会話しましょう その二
手抜k(ry
前話ちょっと書き足しました
これも修正するので
いつかまた日を作ります
「エンビィだと・・・?」
その名前を聞いた瞬間、ふっとマオから放たれていた重圧が消えた。
張り詰めていた空気が緩み、ユールは生き残れたことに驚く。
何が悪かったのか理解できなかったが、自分の発言が彼の怒りを買ったのは間違いない。
―殺される。
それも欠片すら残らないようにと考えていた。
それほどまでにマオの様子は怒りに震えていたのだ。
「すまないな。久方ぶりに我を忘れるほどの怒りを覚えたのだ、許せ」
「いえ・・・」
上からの物言いだったがそれを指摘できるほど今のユールには余裕がなかった。
マオの心は未だ怒りで満たされているが、それをいつまでも表に出すような愚者ではない。
しかし、彼女を気遣えるほどのゆとりがなかったのも事実である。
「少し聞きたい」
マオはどうしても聞かねばならないことがあった。
「先代が死んでからどれだけ経った?」
この質問によって色々なことが見えてくる。
もし、そこまでの年月がたっていないのであれば内戦という事実も仕方ないと言えよう。
しかし逆であればそれは・・・。
「お、おおよそ百年と少しであります」
「百年・・・?」
「は、はい」
ユールは機嫌を損ねないように言葉を選ぶ。
そこには先ほどまでの気安さは無かった。
多くの人間が百年と聞けば長く感じるであろうが、魔人にとってはそうでもない。
魔人の平均死亡年数は千年単位である。
それを考えると百年というのは短く感じるのではないだろうか。
しかし―
「エンビィの奴が百年たっても魔人国内を統一出来ていないだと・・・?」
そう、エンビィという男を知っていれば誰しもが考える疑問。
エンビィの性格を一言で表すのであれば、慎重であって大胆というのが正しい表現だろう。
彼は慎重に事を進め、それでいてここぞというときには周囲が驚くような策を選ぶ人間だ。
何重にも張り巡らせ、時間を掛けても成功するように仕組まれた罠、失敗も想定し、それすらも利用するような男だった。
先ほどマオの脳裏を掠めたのはこの男であった。
「ディーやツイル姉妹、ボルグはどうした?あいつらがいれば統一も簡単であろう」
ユールは彼らを知っているのかと驚愕する。
なぜなら、その名前を持つ人達は魔人の全盛期―魔人国の発展と安寧を先代と一緒に築き上げた人々だからだ。
彼らはユール含め、多くの魔人に尊敬と崇拝の念を抱かれている。
勿論、エンビィもその人々に含まれているのだが、現魔王という事もあり、別の意味の尊敬を受けている。
「カトレア様とカナリア様は南方のご実家で療養されています」
「療養?怪我でもしたのか、あの二人が・・・?」
「いえ、適当な言葉が見つからないのですが・・・」
そこでユールは言葉を詰まらせ、眉間に皺を寄せている。
マオへの恐怖から言葉を選んでいるのだろう。
しかし、結局失敗したのか、口ごもりながら続ける。
「現魔王様の政策に同意できないと・・・おっしゃっていまして・・・」
「なるほど、では残りの二人は?」
何も咎められなかったことでほっとしたユールはボルグに対しての説明はすぐに言えた。
「ボルグ様は竜の里に帰られました」
「なんだ、あいつもか」
「なんでも『俺を部下にしたかったら竜の里で俺を倒して見せろ』とのことでした」
「あいつらしいな」
マオの顔に少し笑みが浮かぶ。
それは彼らのことを思い出していたからであった。
ツイル姉妹は優秀な者達である。
特に防御面で優れており、要塞の管理を全て担ってもらっていた。
しかし、彼女達の部下から上がってきた話によると―。
『攻めるのって面倒じゃん?動かないといけないし』
『守るほうが断然楽だよ。だって罠張って、魔法で固めたら後はお茶の時間で終わり。なんて楽なんだろう』
―言っていたそうだ。
そう言えるのは彼女達が優れた者だからであろう。
ボルグという男は魔王の側近であったが、珍しく魔人ではなかった。
彼はマオが竜人の里に踏み入った時、マオが気に入り、着いて来いと勧誘した男である。
つまり彼は竜人であった。
その強靭な肉体で敵を圧倒する姿と王への忠臣から魔人でもないのに魔人国軍総司令官の椅子を勝ち取った過去を持つ。
そこまで考えてある名前が出てきていないことに気が付く。
「ディーはどうした?」
ディー・ロイツ。
彼は側近の中で最も古くから重用してきた男だ。
その名前は広く知れ渡っており、先代に仕えていた人物の名前を挙げよといえば、一番初めに挙げられることが多いのだ。
しかし、ユールはそれを口にしなかった。
それが意味するのは・・・。
「ディー・ロイツ様は・・・前魔王派・・・つまり反乱軍の先導者です・・・」
「・・・なるほど、それは百年も掛かるはずだ」
今日三つ目の驚愕である。
魔王がまだエンビィであったこと。
百年しか経っていなかったこと。
そして、ディーが反乱軍を率いていたこと。
「奴は先代の敬虔なる信者であったからな・・・」
彼の忠臣は凄まじいものであった。
従順にして忠実。
マオが黒といえばどんなに白でも彼は黒と判断するような男だ。
マオが死んだ後、こうなる事は予測できた。
しかし、エンビィと協力して事に挑むと希望的観測をした結果がこれだったのだ。
「その時代の魔王が判断したことならそれに従うべきであろうに・・・」
マオが憤慨したのは親愛なる民同士を傷つけあう内戦であって、マオ自身、平人と戦争する事に異議は無い。
それはエンビィが決めることであって死んだマオが口を挟むことではないからだ。
しかし、死ぬ何年か前に側近全員に話したある計画の内容が、この結果に多少なりと影響を与えたのであれば、自分にも少しばかりの責任はあるのであろうと考える。
「ユールよ」
「は、はい」
ユールは思案していたマオに突然自分の名を呼ばれ、ビクリと肩を震わせる。
「お前は今の魔王と話せる立場にいるのか?」
「申し訳ありません。自分は上司にいつも報告をしている為、直接話したことはないのです」
上司が王に報告しているのであればマオには問題ない。
「その上司に報告し、王に伝えよ。『次に我が魔人国に入った時、内戦がまだ続いていたのであれば、貴様と反乱者の胸に先代と同様、銀光を送ろう』とな」
「それはどういう意味で・・・?」
「そのまま伝えれば良い、それでも分からない無能は待つ必要もないだろう」
「分かりました」
ユールは疑問に思うも深入りする問題ではないと頷くに留める。
この内容が魔王に届くのか疑問ではあるが、どうせ魔人国には行くのだから問題はないのだとマオは内心思うのであった。
昨日更新できなくてすみません
ちょっと最近立て込んでおりまして・・・
毎日の更新は相変わらず難しいのです。
先週は出来たのに・・・ねぇ?
文章のクオリティーをあげるにはどうしたらいいのでしょう・・・
語彙力をつけるにはどうしたらいいのでしょう・・・
・・・仕事を休むにはどうs(ゴホン
なんでもないです・・・
さてさていつも通り短いですが
皆様の心に喜怒哀楽感じさせることが出来たらとてもいいのになぁ
なんて思いながら今日を締めたいと思います
ブクマ、評価してくださった方々に感謝を
そしていつも読んでくださる読者様に感謝を
ではでは




