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【第9話】カルブリヌス×ゲイボルグ

世界でただ一人、氷の魔法『グラキエス』を召喚できるディタールルとの出逢い。

三人目の『ウルクの七賢人』ゲイボルグとの再会。

それぞれの思惑を抱きながらも、彼らは行動を共にすることになったようです。

ゲイボルグのおどおどとした性格は、伝説にまでなった彼とはかけ離れていますが、その理由が今明らかに!

『ウルクの七賢人』同士の対話である第9話、どうぞお楽しみください!


「しかし驚いたわね…。『グラキエス』にアクセスできる人間が現れるなんて。しかも彼、戦闘中でもないのに簡単にアクセスできるみたいね。ゲイボルグ、あなた、自分の保有者のこと知っているんでしょ?彼は何者なの?」

「じ…自分は、槍ですから、よくわからないです…」

「…ゲイボルグ、今は私達だけなんだから、本性出していいわよ。そっちの性格じゃ、話が進まないわ」

 カルブリヌスがそう促すと、ゲイボルグの形状が変化し始めた。

「……。あぁ、やっと普通に話ができるぜ。よぉ、カルブリヌス。久しぶりだな。最後に会って何百年だ?まぁ、そんなことはどうでもいいか。まったくよ、オレとしたことがドジ踏んじまったのさ。あのなんとかっていう研究所の連中に発見されちまってな。しばらくおとなしくしなきゃならない羽目になっちまったんだ」

「あら、あなたらしくないじゃない?ふふ、戦場の狂気の象徴みたいなあなたが、研究所なんてね」

「まったくだぜ。ちょうど母様からのアクセスがあった直後で、油断してたんだな。まぁ、どうせしばらくオレを扱える戦士なんて現れるとは思ってなかったからな。好きなように研究させておいて、オレはまた眠りについたわけだ。そこに、奴が現れた」

「ディタールル・カミュス、ね。彼は研究員だったんでしょ?なぜ彼を?」

「いや違う。オレが奴を選んだんじゃない。奴がオレに気づいたんだ」

「なんですって?私達『ウルクの七賢人』から人間の心にアクセスしない限り、私達の声は届かないはず。まったく、異例ずくめね、彼は」

「そう、そして奴は言ったんだ。ここから出してやる代わりにオレに力を貸せ、とな。まったく、呆れたぜ。それからすぐにディタの奴はオレを研究所から持ち出して逃走しやがった。解雇されたってのも嘘だぜ。だが、逃げ出す前に、なぜかそこの所長があの書状をディタの奴に渡していた。それが何を意味するのかはわからんがな」

「それであの追っ手はあの書状を見て、簡単に納得して帰ったのね。それにしても、盗っ人にお墨付きを与えて逃がすなんて、あなたの研究体としての価値を察するわ」

「おいカルブリヌス、そりゃ嫌味か?だが研究といっても、オレを調べたところで、オレ達のことなんてわかりゃしない。案の定、そこの研究員達は、なんの成果も上げちゃいない。もしかしたらオレの処分に困って、ディタの奴に押し付けたのかもな。しかしな、奴だけは薄々感づいてやがる。だからオレを槍として使わずに、アンテナとして使いやがるんだ」

「ふふ、ゲイボルグ、あなたがそんな扱いをされているなんてね。誰よりも戦う為だけに存在するようなあなたが…ね。みんなが聞いたらなんて言うかしら」

「今日はいつもに増して嫌味だな、カルブリヌス。そんなことより、オレが一番驚いたのは、オレの狂気を浴びても、ディタの奴はまったく平気だということだ。何度かモンスターに遭遇した時、暴れてやろうと思ったんだがな。…今まで、どんな屈強な戦士であろうと、オレの狂気に耐えられる奴はいなかった。それゆえに、今までのオレの保有者達は、例外なくバーサーカーになっていった」

「そうね。だからわざわざおかしな人格まで作り出して、狂気をセーブしているのよね。戦闘の時にだけ、本性を出して、できるだけ保有者への負担を少なくする為にね。大きな戦闘力の代償は、決して安いものではないというわけね。でも、なぜ彼は平気なのかしら。あなたを槍として使わないから?」

