表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーロー  作者: 山都
第三章 日常と非日常
38/97

部室 3

 まず第一に、僕には目の前の転校生がヒーロー物が好きそうには全く思えない。

 それはただの思い込みなんだろうけど、思えないものは思えないだからしょうがない。

 第二に、天月は本物のヒーローなんだ。

 そのヒーローがヒーロー物のDVDを真剣に観ている姿は、何かの冗談にしか思えなかった。


「アキラ、普通に天月葵と話してるな。意外と大物なのかもしれない」

 真面目な顔でそう呟いたのは遠藤だ。

「大物って、どういうことさ」

「普通、天月みたいな美人の先輩がいたら多少は緊張したりするだろ。でも、アキラにそんな素振りは全く無いじゃないか」

 

 言われて見れば確かに。

 内藤君には全く緊張している様子は無い。

 声の大きさも普通で、ちゃんと聞き取れる。

 僕と話していた時はあんなに小さな声だったのに。


「先輩達は観ないんですか?」

 内藤君が僕たちに聞いてくる。その声もハッキリと聞こえた。

 どうやら、緊張していないのは天月に対してだけではないらしい。

 僕らに対しても同じなのだろう。

 不思議な子だ。なんでいきなり緊張だとか警戒心だとか、そういうのが無くなったのだろう。


 ヒーロー物が好きだから、とかなのだろうか。

 DVDを観ているのを目撃して、僕らもそうなのだろうと確信したからなのだろうか。

 まあ、どうでもいいか。


「僕も観るよ。遠藤と田上君もさ、一緒に観ようよ」

「嫌だよ。観たいならお前たちだけで見てろよ。俺は田上と二人でババ抜きやってるからよ」

 二人でババ抜きなど、全然楽しくない事を何でやりたがるのか。

 それは止そうぜ、と言ったのは田上君だ。


「観ないの?貴方達」

 天月が言った。

 静かな口調で、首を傾げて。なんだかとても、不思議そうに。


「観る。観るよ」

 天月の言葉に田上君はすぐさま反応する。

 やっぱり、なんか田上君らしくない。

 なんでだろう。テンションが上がっているのだろうか。

 僕は田上君と、とても仲がいいというわけではない。同じクラスになったことがあって喋ったことがあって、同好会に協力してもっていた。それくらいの関わりしかない。

 だから僕が今の田上君の振る舞いに違和感を感じるのは、僕の知らない彼の顔だと言うだけのことかもしれない。

 

「裏切るのかよ、田上」

「遠藤も一緒に観ようよ。皆で観れば、楽しいって」

「はあ、これだからヒーローマニアはよ……仕方ねえな。いいよ、観てやるよ」

 そう言って遠藤もテレビへと視線を移す。


 まだDVDは始まったばかりだった。面白くなるのはまだこれからだ。

 時計を見た。時刻は午後四時。六時くらいに下校すること考えても、時間まだはたっぷりあった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