戦闘 3
説明が多い。
そういえば、設定を読ませるような漫画は駄目漫画、って武装錬金に書いてあったなあ。
まあいいか、事故満だし。ていうか、小説だし。
とか思っています。
「あれって、やばいんじゃ」
瓦礫が動く気配は無い。もしかしたら、気絶しているのかもしれない。
変異種が地面を蹴った。
ついさっきまで僕達と同じ人間の姿だったとは思えないほどの速さで疾走する。
巨大な爪は瓦礫のしたの獲物へと狙いを定める。
「大丈夫。天月葵はそんなに弱くない」
「でも、あれは」
「それに、ヴァアント・システムは変異種を殲滅するために造られているんだよ」
変異種が瓦礫に向けて爪を突き刺そうとする。
まさにその時、瓦礫の中から銃声が聞こえてきた。
直後、変異種の右足に弾丸が命中した。足を撃たれバランスを崩した変異種の身体は、転がって電信柱に激突する。
「あの程度の相手ならば、負けるわけが無い」
瓦礫の下からヒーローが現れた。その手には銃が握られている。
おそらく、瓦礫の隙間から変異種を狙ったのだと思う。
体勢は相当悪かったはずだ。視界だって満足のいくものじゃなかったはずだ。詳しい事はよくわからないが、きっとかなりの射撃技術なのだと思う。
変異種が立ち上がった。
腹部に三発、そして右足に一発の弾丸を受けている。
肩は大きく上下していて、息が荒かった。しかし、敵対の意思は消えていない。
ヒーローへと、巨大な爪を向ける。
ヒーローが変異種との間合いを一気に詰めた。
背中と足の裏からはバーニアが吹き出している。それで一気に加速したんだ。
変異種はそれに反応し、自らも前へと出る。
しかし、先程のような速さは無い。足を撃たれているからだろう。
ヒーローが銃を撃った。
変異種はそれを大きなアクションで避けた。ついさっきは多分、ギリギリ避けていた。今回そうしなかったのは、というかそうできなかったのは、それだけ身体に余裕がなくなっているという事なのだろうか。
撃ちこまれた弾丸が、確実にダメージを与えていると言う事なのだろうか。
「まだ終わらないよ」
一ノ宮博士が言った。
「確かに弾丸は変異種の肉を抉り、神経を断ち切り、骨を軋ませているだろう。だがそれは、一時的なものに過ぎない」
「どういう事ですか」
「変異種の腹部を見てごらん」
僕は言われるがままにそれを見た。
そこにはヒーローに撃たれた時にできた穴があった。
けれど、そこから血は出ていなかった。撃たれたのは本当についさっきだったのに。
「傷が高速で修復しているだろう? あれは全ての生き物が持っている脳内のリミッターを外し、自然治癒力を急激に高めいているからなんだ」
「自然治癒力って、傷口が瘡蓋になって瘡蓋が取れて、って奴ですか」
「そうだ。それを極限まで高めればどんな傷でも少しの時間さえあれば塞がっていく。人と動物の脳が混ざり合っているから、本来なら外れる事の無いリミッターも簡単にはずれってしまう。ただ『生きる』、という本能だけでリミッターは開放されてしまう」
「それじゃあ、倒せないじゃないですか」
いくら銃で撃っても傷が治ってしまうのなら、意味が無いじゃないか。
どんなに攻撃しても修復してしまうなら、どうしようもないじゃないか。
「さっきも言っただろう。ヴァアント・システムは変異種を殲滅するために造られているんだよ。使用者がシステムの性能さえ引き出せれば、倒せない変異種はいない」