「確かに、直接血に触れない分、狂気は抑えられてはいるが、オレは奴の性格のせいだと考えている」

「性格?」

「そうだ。奴は、…いや、奴も狂ってやがるんだ。オレと同じようにな」

「なるほどね。毒をもって毒を制す、というわけね。でも、そうは見えなかったわ。多少話が長いのは気になったけれど」

「正確には、『執着』という名の狂気だ。奴の『氷』に対する執着は、異常だ。どうやら、奴の母親となんらかの関係があるみたいだが、詳しくはわからん。お前達に同行する理由も、お前やアイギスが近くにいることで、魔力が増幅されることに気づいているからだ。目的の為には手段を選ばん、そういう奴さ。だが、その才能も普通じゃないことは確かだ」

「なんにしても、味方で良かったわ。ゲイボルグ、用途は違えど、彼に必要とされているのだから、しっかり役目を果たすのよ。恐らく、これが私達の最後の戦いになるだろうから」

「あぁ、わかっている。『ウルクの七賢人』がこの地上で集結するなんてのも、最初で最後だろう。その時が来れば、オレも思いっきり暴れてやるさ。まったく、最後の相棒が戦士なんかじゃなく、研究員なんてな。笑えるぜ」

「いいじゃない、おもしろくて。私の保有者ラバンも普通の人間なのよ。そういう戦いなのよ、今回のはね」

「ふっ、王者の象徴のお前が…な。まぁでも、お前のことだ。選んだからにはそれなりの理由があるんだろう?」

「彼…ラバンは、何か大きな宿命を背負わされている気がするの。もちろん、私にもよくわからないし、本人も気づいてはいないけど。そしてそれは、私達『ウルクの七賢人』の運命とも関わりがあるように思えるの。その道を歩きやすくしてあげることが、私の役目。彼の行く手を阻むものは、私が斬るわ」

「相当の入れ込みようだな、カルブリヌス。オレ達の運命ときたか。そいつは楽しみだ。アイギスの保有者もなかなかおもしろそうだしな。今までにない旅になりそうだぜ」

「キャスね。あの子も大きな『血の宿命』を背負っているわ。…人間は誰しも、『血の宿命』を持っているのよ。普通はそれに気づかずに生き、そして死んでゆく。私達はただ、導いてゆくだけ。そう、いつだって人間の運命を決めるのは、人間なのよ」

「…そう寂しそうに言うな。お前の気持ちもわからないでもない。だが、オレ達にもオレ達の『星の宿命』がある。そいつは覚悟の上のはずだぜ」

「わかっているわ。それよりゲイボルグ、あなた戦闘時以外はあの性格で通すつもりなの?」

「もちろんだ。というより、そういう癖がついちまったんだ。本当なら、ディタの奴が平気だからこのままでいいんだが、何百年もやっていたせいで、もう一つの性格もオレの人格の一つとして確立されたみたいでな。今更切り離すことはできん」

「…ややこしいわね。まあいいわ。どうせあの性格の時には相手にしないから」

「相変わらず厳しいな。ともかく、また戦闘が始まったらオレが出る。それまで、うまくやってくれ」

 ゲイボルグはそう言うと、また元の形状に戻っていった。

「じ、自分、槍でしょうか…?」

「…やっぱりめんどくさいわね」

 カルブリヌスはため息混じりに、そうつぶやいた。

 



(シンクロニシティは歌う…彼らの歩みを)


My STRIDES



朝もやの中、走り出して 

くぐり抜けて、睨み合って

お互いの道は違えども 

またどこかで落ち合いましょう


今は競い合い、抜きつ抜かれつ 

本当はそんなんじゃ無かったのに

この現状如何にして楽しむかを

望む私がいる


その訳をこと細やかに聞いて

その賽は、既に投げられ宙を舞っている

約束はしないはずなのに、指きり 

再会は…


高まるパッション、抑えよう 

納得のいかない、サティスファクション

越えてゆけ! My STRIDES 

前を向いて歩き出す


邪魔なものは全て切り捨て、

目の前に立ちはだかるものを全て

押し退けて、はね除けて、突き進もう 

そこまで必死な私の…


再会はまだしないようにと引いて

試される 私の心その進む先

当然、何度も何度も振り向いて

その度に、今を噛締め歩いていく


歩いてゆく…




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