新入り1
20XX年11月1日 東京 深夜0時
川原に4つの影。
「今日で間違いないな?」
「そのはずよ。0時から2時の間。」
……「来たな。ここから北に約540m。」
「「「了解。」」」
「うっ…俺、…どうしたんだっけ。」
……ザアァァァァァァ
その時男の目に写ったのは黒い化物だった。
化物が鎌を振り上げた瞬間男の意識は途絶えた。
「おい。気絶してるな。…お前みたいだな。」
「うるせぇよ!!いい加減忘れろ!!」
「忘れないわよねぇ。来た瞬間気絶したのあんたが初めてだったもの。」
「ということでこいつの担当お前な。」
「なっ!?冗談だろ!!」
「いいじゃない、似たもの同士。」
「そういうことだ。んじゃ、帰るか。」
「ほら、さっさと運びなさい。」
「くっそう。」
「うぅん…ここどこ?」
周りを見ても特に何もない。この部屋にあるのは男が寝ているベッドだけ。ドアは開いてる。
「起きたか。」
「ッ!?」
そこには青髪長髪の男が座っていた。
「とりあえず座れ。…そんなに構えるな。危害を加えるつもりはない。」
その男の言う通りに座る。
「意外に素直だな。まぁ聞きたいことはあるだろうが説明してやるから心配するな。それより、腹減ったろ?祈。」
男がそういうとキッチンから女の子が出てきた。
その子が運んできたのはトーストにコーヒー、そしてサラダ。ちゃんとした朝ごはん。
それらをテーブルに並べるとすぐにキッチンに引っ込んでしまった。
「すまないな。あいつ極度の人見知りなんだ。」
食事をしてる間に自己紹介をした。
青髪長髪の男が風麻刹那。
人見知りという女の子、ピンクの髪でフワフワとした印象を与えるのは七種祈。
「で、お前は?」
「皇燈真。」
「んじゃ燈真、これからよろしくな。」
ーーガチャ、どたどたどたどた…
「たっだいまー。いやーごめんごめん。急にプリン食べたくなっちゃって。」
「煌…てめぇ燈真ほっといて何やってたんだ?」
「え!?いやだから…プリン買いに行ってました。って燈真って誰??」
「はぁ…。燈真はこいつ。」
「ああ!!新入り君ね。どーもどーも、海塚煌、ただいま17歳。よろしくー!!」
「刹兄、時間。」
「ああ、もう11時か。そろそろ行くか。」
「スルーしないで!!」
「煌、今日は燈真の部屋の家具類と服揃えて来い。燈真悪いな。説明は煌…いや夜話す。」
「だからスルーしないで!!って、なんで途中まで言ってやめんの!?」
「お前に任せると不安だから。」
「おぉい!!??」
「燈真、今日は煌と買い物行って来い。生活に必要なものちゃんと揃えてこいよ。」
「はい…。」
「祈行くぞ。」
ーーパタン。
「…買い物行こっか。」
「はい…。」
ーー夜。
「さあ、歓迎会はじめるぞー!!」
ゴッ!刹那のげんこつが煌の頭上に降った。
「でっ!!ぁあ〜…。」
「煌はほっといて説明始めるか。」
「そうね。でもその前に…初めまして、皇燈真君。私は波風紫苑。よろしくね。」
「波風黒陽。…。」
「ごめんね。うちの兄あんまり喋らないの。」
「いや、別に…。」
「メンバーはこんなところだ。訓練が終わったらお前にも働いてもらうからな。」
「訓練?」
「ああ。そのことも含めての説明だ。」
それから燈真は、刹那から現実とは思えない真実を聞いた。
刹那達は1度死んだ。そして、『Limite』という店を通して現世に来た。また、死ぬ前に関わった人達は覚えていない。つまり、存在自体が無かった事とされる。
Limiteから現世に来たものにはそれぞれ悪魔の力が備わっている。悪魔にも名前があるらしい。
そして燈真が最初に見た黒い化物、ファントムは深夜0時から2時の間に出現すること。ファントムに捕まればその先は死。
「とりあえずはこんなところか。他に何か聞きたいことはあるか?」
「…信じられません。だって、俺はLimiteなんて行った覚えがないし…。」
「珍しいな。お前記憶がないのか。」
「…はい。」
「燈真、先に俺達の能力を話しておく。」
刹那はそういうと、メンバー全員の能力について話始めた。
紫苑は結界を張ることが出来る。この家にも結界を張っていてファントムが入って来られない。
黒陽は言霊を操る。
祈は治癒。
煌は電気を生み出し操る。
刹那は記憶及び思考を読む。
能力は体力、精神力を使うことから多用は禁物だ。特に、紫苑、祈、刹那は精神力を多く必要とする事から非常に疲れやすい。
「今話した通り、俺は記憶を読むことができる。お前の記憶も呼び覚ますことが出来るだろう。
…俺は今までのことは忘れて新しい人生を生きるのもいいと思う。1度死んでいるといっても、今の俺達は他の人間と大して変わらない。普通に生きていける。それに、ここにいる奴は何かしら辛い思いをしてきてる。多分お前もな。…それでもお前は思い出したいか?」
「…確かに辛いことがあったかもしれない。思い出さなくても普通に生きていけると思う。…それでも俺は思い出したい。自分の事なのに、思い出す手立てがあるのに…そのまま忘れて生きていくことなんて俺はしたくない。」
「そうか。能力を使う際俺もお前の過去を知ることになるだろう。それでもいいか?」
「…はい。」
刹那が燈真の頭に左手を乗せる。
「覚悟はいいか?」
「…はい。」
「記乃、こいつの過去を呼び起こせ。」
刹那の左手に青白い光が集まる。
徐々に刹那と燈真に記憶が流れ込む。
「…っ!!」
「刹兄!!」「刹那!!」
刹那が床に倒れ込む。燈真は微動だにしない。
「刹兄大丈夫?」
「ああ。…失敗したな。」
「読めなかったって事?」
「いや…燈真の過去を見ることも思い出させる事も出来た。」
「じゃあ、何が失敗なのよ。」
「思い出させなかった方が良かったって事だよ。力が暴走しなきゃいいがな。」
……「…燐。ッ!!」
「黒陽!!」
「眠れ」
「…。」
バタッ…。
「煌、燈真を地下室の鎖につないどけ。紫苑は地下室に強力な結界を張っといてくれ。」
「鎖って…そこまでやる必要」
「あるんだよ。コイツの能力わかっただろ。炎を生み出し操る力。暴走は危険すぎる…。下手したら俺達が殺られるぞ。」
「…わかったわ。煌、運んで。」
「わかった。」
「刹那お前はもう休め。」
「…ああ。黒陽、燈真を見張っててくれ。目を覚ましたら俺を呼べ。」
「わかった。」
「刹兄…?」
「大丈夫だ。心配するな。」
刹那はベッドに倒れ込んだ。
力を使ったからかすぐに眠りについた。
年齢順に並べてみると
祈=紫苑=燈真<煌<黒陽
という感じです。ちなみに16〜18歳。
刹那は少し年上で22歳と考えています。
容姿は、
燈真:赤髪、深紅の瞳。
全体的に赤っぽい感じです。
紫苑:黒髪長髪、紫の瞳。つり目だとおもいます…。
黒陽:黒髪、漆黒の瞳。
全体的に黒です。
そして、主人公が定まっておりません。
ご了承下さい。