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禍姫  作者: 紲結、
1章
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14/17

儚と刹那

特に宛もなく歩いていた、寮や訓練場とは逆方向に歩いているのに気づいたのも先程の事だ

本当に何の意味もなくただ歩いていたのだろうと他人事のように思う、そのまま暫く歩き続けそろそろ帰ろうと振り返ると二人組の少女が生暖かい目を向けていた


「あはは、ごめんね何処に行くのかなーと思ってついね」


「私は素直に帰ろうと言いました、私は悪くありませんよ」


紺色のショートヘアに赫色の瞳目をした少女と薄紫色の髪の左右を後頭部に向けて編んでいる少女の二人組みだ

恐らく俺は不審者を見る目を向けていただろう

紺色の少女が慌てた


「おっと、僕は怪しいものじゃないよ?」


「怪しい人は皆そういいます、因みに私は本当に怪しくありませんよ蒼空さん

私は第1部隊所属の輪回 儚です、貴女の事はカノンから聞いていました」


「僕も怪しくないからね、同じく第1部隊所属の早瀬 刹那だよ

うん、カノンに聞いていたよりは安定してるみたいだね、いい部隊に配属されたみたいだ」


第1部隊所属で最速の禍姫と呼ばれる刹那さんと元教団員の儚さんの二人組

本当に何の理由もなく俺に?聞いてみることにする


 「それで私に何かようですか?さすがに見ていただけとは思えませんが」


「あはは〜本当なんだけどな、訓練終わりに少し2人で散歩してたら見つけちゃったからね

カノンにも聞いてたし」


「ええ、忌々しい教団に狙われていると聞きました

本当なら今すぐにでも滅ぼしたいですね、カノンに怒られるのでやりませんが」


「当たり前だよ!そもそも本部の場所さえわかってないんだからね、まあこんな感じで儚も君の事を心配していたし丁度いいかなって」


「丁度いいってどういうことですか?」


何が丁度いいんだろうか、接点も特に無いし会話をしようにも俺は二人のことをよく知らない

何か俺に用が合ったのだろうか


「うん君の移籍の件だけど僕達、第1部隊は辞退したよ

君には第1部隊より第4部隊の方が多分だけど良い筈だ

むしろ、無理矢理に他部隊に配属された場合は君の心の回復が遅れそうだしね」


心の回復、俺自身は結構回復した様な気がするが、周りから見るとまだまだなのだろうか

何か最近、皆が甘やかしてくるのは不安定に見えてるからだろうか

気をつけないと、考えてると儚さんが話しかけてきた


「その思考は危ないですよ、かつての私もそうでしたが自分の心を抑え込みすぎると却って傷が広がって取り返しのつかないことになります」


「あー、あの時はね⋯儚が禍蟲になりかけてたし

あと一歩遅かったらと思うと僕もカノンも悔いていただろうね」


「すみませんね、もう私は大丈夫ですよ

んっん、そんな訳で蒼空さん自分を赦すことは難しいでしょうし

生きる理由を見つける事も中々出来ないでしょう」


儚さんの言う事は分かる、俺はまだ囚われているのだ

そしてまだ歩き始めたばかり、だからどうしたらいいか今一分からない


「ですから、生きる意味ではなく死んではいけない理由を考えてみて下さい」


生きる意味と死んではいけない理由?何か違うのだろうか、そのまま問いかけてみる


「儚さん、それって何か違うのでしょうか?」


「違いますよ、そうですね⋯⋯例えば私の場合はカノンさん達に助けられた、だから未来を生きる事にしました、これが死んではいけない理由になります

そこから時が立ち、第1部隊と未来を歩む、これが生きる理由になったのです

最初は外的要因による死んではいけない理由がやがて生きる理由になるのです」


何となく分かるような、分からないような

頭が混乱してきた、俺には少し難しい話だった


「今はそこまで難しく考えなくて大丈夫ですよ、きっといつか分かりますから

さてと私達は戻りましょうか」


「そうだね、結構時間もたったし帰るとしようか

それじゃあまたね蒼空ちゃん」


そして2人は来た道を戻っていった、俺はもう少しだけ歩いてから帰ることにする

