読してないけど許して!!(連投稿の時はいつも・・・
コロギでこんなにも話を書く予定はなかったのに・・・
なぜこうなった!?
不思議で仕方ない
ではでは




