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医務室から寮 

予定は予定d(ry






 マオは少年―ルークが目を覚ましたのと同時に、中でユアンが起きたことを感じ取った。


『ふぁああ・・・・・・。あ、おはようマオ』

(ああ)


 まだ眠気が残る様子で挨拶をしてくるユアンに返事をしながら目の前の少年にどう対応しようか悩む。

 

「おい、プルプル野郎」

(プルプルって何だ・・・)

『知らない・・・』


 ルークはマオの方を見て言っているので自分のことなのだろうと考えるが、そんな呼び方をされる謂れは無い。

 ユアンも知らないため、マオが表に出ていない時の状況で言われたものではないと推察できる。

 結果、意味の分からない、相手の言い掛かりという結論に至った。


(もう、面倒だ・・・。代われユアン)

『え、ちょっと!!待って』


 相手をするのが面倒になったマオは、ユアンの制止を無視し、中へと引っ込む。

 寝ている間にどんな会話がされていたのか知らないユアンはルークとクインを前に冷や汗をかく。


「お前、どうやったんだよ」

「どうやった・・・?」



 気絶した後の記憶が無いユアンは死に掛けたことを思い出し、マオが何とかしてくれたのかと考える。

 そのどうやったかはマオから聞いていない。

 答えようの無い疑問にどうしようかと考えていると救世主は近くにいた。


「実はね―」


 クインが話してくれるらしく、それをいかにも知っていますよという風に聞くユアンは完璧な三文役者である。

 説明は先ほどマオがした内容と一緒であった。

 それを聞いたルークは憤慨する。


「反則じゃねぇか!!」

「落ち着きなさい、ルーク」


 クインがルークを嗜める。


「だけどよ!!」

「いつものルークなら気づいているはずよ。負けて悔しいし、焦ってるっていうのも分かってる。でもねいつもならそこで思考を停止させないはずよ」


 ルークは下唇を噛み、顔を伏せる。


(ねぇマオ、寝ても良いかな)

『俺に聞くな』


 完全に蚊帳の外の二人はその状況を眺めるしかない。

 少しの間、伏せていたがルークは顔を上げ、ユアンに向き合う。


「悪かった」

「えっ?」


 突然話しかけられ反応できなかったユアンは間抜けな表情を晒す。


「念話もその友達という人脈もお前が得たものだった。言いがかりをつけて悪かった」


 寝台の上で頭を下げられ困惑する。


(念話なんてした事ないし、人脈って言ってもマオは元々いるし)


 などと思ったところでそれを言えるはずも無く、ただ謝罪を受け入れるしかないユアンであった。



 刺々しい雰囲気は霧散し、医務室には和やかな空気が流れている。

 ・・・はずも無く。


「あの時、こう払ってれば当たったか?」

「いや、その時はしゃがんで避けて、顎を狙ったかも」

「懐に入られねぇようにしなきゃいけねぇな」


 反省会ならぬ戦闘談義が開催されていた。

 クインはとっくに目を覚ましたことを教師に伝えに行っており、この場にいない。

 それ故に止めるものが居らず、マオも早々に自分の思考に入っている。


「じゃあよ、槍を投げるってのは?」

「相手の意表は突けるかもしれないけれど・・・体術できるの?」

「多少は・・・」


 マオに教えてもらったことを自分で考え、相手に聞かせる。

 その内容に相手が反論し、訂正を加える。

 何度かそれを繰り返した後、ガラガラと扉が開きクインが戻ってきた。


「おかえり」

「お~」

「ただいま、先生呼んできたよ」


 そう言ってクインの後ろから入ってきたのは一人の老人だった。

 身長はユアンより低く、長い髭は床に着きそうになっており、瞼が開いているのか怪しい。


「お前さんらが今年の問題児じゃの?」


 いきなり問題児扱いだ。

 まぁ、二人のやったことを考えればそういわれても仕方ない。

 二人は知らないが訓練場は悲惨な状況になっていた。

 床は捲れ上がり、壁は切り刻まれ、天井は穴が開いている。

 なんと言えば良いのか・・・二人の功績(?)だ。


「わしゃぁ、ダンケル・アダムンじゃ。大体、魔法論基礎、魔方陣解読基礎、調合基礎などを教えちょる。お主らも教えることになるじゃろうからよろしくのぉ」


 他にも座学はあるのだが、新入生と一番関わりが深いのがこの教師だ。

 

「まぁ、わしは担任ではないがの」


 担任は若い教師に任せ、自分の教えたいことだけ教えるのだと言う。

 長いこと、この学園に勤めている特権らしい。


「もう殆どの学生は寮か家に帰っちょる。お前さんらは寮じゃろう?」

「ええそのつもりです」


 クインが代表して答えた。

 ユアンとルークも依存は無いので頷いて置く。


「なら大体の説明は寮母さんに聞いたらええ。寮母さんはお前さんらの担任だったはずじゃからのぉ」


 どうやら担任は教師と寮母を両立しているようだ。

 もう閉めるからさっさと校内から出ろといわれたユアン達は傷が開かぬよう足早に寮に向かうのだった。




 校舎を出た頃には辺りはすっかり暗くなり、魔法石の街頭が道を照らしていた。

 寮は学園の敷地内にある。

 校舎と隣接して建てられたそれは中々に大きく、小さな明かりがぽつぽつと見える。

 三人は一緒に寮に入り、中の暖かさにほっと息をつく。


「あら、お帰りなさい」


 そういって目の前に現れたのは、訓練場で号令をかけていた若い女性職員だった。

 柔らかい笑みを浮かべ、暖かく迎え入れる様はユアンにセラを思い出させる。


「えっと、クインちゃんにルーク君、ユアン君ね。クインちゃんは右の階段を上って三つ目のお部屋よ。男の子諸君は左の階段を三階まで上がって二つ目のお部屋。ルーク君とユアン君は同じ部屋よ」


 右は所謂、女子寮で左が男子寮らしい。

 行き来は寮母の許可があれば良いとの事だった。


「取りあえず、部屋の確認が済んだらここに戻ってきてね。三人とも教室で話した内容と寮での禁則事項を伝えるから」

「「「はい」」」

 

 返事をし、三人とも部屋へと向かうのだった。


おかげさまで総合ユニークアクセスが1000人を突破いたしました。

1000人ぐらいと思っている方も居られるでしょうが、私にとっては本当に嬉しい事で皆様には感謝の言葉しか思い浮かびません。

ありがとうございます。


再開してからおおよそ3,4ヶ月でしょうか?

書いている事自体、私は楽しくて仕方ないのですが、皆様もこの作品を楽しんでいただけているでしょうか?

この作品で皆様の心に喜怒哀楽のどれかを少しでも与えることが出来ればこれを幸いに思います。


相も変わらず不定期ですがこれからもどうかよろしくお願いいたします。


さて皆さん、予定は予定d(もういい


シーナちゃん成分たらねぇだろ(ブン

という風に幕間書きたかったのですが区切りのいいとこまでこのまま行く事にしました

数話後にシーナちゃんの幕間挟みます


ごめんなさい


これからもどうぞよろしくお願いいたします!!!!


ではでは

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