何か頭がごちゃごちゃしてきた、儚さんが言うにはいつか分かるみたいだが、俺に分かるのだろうか


──刹那side──


僕達は蒼空ちゃんと別れ帰る事にした、そして十分離れた後に儚に話し掛ける


「結構回復したみたいだけど、もう暫くは様子見が必要そうだね」


「そうですね、そう言えばカノンから聞きましたか?蒼空さんの過去の事」


勿論、僕もカノンから聞いている

蒼空ちゃんは妹を失った事で禍姫として覚醒した、本当なら妹さんの葬儀を行う筈だったが上層部は浄化のスキルと勘違いして事を焦り、蒼空ちゃんの確保に動いてしまった


「そのせいで、葬式にさえ出ることは出来なかった⋯⋯これで終われば良かったのにね」


「ええ、本部に教団が入り込んでいたせいで蒼空さんには不自由な思いをさせていました

まさか食事や睡眠の管理さえしていたとは、やっぱり教団は即滅ぼすべきですね」


「それはまた後でね、それにこれから蒼空さんの扱いは大分マシになる筈だよ

その為に僕達が動いてるわけだしね」


カノンや悠利が内部で教団員の炙り出しをしている間は僕達が最も先輩になるわけだ、気合が入るというものだよ

僕はポケットから赤黒く発光する薬を取り出し、月光に翳し見つめる

儚は不思議そうに薬を見上げる


「それは一体?見た目は薬ですが見たことないですね」


「だろうね、僕も見たことはないよ

この薬はカノンが見つけたものだよ、蒼空ちゃんの食事に混入されていた⋯⋯この意味が分かる?」


僕の言葉で儚の顔が嫌悪感丸出しの表情をする

まあその気持は分かる、こんな禍々しい薬を使うなんてロクでもない事に決まっている

儚さんはこの薬については知らないらしい、それならそれでいい、この薬についてはカノンと悠利それに僕、第九部隊の水ノ宮の4人が知ってればいい

この薬、仮の名称として姫殺しと名付けられた

この薬は依存性が高く更に禍深度を増加、そして精神的不可の増大

明らかに禍姫を狙った劇薬だ、この事を儚さんが知ったら僕の言葉さえ無視して教団に突っ込みかねない


「刹那、どうかしました?」


「いや、何でもないよ

そうだねクレープでも食べてから帰ろうか」


儚と話しながら蒼空ちゃんの事を考える、この薬を一気に無くしたい所だが依存性の部分が厄介だな

取り敢えずは少しずつ減らして行って依存性を薄めて行くべきか、水ノ宮が依存を無くす薬を作ってくれるのが1番だ、何せ彼女のスキルは薬物生成どんな薬でも作ることが出来るスキルだしね、だけどスキルを使って頑張ってくれてるみたいだが難しいと言っていた

1番の問題は蒼空ちゃんのスキルが吸収なのだ、この薬を無意識下に吸収していたとしよう、教団の目的はこの薬を吸収させる事?そこに禍霧の吸収させた⋯⋯分からない、教団の目的が分からない


「本当にどうしたものかな」


思わず空を見上げ呟く、儚は不思議そうに見てくるので笑って誤魔化しておく

これだけでも厄介なのに、更に厄介な事が起きそうな予感がするが何とかなるかな

いざとなればカノンのスキルで何とかするしかないかな

待てよ、精神を壊し禍霧を纏うとかそれって禍蟲と同じ?それとも禍憑か?もしかして教団の言う禍神の正体は


「儚、ごめんお願いがあるんだけどいい?」


「どうかしましたか?刹那がお願い何て珍しいですね、別にいいですが」


「あはは、そうかな?まあお願いなんだけど、第4部隊と第13部隊の合同作戦のことだけど、ついて行ってあげてほしいんだ」


「別に構いませんが、刹那さんは来ないのですか?」


「うん、僕は少し調べ事があってね

あっ付いていくことは秘密にしてバレないようにこっそりお願い」


「そうですか⋯⋯分かりました」


これでよし、まあ僕もこっそりついて行くけど

勘違いならいいけど、もしかしたら教団は蒼空ちゃんを狙ってくる

禍神ね、本当の神とは思ってなかったけど禍災を人の手で起こそうとしてるのかな、教団は⋯⋯もしそうなら阻止させて貰うよ、教団員に視られてるかも知れないから本当の事は言えなかったけど後で共有しなきゃな〜儚に拗ねられるし

そこまで考えて2人で寮、カノンのいる場所に向かう

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