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【第1話】邂逅

一人山奥で暮らすラバンが見つけた一振りの剣。

この剣を岩から引き抜くことで、ラバンの人生が大きく変わります。

冒険の序章、第1話をどうぞお楽しみください!

「神様はいるのか、ですって?」

 ラバンの問いに、彼女は少々戸惑い気味に答えた。

「正直、私にもわからないわ。でも、私はここにいる。そして、これから起こることも確かな情報なのよ」


 それは十日程前のことだった。突然誰かに呼ばれたような気がしたラバンは、誘われるように自宅の裏山に足を運んだ。そして、裏山に山菜などを採りに来たとき、休憩の際に腰をおろすのにちょうど良いサイズの岩があるのだが…、その岩に見慣れないものが生えているのを発見した。剣である。刺さっている…というより、まさに生えているかのようであった。生えているものは、抜きたくなるのが人間の習性なのであろうか。それとも、なにか不思議な力が…。などと考える間もなく、ラバンは一息にその剣を抜いた。好奇心が考察を凌駕した瞬間だった。青白く、うっすら発光しているかのように見える美しい刀身。細やかでどこか神秘的な装飾の施された柄。その美しい剣に、まるで恋をしてしまったかのように呆然と立ち尽くしているラバンに、何者かが話しかけてきた。

「あなたなら私を抜くと思ったわ」

 ラバンはぎょっとして、辺りを見渡した。風が吹き、木々の葉がこすれる音、鳥の鳴き声。その中に混じって聞こえたかすかな女性の声。しかしラバンは、すぐにその声の主に気がついた。

「もしかして、僕に話しかけたのはあなたですか?」

「その通りよ」

 ラバンの視線の先にあるものは、自らの手に握られているその美しい剣であった。

「私の名前はカルブリヌス。こう見えて、れっきとしたレディなのよ。あなたのお名前は?」

「僕はラバン…です。ラバン・ディスコウェル。あの…、すみません、レディに先に名乗らせてしまって…」

 申し訳なさそうにうつむいているラバンに対して、彼女はくすくすと笑っているようだった。

「気にしなくていいわ。私はまず自分のことを先に知って欲しいタイプなの。なぜなら、来るとわかっている質問ほどうんざりするものはないのだから。でもあなたは少し違うようね、ラバン」

「違うかどうかはわかりませんが、僕が今一番気になっていることは…、言ってもいいでしょうか?」

「ええ、聞かせて」

「このままあなたを僕のものにしてもいいのか、ということです」

 一瞬、風も止み、鳥も鳴き声を潜め、辺りを静寂が支配したと思われた直後、カルブリヌスの笑い声によってそれは打ち破られた。

「ふふふ、気に入ったわ、ラバン。でもその答えはもうすでに出ているの。あなたが私を抜いた時にね。かつて、私をあなたと同じように岩から抜いた男も、似たようなことを言ったわ。そして私は、その男が死ぬまで同じ時を生きたの」

 彼女の答えを聞き、ラバンは思わず強くその柄を握り締めた。

「だけどラバン、私を所有するということがどういう意味を持つことなのか、それだけは知っておいて欲しいの。そしてそれは、とても大きな覚悟を背負い込むことなの。それでもあなたは、私と同じ時を生きてくれるかしら?」

「僕は、あなたが岩に刺さっているのを見た瞬間、好奇心の中に使命感が隠れているような気がしました。聞かせてください。僕は、あなたと共に生きます」

「ありがとう、ラバン。じゃあ聞いてもらうわ、私が今あなたの前に現れた理由を…」

 そして一振りの剣は、一人の人間に、日が暮れるまで語り明かしたのである。




(シンクロニシティは歌う…彼らの旅立ちを)


Are you ready?



噛み過ぎて今は味のしない

ガム吐き捨ててしまえよ

二枚目を放り込んだらいい

巻き過ぎて糸が絡んじゃって

解きようがないから

二個目を今すぐ持ってこい!


旋回、裂いて 千回迫れそう

ひるまないこと、

それが戦うということ

旋回、裂いて 千回迫れそう

止まらない、止められない 

今すぐ走り出そう


苛立ちは僕が何もできないから

起こるのであり

誰が悪い訳じゃない

旅立ちは何か新しいモノを

見つけるために

さぁ行こう、何も持たずに


望むなら、望むだけの 

強い意志を持ち合わせなくちゃ!


潜在する世界の中の細胞よ

奮えて目覚めよ、今この手の中に

旋回、裂いて 千回迫れそう

止まらない、止められない 

今すぐ走り出そう



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