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実技?






 午後の実技は学外で行われることとなった。

 昨日の試験でユアンとルークが暴れた傷跡がまだ直っていないのだろう。

 しかし、高学年の生徒も強力な魔法を使うはずである。

 毎回、壊しては直す作業をするために、学外に行っているのであろうかとマオは考えていた。


 実のところ、訓練場には結界がある。

 強力な一撃にも耐えられるようにダンケルが編んだ結界。

 それは本来訓練場を使うなら発動しなければならないのだが、新入生ということもありそこまで強力な一撃はないだろうと教師全員が考えていた。

 しかし、予想以上にルークとユアンの戦いが苛烈であったために、急遽起動したものの、わずかに時間が遅く、こういう被害となってしまったわけである。

 高学年の生徒にとっては迷惑な話だ。

 

 学園の中庭で授業をやるようで、この授業の担当もビュールのようである。

 

「はい、皆さん」

 

 パチンと手を叩き、彼女は注目を自分に集める。


「実技初めての授業ということなので、魔法を使える手前までにはなって欲しいなぁって先生は思います。頑張りましょうね」


 午前のおかしな雰囲気はなく、寮母のときのような優しい空気に生徒も皆、ほんわかしている。

 ・・・一人を除いて。


「ユアン君、ルーク君、クインさんはもう魔法を使えるものね。どうしましょうか?」

「僕はやってみたいことがあるので自習させてもらっても構わないだろうか?」


 一応、ユアンの真似をしたつもりのマオ。

 それに対してのユアンの反応は―。


『ぶふー!!・・・マオが・・・ぼ、僕の真似、あははっ・・・駄目だ笑いが、ふふっ・・・止まらないよ・・・あははははっ』


 今まで意地悪されたお返しとばかりに思いっきり笑っていた。

 身体の内から聞こえるユアンの笑い声に本来なら青筋を立て、怒る筈だ。

 しかし、今は表に出ているため、魔王時代に培った鉄火面を全開にし、ビュールに相対する。

 内心ユアンにどう仕返しをするか考えていたのだが。


「ええ、いいでしょう。ルーク君とクインさんはどうしますか?」

「俺らも自習でいいです」

「はい」


 二人も意味のない授業より自分で訓練したほうがいいと判断したのだろう。

 自習を選択していた。

 

『・・・で?な、ふふっ・・・何するの?・・・ふふっ』

(まだ笑うか。・・・別にたいしたことではない。気になることの最終確認とこの身体で出来ることを試すだけだ。もし出来たのであればユアンにも訓練してもらうつもりだから覚悟しておけよ?)


 暗に仕返しは訓練が厳しくなることを示唆する。

 機微に疎いユアンが気が付いているのかどうかは確認せず、マオはチラリとビュールの授業に目を向ける。

 因みに、ルークとクインはマオが教えた精霊の訓練をするため、ビュールから見えない位置の日向で横になっているようだ。


「では初めに二時間目の座学で習ったように魔法に大切な想像の訓練をしましょう」


 そう言って彼女は『火球』の魔法を指先に作る。


「魔法を覚える一番の近道は誰かの使っている魔法を見て覚えることよ。先生が使った指先の魔法をじっと見て想像を刷り込むのよ」


 ビュールの指先には赤い球体が浮かんでいる。

 それは本当に一般的な『火球』に見える。


「はぁ~・・・やはりな・・・」


 しかしマオはそれが気に入らなかったのか、ため息を付きすぐに視線を外す。


『やはりなってなにさ?』

「お前は気にしなくていい」

『気になるじゃん』


 ユアンのそんな言葉にまた今度といい、その場を離れるのだった。



 マオは他の生徒から距離をとり、そしてビュールやルーク、クインからも死角の場所に陣取る。

 そこは中庭にある池の近くであった。


『いったい何するのさ』

「まぁ見ていろ」


 そういいマオがしたのは魔法の発動だ。

 ただ、普通とは違う。

 右手に浮かび上がった魔法陣は緑色―風の魔法だ。

 左手に浮かび上がるのは赤い魔法陣―火の魔法。

 その両方とも魔法陣のまま固定されている。


「『昇華する劫火』」


 ゆっくりと両手を近づけ、二色の魔法陣が組み合わさったその時。

 赤と緑の魔法陣が互いに干渉しあい、そして紋様が変わっていく。

 カチリと音を立て変化した魔法陣はうねりを上げ、一つの魔法陣へと昇華する。

 光を発し、収束したそれは魔法となって現実に具現化された。


『うぇ!?』

「成功だ」


 目の前で轟々と燃え上がるそれはまさに大惨事。

 赤いというよりも紅い。

 燃えるというよりも溶かすが正しいだろう。

 中庭の池すらもその業火の前にはなんの障害にもならず、蒸発した水は水蒸気となって天高く上っていく。


「な、何してるの!?」


 何事かとビュールが様子を見に来た時には池の水は蒸発しきってしまい、燃える物がないにも拘らず、池の底で轟々と音を立てる炎であった。

 さながら燃え盛る地獄の釜のようだ。


「な、何したの・・・?」


 この光景を見たビュールは先ほどの詰問のように勢いがなく、本当に目の前の現象を理解できないようであった。


「いえ、ただ新たな魔法の試作を・・・」

「あ、新たな魔法・・・?」


 ビュールが驚くのも無理はない。

 魔法は想像に大きく依存する。

 つまり、例外はあるが想像さえできればどんな魔法を使うことも出来るのだ。

 しかしながら現在、新たな事象の魔法は確認されていない。

 なぜなら、人が想像出来得る事象はほとんどが魔法にされているためだ。

 常識という固定概念に囚われた意識を非常識に飛ばす事ができるのは一握りの人である。

 誰が天災を魔法で再現しようと思うのか。

 誰が禍事を望むのか。


「・・・」

「後片付けはしておきますので心配しないでください」


 開いた口が塞がらないのか、彼女が反応したのはそれから少し後のことであった。

 もちろん、マオが怒られたのは言うまでもないだろう。

 


今日の話はなかなか難産であった・・・


ちょっち疲れた


さてさて、昨日はなぜだか自分でも分からないけれど

書きたいけど戸惑っている人にメッセージをしたわけです。


今日は読者様にメッセージを。

これはあくまで私の意見だと思ってお聞きくださいませ。


感想、書いたほうがいいよ!!


どんな酷評だって作者は嬉しいのです。

だって読者様と直接話し合える機会なんですもの。


確かに感想って難しいよ。

私も書いたことないですし。

でも物語を書く側からすれば感想があれば頑張れるし、嬉しいし、更にいえば読者様と一緒に作品を作れるわけですから。


作品にあなたの意見が採用されるかもよ?


一緒に作品を作りましょう!!


ではでは


・・・だから私は何がしたいんだ

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