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ヒーロー  作者: 山都
第四章 正体
53/97

一週間後

後半に突入。ここからシリアスにいきます。本当ですよ?嘘じゃないですから。

壮絶な長すぎる前フリに付き合ってくれた方々、ありがとうございました。

これからはもっと面白くなりますよ――って、こんなハードル上げて大丈夫なんだろうか。




 僕がエニティレイターとなったあの日から、一週間が経った。

 

 結局、「ヒーロー同好会」の新しいメンバーは、天月と内藤君の二人だった。

 遠藤が考えていたような「天月と一緒の同好会にいたい」という生徒は田上君だけだったみたいだ。

 

 部員の数が五人になり、僕達の同好会は最悪の状況を回避できた。

 活動内容では今までどおり。与えられた部屋で誰かが持ってきた特撮のビデオを観ている。

 そもそも、そういうために作った同好会だ。皆で観たい物を観て、楽しむ。

 

 内藤君はそれを気に入ってくれたらしく、ほぼ毎日通ってくれた。

 たしか、来なかった日は六日前じゃなかったっけ。それ以外はいつも来てくれている。

 あまり自分からは喋らないけど、楽しんでいるのは顔を見ていればわかる。

 感情が顔に漏れている。中学生らしい。まあ、僕もついこの間まで中学生だったから、人のことなんて言えないんだけど。


 田上君は天月を見るために同好会に来ている。元々、特撮が好きというわけじゃないし。

 たまにテレビを見たかと思うと、すぐに視線を逸らしてしまう。

 この間「久坂には悪いけど、ちょっと子供だましみたいだ」と言っていた。


 意外だったのは、遠藤がヒーロー物の番組や映画を自分から観る様になっていた事だった。多分それは、特撮映画を僕に渡してきた辺りからだったと思う。

 これまで僕がどんなに誘っても無理矢理みせても全く興味を示さなかったのに、一体どんな心境の変化なのだろうか。

 遠藤本人に聞いても「気が向いた」としか教えてくれない。

 でも、そんな理由でヒーロー物の作品を観るようになったわけじゃないと思う。

 なんとなくだけど、そう思う。

 

 それとは別で、もう一つ意外だった事がある。

 天月はヒーロー物が好きだ、ということだ。

 彼女はいつも、僕や内藤君の持ってきたDVDをじっと観ている。

 観ているということは、好きなんだと思う。天月の場合は。

 

 この一週間を同じクラスで過ごしていてわかったことなのだが、天月は興味の無いものに対してはあまり自分から関わろうとしない。

 話かけられたり頼まれたりしたら別だが、それ以外の場合は本当に関わろうとしない。

 クラスの女子に対してもそれは同じで、自分から話しかけると言う事は全くといっていいほど無かった。

 お陰で女子から嫌われつつあるらしい。

「クール、もとい無愛想で、美人。ほぼ無口だし、自分からは全然喋らない。女子からしてみれば、嫌味な女、ってしか見えないんだろうな。自分たちのことを見下してるんじゃないか、って思ってるんだろうぜ。まあ、天月はそんな奴じゃないんだろうけど」と、遠藤が言っていた。

 ただ、笹倉さんは別のようで、天月を購買に誘ったり遊びに誘ったりしているらしい。これも遠藤から聞いたことだ。


 それ以外では特に変化は無かった。

 変わったことといえば、天月と一緒にいる事で視線を浴びるくらいだ。

 学校の授業は問題なく進んでいるし、何か特別な事があったわけでもない。

 

 まあ、ともかく僕の日常はいつも通りだった。



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