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決意を固めコロギの町へ

今日ラストだ

これ合わせて四話更新してるのでお間違いの無きようお願いします





 ユアンは陰鬱な気持ちのままコロギへとあと一日のところまで迫っていた。

 止められる事は無かったけれど両親を残したまま出てきてしまった。

 ギーゴの話を聞き、不安が一気に膨れ上がるのを自覚している。

 マオは『自分で考えるべきだ』、そういったまま話さない。

 今戻ればあの平穏で心安うらやすさに満ち溢れたあの場所で、生涯を終えることもありなのではと。

 マオには申し訳ないが、もともと彼の夢でユアンの夢ではなかったではないか。

 ――構わないだろう。

 そう心のどこかで囁く自分が居ることに恐怖を覚え、マオの名前を呼ぶ。


「マオ・・・、どうすればいい?僕は・・・」



 隣で沈むユアンにチラリと視線を向けるギーゴは数日前のことを少しばかり後悔していた。


(希望に満ちた若人にあんな話聞かせるべきではなかったよなぁ。酒、しばらく押さえるか)


 あと一日野営をし、数刻進めばコロギに着く。

 立ち直ることを期待し、そしてため息吐く。


(自分の不始末は自分でってな。おっさんの話を聞いてくれるかな?)


 数日前も全部聞いてくれたことを思い出し、その心配はないかと考え、馬車を進ませる。

 太陽は今日も明るく進む道を照らしている。





 その夜、ユアンは陰鬱な感情が込められたため息を何回も吐いていた。

 心ここにあらずといった様子なため、ほとんどの準備をギーゴにさせてしまい、またため息を吐く。

 負の連鎖を断ち切るためにギーゴはユアンに座るよう促す。


「坊ちゃん・・・、いやユアン君。君は何を悩んでいるのだろうか?」

「それは・・・」


 ユアンは少し逡巡し、言葉に詰まりながら本心を話す。

 ギーゴの話を聞いてから自分がどうしたいのか、流されただけではないのか、など。

 結局決意が揺らぎ不安になっているだけだとギーゴは確信を持った。

 子供の決意とはそんな物でそれを導くのが大人の役目だと考えたギーゴはユアンにもう一つの話をすることに決める。

 マオが話をしないこともユアンにとっては不安を煽ることとなっているのだが、ギーゴはそのことを知らない。


「ユアン君、君は両親を置いていったことに後悔しているのかい?ならそれは間違いだ。いつか子供は親元を離れなければならないし、もし私の話を聞いて親が死んでしまうことを考えたのなら親はいつか自分より早く死んでしまう。当然の結末だ」

「・・・」


それでも顔を俯かせるユアンにギーゴがまた過去話をする。


「・・・実はあの話には続きがあってね。あの後、私はケルト村に行ったよ。妻と娘と一緒にね。死体は無残にも食い散らかされて原型をとどめては居なかった。だけど私は見つけたんだ。両親が私に向けた手紙の束を。一枚一枚丁寧に書かれていてね。商人がもし来たら渡そうとしていたのだと思う。手紙には成功を祈ると書いてあったよ」


 手紙の中身はきっと愛情に溢れていたのだろう。

 それはユアンにも分かることだった。


「贖罪だといったけれど、そういうこともあって出来得る限り村を出た人の親の手紙を届けるようにしているんだよ。それが村に通う理由さ。あ~・・・つまりあれだ親はいつでも子供の幸せを願ってるって事ですわ。自分も子供が生まれて実感がわきましたしね」


 両親は自分を応援してくれていた。

 心配もしていたけれどやっぱりユアンの思うようにと、夢を追うようにと。

 ユアンがそれに気づくまでずいぶんと時間がかかった。


「僕の夢は七つの異観を見ること。切っ掛けは彼だったかもしれないけれど決めたのは僕で、僕の夢だ。それに今戻れば僕はシーナや村の皆に笑われる。それは道化師じゃないか」

「親は子を思うものだ。死してなお、それは続くんだよ」


 ギーゴは優しげな表情でユアンの横顔を眺める。

 もう大丈夫だろうと。


 不安に思う気持ちはユアンの心の内から消えないけれど、それでもやはり自分の成功が両親を喜ばせられるのなら、それはきっといい便りになるだろうと信じて前に進むことに決心する。

 それをマオは『中』で見ていたのだった。



 夜も更け、ギーゴが寝静まった頃。

 森の中にユアンの姿があった。

 いや、その姿は黒髪に紅眼のマオである。


「決めたか」

『うん』

「俺はどちらでも構わなかった。もともと死んだ命だ。余生は夢をと思い、お前に押し付けてしまったな」

『でももう少しで契約を破るとこだった。せっかく君が友達になってくれたのに、それも無くすとこだったよ』


マオはユアンの身体で微笑をこぼす。


「きっと俺はお前に影響を受けだしているのだろう。昔なら契約違反には粛清を・・・と思っていたが今では別に構わぬと思っている」

『もともと君はそんなんだったんじゃないかな?』

「さぁな、明日は新たな町だ。早く寝ろ。俺はもう少し夜風に当たりたい」

『うん、お休み』


そういいユアンの気配が沈んでいく。


 夜虫と風が奏でる自然の音楽に耳を傾けながら夜空を見上げる。

 一面に広がる星星は零れ落ちそうなほど散りばめられ、大きく中央に光り輝く月はやはり地を照らすのであった。


つ、つかれたぁ

でも楽しい

たまにこういうの挟んでもいいかもね

会話文がちょっと気に入らないから修正はいつかやるよ・・・たぶん

こういってるやつほどやらないタイプだ


ではでは


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