幕間 ユアンの居ない日常
シーナの幕間攻撃~(*゜ー゜)=○)゜O゜)ヘブッ
シーナちゃん(ニオイフェチ疑惑浮上)
私の朝は相も変わらず早いのです。
窓から朝日が差し込むその光で目が覚めます。
窓を大きく開け新鮮な空気を部屋に取り込み、寝たいという欲求を振り払うために大きく深呼吸。
「う~ん・・・よし!!」
うん、今日もいい天気になりそう。
そんなことを思いながら部屋を出て居間に向かい、朝食の準備。
昔はパンとミルクとサラダぐらいしか出来なかったけれど、ここ数年の努力の結果、火と包丁を扱えるようになったのです。
えっへん。
彼のお母様に毎日教わりに行った甲斐があります。
もちろん彼に会う口実なのですけれど。
「それにしても今日は遅いなぁ」
最近のお父さんは朝が苦手だというのに頑張って起きています。
起こさなくなってから数ヶ月はたったでしょうか?
けれど今日は起きてきません。
何時もなら朝食の匂いに誘われて起きてくるのですが・・・。
スープが出来たようなので蓋をして火を止め、お父さんを起こしに行くといたしましょう。
お父さんの部屋は私の部屋の右斜め向かいだったのですが、今は物置になっていた部屋を整理してそこで寝ています。
何でも、思春期の私に配慮してくれたそうです。
お父さんに感謝。
「お父さん、朝だよ?」
ノックも忘れず部屋の前で呼びます。
・・・起きてきません。
直接起こすしかないようです。
「入るね」
一言断りをいれ、中に入るとお酒の臭いがします。
「もう、起きられないほど飲んじゃいけないって言ったのに」
おそらく、アレンさんと飲んだのでしょう。
彼のお父様であるアレンさんは以外にもお酒に強く、よくお父さんを担いで連れて来てくれます。
彼が村を出たことでアレンさんも寂しいのでしょう。
付き合うのもいいけれどほどほどにして欲しいのです。
「お父さん、朝だよ。起きて」
「ふがっ・・・」
何が「ふがっ」ですか。
久しぶりにあれをやるしかないようです。
昔なら大瓶から水を運んでいましたが、今はこれがあるのですよ。
「水の精霊さん、お願い」
魔法の光が掌に集まり、大きな水の塊を宙に出現させ、それをゆっくりお父さんの頭の上に移動させました。
後は魔法を解除するだけです。
「おきなさーい!!」
バシャーーーー
「あっぷ・・・お、溺れる・・・」
大量の水が部屋を濡らした後、ようやく現状を理解したお父さんがこちらを見ます。
「シーナ・・・お前容赦がなくなってきたな・・・」
知りません、起きないお父さんが悪いのです。
おはようと挨拶をし合い、先に居間に戻ることにしました。
二人で朝食をとる光景は昔と変わらず、落ち着く時間です。
するとお父さんはやはり聞いてくるのです。
「今日もセラさんのところか?」
セラさん、彼のお母様。
とっても美人で優しくて、ご飯がおいしくて、魔法にも長けた超人みたいな人です。
とても一児の母には見えません。
「うん、色々教わりに行って来るね」
「確かに飯もうまくなってきてるしな」
料理のほとんどはセラさんに教わったものばかり。
いつか自分の味を見つけ出して、彼に食べさせるのが料理に関して、当面の目標です。
おいしいって言ってくれたらと思うと・・・にゃふー。
「何ニマニマしてるんだ・・・」
「はっ!?」
お父さんの言葉で現実に戻ってきました。
せっかく結婚するところまで見ていたのに・・・。
食事といつもの報告会も終え、お父さんは仕事に行く用意を終わらせました。
洗濯は帰ってきたら乾いているでしょう。
「行ってくる、気をつけてな」
「行ってきます、お父さんもね」
お父さんとは別の方向に足を向けるのでした。
◇
相も変わらず中央通はにぎやかです。
昔は俯き通っていた道も今は前を見て歩けます。
目線が会うと挨拶をしてくれるご婦人方、蜂蜜をお裾分けしてくれるおばあさん。
皆、優しい人ばかりでそれを見ていなかった過去の自分が恥ずかしくなるほどです。
小高い丘の横道を進むと彼のお家が見えてきます。
家の外には洗濯物を干しているセラさんが見えました。
「セラさ~ん」
「あら、いらっしゃい」
セラさんの笑顔は彼によく似ています。
包むような優しい笑みに心が温かくなるのを感じながらいつものように部屋に入らせてもらいました。
「午前中はユアンの部屋でお勉強よね?」
いつも同じ事をしているので覚えてしまったのでしょう。
「はい、午後からお料理指導お願いします!!」
「いいわよ。じゃあ後でね?」
「はい!!」
私は彼の部屋に向かい、中に入ります。
良い匂い・・・はっ!?
こんな事をしている場合じゃありません。
彼に追いつくためにもすぐさま魔法の勉強をしなくては。
この家の書庫にある本をこの部屋に持ってきて勉強します。
彼が使っていたらしい用紙と筆を借り、集中すること一刻。
「ふぅ~。少し疲れました・・・」
一人だと勉強はしんどいのです。
二人だとあんなにもすぐに過ぎ去った時間は彼がいなくなっただけでこんなにも遅い。
そんな考えが過り、目端にある物を捕らえてしまったのです。
あぁ、あれはダメです。
危険なのです。
毎回そう思うのですが、勉強で疲れた身体はそれにゆっくりと近づき、そして倒れこんでしまいました。
「良い匂い~♪」
彼の匂いが一層詰まったそれは私にとって禁忌の果実です。
「にゃふー、ごろごろ♪」
寝台から香るこの香りに私は抗えないのです。
あぁ、何とも至福の時間。
疲れていたのでしょう。
私は彼の匂いがする寝台に意識を沈ませるのでした。
―ユアン、こんな事をする私を許してね?
四話目ですよ
いい感じに区切れたのでシーナの幕間入れてみました。
シーナがユアンの居ない間何をしているのかってことですね。
ヒロイン感が足りないなぁとか
省きすぎたかとか思ってたので
こういう形で入れられたのはいいのではないでしょうか
(シーナファン増えろ!!)
実の所、シーナちゃんは不憫系ヒロインです。
ネタばれはしたくないので詳細はいいませんが
不憫です
悲しいのです
後ですね、嬉しいことに評価1件いただきました
わーい!!
うれしいのです!!
こういう一つ一つに感謝し、こういうことがあるからこそ続けられるのです
(書くのが楽しい!!)
仕事が無ければ一日中書くのに・・・
では皆さん
次の更新でお会いしましょう
ではでは




